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なぜエビは命懸けで逃げる?

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水槽からエビが逃げる!原因を考えて対策しよう

水槽からエビが逃げる!原因を考えて対策しよう

ヤマトヌマエビからミナミヌマエビ、ビーシュリンプ、チェリーシュリンプなどなど、アクアリウムでは定番の淡水エビたち。
コケ対策としてだけでなく、メイン生体や可愛いタンクメイトとしても大人気です。

そんなエビたちですが、“水槽から逃げ出してしまう”と悩む方も少なくありません。

しかも最近はネイチャーアクアリウム人気から、水槽になみなみと入れた水面の高さや水草の飛び出すレイアウトなど、フタを使わない管理も増えていますから、飛び出し事故も多いかもしれません。

「そんなの、水面を下げて逃げられなくすれば良い」
「フタを加工して隙間を無くす」

こんな手段を考える人は多いでしょう。

でもこれら方法は、エビたちの気持ちを全く考えてないのかもしれません。

実は先日、当サイトSNSにて同様の悩みをご相談いただき、「なるほど、そういう悩みもあるよね」と、記事に起こしてみました。

水槽環境を見直す1つのキッカケとなるかもしれません。ぜひ、ご覧ください。

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エビが逃げ出す原因は?

エビが水槽から逃げ出す原因は何?

 エビが水槽から逃げ出す原因は何でしょう?

「エビはどんな環境でも飛び出すよ」なんて言う方もいるかもしれません。

 確かに、振動や音でビックリして飛び出してしまう偶発的な事故も、ゼロではないでしょう。
 ですが、水槽フタをしていても隙間をすり抜けるようによじ登るエビは、さすがに偶然ではありません。

 それはもう、“水槽から逃げる行動”そのものです。

 複数の水槽を管理したり色々な環境・水質を経験していくと、“エビが逃げ出す水槽”と“全く逃げ出さない水槽”、明らかに結果の違う事実が分かってきます。
 環境の安定した水槽では、エビが逃げ出すことなんて全く無いんですよね。

 つまり逃げ出す水槽には、エビの嫌がる原因があるということです。

 次の項から、その原因を挙げていきます。

 ちなみに、エビがビックリして飛び出す事故は、通常ほとんど起こりません。もしそんな飛び出し事故が多いとしたら、扉の開け閉めや足音など、まずエビを驚かせないような根本的対策をすべきでしょう。

水槽水温が高い

水槽水温が高いとエビが逃げ出す

 エビは、あまり水温が高いと水槽から逃げ出そうとします。
 夏場の気温上昇とともに水槽水温は高くなりやすいので、注意が必要です。

 ヤマトヌマエビは、30度を超えてくると脱出する個体が顕著に増えます。

 正直なところ逃げ出す個体は体力がある方で、24時間48時間と長期間高水温が続くとその他個体も熱にやられてポツポツと星になります。

 ビーシュリンプはもう少し限界が低く、28度程度でも継続するとポツポツ落ちる個体が出てきます。

 数時間から半日等、一時的緩やかに水温上昇する程度であればダメージも少ないですが、できる限り危険水温にならないように、冷却ファンや水槽クーラー、室内エアコンを最大限利用しましょう。

 よろしければ以下のページもご覧ください。



バクテリア環境が出来上がっていない

 生体はアンモニアを排泄します。
 この有毒なアンモニアを比較的無害な硝酸塩まで分解する硝化バクテリア環境が出来上がっていないと、エビ達は水槽を逃げ出そうとします。

 有毒なアンモニアや亜硝酸にエビは過敏反応し、水槽内を泳ぎ回ります。

 個体によってはフィルター出水口を逆流して登ろうとしたり、フィルター吸水スポンジに集まり苦しそうにじっとする姿も見るかもしれません。
 こうなってしまうと、1週間以内に死んでしまう個体が増えます。

 いくらコケが大量発生したとしても、エビを入れるのはバクテリア環境が整ってからが原則です。

エビを入れるのはバクテリア環境が整ってからが原則

硝酸濃度がかなり高い

 もし硝化バクテリア環境がしっかり出来ていたとしても、最終的に残る硝酸イオン(NO3-がどんどん蓄積して濃度が高くなると、エビ達もどんどん居心地が悪くなります。
 高過ぎると当然、落ちる個体が出始めます。

