新しい水は水草を育てる?

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水換えで水草の調子が上がる理由を考察

水換えで水草の調子が上がる理由を考察

「水換えすると水草の調子が上がる」

「新しい水で水草に気泡が付く」

 水草水槽を長く維持している方であれば、まず経験した事があると思います。

 では、毎日水換えすれば必ず水草が元気に育つかというと、そんなことはありません。水換えしすぎる事で、水草の調子が落ちることもあります。

 これは、水槽環境の違いが大きく影響しています。

 底床にソイルを使うか大磯砂を使うか、ソイルは栄養系か吸着系か、熱帯魚の飼育数、餌の加減、水草の種類と量、はたまた水道水の水質まで、水槽環境によって当然変わってきますよね。

 ですが、「毎日水換えした方が良い」と断言する方も散見します。

水換え風景

 その水槽では、毎日水換えすることで確かに水草の調子が上がったのかもしれません。ですが、それがどの水槽でも当てはまる訳ではないんです。
 そこで考えるべきは、“どんな理由で水換えが水草に良い影響を与えるか”という点でしょう。

 このページでは、水換えによって水草の調子が上がる理由、そして水換えしすぎで水草の調子が落ちる原因について、私の経験から書いています。

水換えで水草の調子が上がる原因

水換えで水草の調子が上がる原因

 水換えによって水草の調子が上がる主な原因を、以下に挙げていきます。

水換えでカルシウム・マグネシウムの供給

 水道水に含まれるカルシウムイオンマグネシウムイオンが、水換えによって供給されることで、水草の成長が促進される可能性が考えられます。

 水草が必要とする栄養素には、窒素・リン酸・カリウムの3大栄養素の他、カルシウムやマグネシウム、硫黄、鉄、ホウ素、マンガン、亜鉛、モリブデン、銅、塩素など微量元素まで、各種あります。

 そして、これら栄養素すべてがバランス良く揃って初めて水草は元気に育ちます。

「総合肥料を入れてるよ!」という方もいるかもしれません。ですが水草用肥料には、基本的にカルシウムがほとんど含まれていません。

 これは、カルシウムイオンが少しでも過剰になると逆に水草の成長を強く阻害すること、そしてアクアリウムでは水換えによって十分なカルシウムイオンが補給できることから、配合されないのだと思います。

 そのため、水換え頻度が少ないとカルシウムが欠乏することもあり、水換えによって供給され調子の上がる状況があります。

水換えで塩素が供給される

 水草の必須元素である塩素が水換えで供給され、成長する可能性があります。

 この塩素は塩化物イオン(Cl-)のことで、水道水に含まれる次亜塩素酸ナトリウム(NaClO:俗にいう塩素)とは別物ですが、塩素除去剤(カルキ抜き)で中和することで次亜塩素酸ナトリウムから塩化ナトリウム(NaCl)が残ります。

 とはいえ塩化物イオンは人工餌にもわずかに含まれますし、水草肥料に含まれることも多いです。

 割合は微量で事足りる元素ですから、考えられる状況は少なめです。

偏った富栄養が水換えで整えられる

 水槽の偏った富栄養が水換えで整えられて、水草の成長を促す場合があります。

 例えば熱帯魚の過密飼育では、排泄物からの硝酸イオン(窒素)やリン酸イオンが過多になりやすく、カリウムやホウ素、鉄、亜鉛、銅といった栄養素の吸収を阻害しますし、栄養系ソイルを使った立ち上げ初期でもやはり窒素分やリン酸が過剰になりやすいです。

 また、カリウム液肥や鉄液の過剰添加も、水草の成長を阻害します。

 それらが水換えによってバランスが改善されて、水草の調子が上がることはよくあります。

低pHが緩和される

 上記項目にも関係しますが、硝酸イオンやリン酸イオン、硫酸イオンなどによってpHが下がりすぎている場合、微量元素であるモリブデンの吸収が悪くなります。
 水換えすることで極端なpH低下を抑制し、改善させる事ができます。

 ただしこれはpH5を下回るような状況では低pHの問題も出てきますが、その前に硝酸イオンやリン酸イオン過剰による拮抗(栄養吸収の阻害)の影響が先に出てくるはずです。

