底砂を入れ替えて底床汚泥の掃除!
かれこれ5年ほど管理してきた水槽ですが、底床ろ材の底には排泄物など長年の汚泥が溜まって、水質の悪化を助長するレベルになってしまいました。
汚泥の過剰な蓄積は、特に藍藻や黒ひげコケが発生しやすくなります。まあ、コケ被害は言うほど酷くもないんですが、底砂の汚れが最近の悩みの種。
ショートヘアーグラスの草原化を始めるまでは、底砂にストレーナーをぐりぐり差し込んで掃除してましたが、ヘアーグラスのランナー(根)が全体に広がってしまい、そのやり方も難しくなりました。
自作の細いストレーナーなどで汚泥を掃除しようと何度か試したものの、劣化して潰れたソイルでストレーナーの口が詰まって上手く吸い取れず失敗続き。。
水草を容易に育てるソイルの特性はとても重宝しますが、年数が経ってボロボロと崩れてしまうのは、ちょっと厄介だなと思う今日この頃。まあ通常は3〜4年でリセットなんでしょうけど。
そこで、底砂を丸ごと全部入れ替えることに。
ただ、未だ生体を避難させる他の水槽もないので、リセットから水槽環境立ち上げまでの期間を考えると、リセットするのではなく熱帯魚やヌマエビは水槽にそのままで、底砂のみ入れ替えました。
私と同じように底砂の交換のみを考えてる方には、参考になるかもしれません。
底砂交換は数回に分けて慎重に
ご存知の通り、水槽の底砂には多くのバクテリアが住み着いて、水槽環境に大きな影響を与えています。
なので、底砂を全部一気に交換してしまうとアンモニアや亜硝酸濃度増加の心配、そしてリン酸濃度の変化や水草植え替えでpHや硬度等の変化が大きく、生体へのダメージやストレスが心配。
そこで2回に分けて、半分ずつ変えることにしました。
ちなみに今回使う底砂はコトブキ工芸の「ろかジャリ」。
これまでも、ろかジャリにソイルを混ぜて使用していましたが、今度は目詰まりの原因となるソイルを無くしました。どうせ年数が経てばソイルの効果はなくなってしまいますから、肥料調整で補うことに。
この「ろかジャリ」の主成分ゼオライトは、ミネラル分を吸着・保肥する性質があるので、余計に水質を変えやすいですから、より1回で換装は危険です。
もし、ろかジャリの底床交換を計画する場合は、ぜひ数回に分けてがおすすめです。
ろかジャリのメリットとデメリット
ろか砂利のメリットは、ソイルのように劣化して崩れないので、ろかジャリのみであれば、底床に管を差し込んで簡単に汚泥を吸い出す掃除が可能になります。
また、直接的にpHに影響を与える物ではないので(間接的に変動させるけど)、カルシウム溶出で硬度を上げやすい大磯砂に比べると使いやすい気がします。
ただし、ろかジャリにはカリウムやカルシウム、マグネシウムといった水草の成長に必要なミネラル栄養素を吸着する性質があり、水質を弱酸性寄りの軟水に変えようとする働きがあります。
(注:弱酸性寄りと言ってもわずかで、水道水pHがばっちりアルカリだと酸性にはなりませんけど。)
ここで問題は水草。
必須ミネラルを吸着してしまうので、栄養不足に陥りやすくなるんですね、初期は。
そのため水草を植込む場合、ろかジャリを入れて初めのうちは意識的に固形肥料を埋め込む、液肥を添加する等の対処が必要です。
また逆に、ろかジャリが充分に保肥して、吸着作用がある程度落ち着いてきたら、今度はpHや硬度が上昇しやすくなるので、ソイルより少な目の肥料添加に変えていきます。
ちなみに、水草の必須ミネラルを吸着してしまうと言いましたが、水草の根周りではイオン変化により吸着したミネラルを放出・供給してくれるので、ろか砂利が水草に駄目と言う訳ではありません。
ただ初めだけは、吸着作用が強過ぎて漂う栄養素が枯渇しやすくなるんです。
そのため、以前は濾過砂利にソイルを混ぜ、吸着作用を早めに抑えて使いやすくしたのですが、年数が経過したらソイルが劣化して、掃除の邪魔になる欠点となってしまったんですね。。で今回は、ろかジャリのみに変更しました。
このミネラル分の調整が、ろかジャリの面倒なデメリットでしょうか。慣れてしまえばコケ被害も少なく、ソイルより長期メンテナンス性に優れていて、よほど使いやすいと今は感じています。
ただ、弱酸性を好む南米系の水草生育は難易度が上がりますけど。
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コトブキ工芸 kotobuki ろかジャリ 4L 淡水専用 関東当日便
底砂の入れ替え作業手順
私が行った底砂入れ替え作業の手順はこちら。
濾過フィルターを止めて水草を取り出す
まず、汚泥が巻き上がるのを抑えるために、外部濾過フィルターを止めます。
濾過フィルターにはバクテリア環境が整ってるので、そのバクテリアを酸欠で死滅させないように、できれば1時間程度で、最長でも2時間程度で作業を終わらせ水流を再開できるように、段取りをひと通りイメージしておきました。
次に、入れ替える底砂部分に繁殖している水草を、一度全部取り出します。
使える水草は新しい底砂に植込むので、できるだけ丁寧に、そしてゆっくり引き抜きます。
それでもヘアーグラスやグロッソスティグマなど草原状に敷き詰める水草は、再度使うとき少なくて済みますから大方が不要になるので、だいたい底砂が取り出せるくらい綺麗に撤去すれば充分です。
取り出した水草は乾燥してしまわないように、霧吹きで湿らしたり水に浮かべておきます。
静かに底砂を撤去
静かに底砂を撤去します。
水量の多い水槽なら、水換え用ストレーナーなどで飼育水ごと吸い上げても良いと思います。ろかジャリやソイルは軽いので、汚泥と一緒にどんどん吸ってくれます。
(※ポンプ付き(逆止弁付き)ストレーナーだと、詰まる可能性があるので注意!)