 硝酸塩は、アンモニアや亜硝酸に比べて“比較的無害”であって、完全に無害ではありません。
 硝酸塩濃度の上昇は、主に水換えで抑える必要があります。

 ちなみにヤマトヌマエビは、ミナミヌマエビやチェリー、ビーシュリンプに比べて圧倒的に硝酸に耐性があり、60〜80mg/lといった高い濃度でも思ったより動じませんが、ビーシュリンプは30mg/l程度でも食欲が落ちて動きが鈍くなる差異があります。

藍藻による硫化水素の発生

 藍藻(ランソウ)が発生した水槽では、少なからず硫化水素が漂ってしまいます。この硫化水素は猛毒物質です。

藍藻の硫化水素はエビにも魚にも猛毒

 ソイル内にわずか発生してる程度であれば、ヤマトヌマエビは水換え時以外そこまで動じませんが、底床表面まで増殖した状況では、エビは水槽からどんどん脱走します。

 ミナミやチェリー、ビーシュリンプなどがメインの水槽で藍藻はもってのほかです。ポツポツ死が止まらなくなります。
 その場合は藍藻駆除を考えるよりも、早急なリセットがおすすめです。

pH・水硬度が極端に高い

 飼育水pHや水硬度(GH)が極端に高いと、エビが逃げ出すことがあります。

 pH8から上であったり硬度8〜9以上なんて水質では、ほとんどの水草がうまく育たなくなりますが、エビ達もじっとして苦しむ姿が多くなります。

 水草水槽で起こしがちなミネラル液肥の入れ過ぎに注意しましょう。

 また地域によっては、水道水自体がすでに高pH高GHという事もあるので、まずはご自宅の水道水水質を一度調べてみるのがおすすめです。

 高pH高GHの場合は、底砂にソイルを使用したり、腐植酸を用いたピートモスやブラックウォーターの添加、軟水化する水質調整剤、RO水(逆浸透膜濾過水)の使用等、まず水道水から対策しましょう。

 エビ飼育を一番に考えた水質は、pH6.0〜7.0GH3〜4程度を私はオススメしています。

繁殖して過密な状況

繁殖して過密な状況はエビの脱走が増える

 ミナミヌマエビやチェリーシュリンプ、ビーシュリンプは水槽で繁殖して増えますが、水槽のキャパ(許容量)を超えて過密になると、やはり逃げ出すエビは増えます。

 これにはいくつか理由が考えられますが、過密から水質が悪化しやすいこと、食物の取り合いが激化すること、そして個体数が増えれば突飛な行動を取る個体も増えること等もありそうです。

 これはある意味、種が増えれば生息地を広げるという自然の摂理かもしれません。

混泳する魚との相性

 この項目は水質と別の番外編という感じですが、混泳する魚との相性によって、エビが水槽から飛び出しやすくなることがあります。

 当方ではサイアミーズ・フライングフォックスがヤマトヌマエビを突つき回して、水面から飛び跳ねる状況を目撃しました。
(混泳には個体差があります)

もちろんエビを食べてしまう体格の大きい魚との混泳は問題外ですが、水質環境が問題無いとしてもエビが逃げ出すときは、縄張りを主張する傾向のある魚種など、注意して観察すると良いかもしれません。

エビが逃げ出す原因と対策まとめ

エビが逃げ出す原因と対策まとめ

 ということで、水槽からエビが逃げ出す原因と対策について書き出してみました。

 こうやって原因を並べて見るとよく分かりますが、水槽環境を作るポイントそのものですよね。
 “水質”や“汚れ”はもちろん、“過密”や“混泳”についてもそうでしょう。

 そうなんです。エビが逃げ出すのは環境からじわじわと嫌なダメージを受けるからであって、居心地が良い水槽であれば、基本的に出て行こうとはしないんですね。

 冒頭のお話にあった「水面を下げて逃げられなくする」とか「フタを加工して隙間を無くす」という方法は、確かに水槽から逃げ出したエビは助かりませんから、無駄ではありません。

 ただ、偶然飛び出してしまうのではなく、苦しくて這い出す場合もあるんです。

 もしエビが水槽から逃げ出そうとした時は、もう一度環境全体を見直してみると何か発見があるかもしれません。

 “エビにも魚にも心地良い水槽”を大切にすると、本当にエビの飛び出しが無くなりますから、ぜひお試しください。

 ちなみにこのページは、水槽フタが不要という意味ではありません。
 バタフライフィッシュやハチェット等の習性による飛び出しを防いでくれますし、水の蒸発を抑制したり、水跳ねも防止してくれますから、私も愛用しています。

 

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