 実際は単にpH5〜pH6の低めというだけなら、水草は逆に育てやすかったりします。

水換えでCO2が供給される

 圧力をかけて送水される水道水には二酸化炭素(CO2)が溶け込みやすく、水換えでCO2が供給されることで、水草の光合成が促進される事があります。

 特にCO2添加してない水槽では、気泡を付けるなど顕著に効果が現れます。

塩素除去剤に水草栄養が含まれてる

 塩素除去剤によって水草の栄養素を少しずつ配合した商品があり、その栄養によって水草の調子が上がることがあります。

 実は塩素除去剤には、カリウムを含む商品が多いです。
 もともと肥料添加が少ない水槽では、結構はっきりと水草が反応します。

 ちなみに水道水にもカリウムは少し含まれていますが、それだけで水草を育てることはまず不可能と思ってよいです。

水換えしすぎで水草の調子が落ちる状況

水換えしすぎで水草の調子が落ちる状況

 ここまで水換えによって水草の調子が上がる原因を挙げてきましたが、今度は逆に、水換えしすぎで水草の調子が落ちる状況も挙げていきます。

貧栄養な水槽環境

 水草に必要な栄養素がもともと少ない水槽環境では、いくら水換えを増やしても水草の調子が上がることはありません。

 そしてこういった貧栄養な状況では、水草が衰弱して自身が保持していた栄養が草体から滲み出し、それを糧にコケが付きますから、「コケが出たから富栄養だ」と勘違いする初心者の方も多く、さらに水換えに注力してしまう悪循環に陥りやすいです。

 栄養の少ない吸着系ソイルや、ソイル以外の大磯砂や溶岩砂といった底床材で、特に見られます。

 こんな時の対処法は、水換え頻度を減らして、総合肥料など不足する栄養素を加えてあげるだけで回復します。

低pHを好む水草

 南米産などpH5.0〜pH6.5といった低pHを好む水草の場合、頻繁な水換えは逆効果です。

 水道水pHは、多くの地域で中性〜弱アルカリ性に調整されていますから、どんどんpHを上げてしまいます。

 育成の簡単な陰性水草や丈夫な陽性水草であれば、多少アルカリ性に傾いても無難に育ちますが、南米系水草や軟水系水草などは、水換えを控える方が格段に育てやすくなります。

地下水(井戸水)の使用

 地下水や井戸水を自由に使える家庭もあると思いますが、アクアリウムでの使用はオススメ出来ない場合があります。

 飲料用として管理されていない地下水では、硝酸値が高かったり、雑菌が多い、ヒ素や水銀といった有害物質が多い等の可能性があり、水質が予測できません。
 人間だけでなく熱帯魚やエビ、そして水草に害が出る場合もあり、いくら水換えしても良くならない大きな原因となり得ます。

 もし既に地下水を使っていて調子が上がらない場合は、水道水に切り替えて比較してみると良いでしょう。
 もちろん水道水を使う際は、カルキ抜きを忘れずに行いましょう。

水道水水質が極端に偏っている

 水道水の水質は、地域によってかなり変わってきます。

 水草水槽に良好な弱酸性水質の地域もありますが、多くはpH7.5前後の弱アルカリ性だと思います。

 そして中には稀にpH8.0以上の高い地域もありますから、もしそうだった場合、頻繁な水換えは水草育成に悪影響です。

換え水水温が違い過ぎる

 新しく入れる換え水温度を水槽水温に合わせるのは、水換えの基本です。

 この換え水温度が極端に低かったり高かったりすれば当然、水草の成長を阻害します。

 水草は熱帯魚やエビに比べて水温差によるダメージがすぐ出てきませんが、数日かけて表面化してきます。

 水温を合わせてあげましょう。

水換えで水草の調子が上がる理由まとめ

水換えで水草の調子が上がる理由まとめ

 ということで、水換えで水草の調子が上がる理由、そして水換えで水草の調子が落ちる状況について、経験上から考えられるものを書いてみました。

 アクアリウムにおいて、水槽環境は本当に千差万別です。

 例えば全く同じように管理してるようでいても、水道水水質や水温の違いだけで大きく変わることはよくあります。

 そこで重要になってくるのは、あなたが管理する水槽の水質や汚れ具合、水草が欲する栄養素とその過剰や枯渇具合、これらを日々の経験で少しずつ覚えていくことですね。

 ちなみにこのページは、毎日水換えを推奨するものではありませんし、否定するわけでもありません。

 水換えで水草の調子が良い理由や調子が落ちる理由が分かることで、ご自分の育てる水草たちがより美しく育つヒントになれば幸いです。

 

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