ただ私の水槽は総水量20リットル程度なので、ペットボトルをカットした容器で、少しずつすくい上げながら撤去しました。
可能な限り、汚泥を巻き散らないように静かに。
汚泥の吸い出し掃除
水槽底面に残った汚泥を飼育水ごと吸い出します。
汚泥のみなので、エアチューブを使ってゆっくりと全体的に。
右側の残した水草にも、こんもりと汚泥が飛散してます。。こちらの汚れも可能な限り排水処理。
ヌマエビや魚はビビって端っこに隠れてます。。ごめんねという感じ。
長年の汚れで真っ黒。なんかスッキリ気持ち良いっす。
洗った底砂を敷いて水草の植え込み
事前に洗っておいた新しい底砂(ろかジャリ)を入れて、水草を植込みます。
新しいろか砂利と古いろか砂利の間に間仕切りを入れて、次回もう半分を撤去する際やりやすいようにしました。
これ、テトラテストシリーズのプラ試験管です。。
そして、固形肥料があれば一緒に埋めても良いです。
各肥料商品には施肥目安の説明書きがありますが、ここで使う量はごく少量に控えておきます。もし数日経って水草の色味が悪く、元気が無さそうなら、さらに少しずつ追肥という手順で。
このとき水草の色味の確認は、新しく植えた水草だけでなく、底床をいじっていない場所の水草も目安にします。根張りがしっかりしてる水草で見た方が肥料具合は分かりやすいですね。
また、pHやGH、KHを計測できるのであれば、水質を細かく確認してあげると状況が分かりやすいです。
(底砂を交換後、pH測定。だいたい7.3ってところか。)
ちなみにpHは6.5〜7.5くらい、GHは3〜4くらい、KHは3〜5くらいに収まっていれば、大きな失敗はないと思います。
いずれの数値でもこれより高い場合はミネラル分が多過ぎ傾向、低い場合は肥料が若干少ないイメージで。
もちろんKHやGHが高いからと言って、水草の欲するすべての必須ミネラルが足りてるという意味にはなりません。カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、硫黄、亜鉛、モリブデン、銅(他は割愛)など多くの成分がそれぞれ必要です。それらをバランス良く施肥したいので、よく分からない方は総合肥料を使いましょう。
私もこういうとき、窒素やリン酸以外の栄養素がバランス良く配合されているテトラ「イニシャルスティック」を使っています。窒素やリン酸塩は大抵の場合、生体の排泄物や沈殿汚泥から充分供給されます。
(一度に埋め込む量はこのガラス皿より少ないくらい。水量も水草も少ないですから。)
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テトラ イニシャルスティック 300g 関東当日便
イニシャルスティックはバクテリアに分解されながらじわじわと放出されるため、反応もゆっくりなので、思わず肥料を入れ過ぎたくなりますが、かなり少な目の感覚で様子を見ていきます。
イニシャルスティックと同程度の肥料バランスで、より即効性がある「テトラクリプト」はもう少し使いやすいかもしれません。
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テトラ クリプト10錠入 関東当日便
勘違いしないように書いておきますが、これらの施肥量は“ろかジャリ”だからで、ソイル水槽とは加減が全く変わります。
どちらかというと川砂利やサンド系底床がこれに近い感じ。
底砂入れ替え後の経過
ろかジャリは水洗いしてあっても、初めのうち水が白く濁りますが、水換えを繰り返すうちに透明に澄んでいきます。
それよりも、底砂入れ替え後は出来れば毎日pHを見て、様子を確認したいところ。
これ、写真左から順に、底砂交換して約1時間後の肥料添加前、汲んですぐの水道水、底砂交換前の水槽pH(汗)、右端が浄水器の水(爆)。
底砂交換前は8.0くらいありますね。。硬度が低いのでそれほど生体の調子は悪化してないんですが、ちょっと高過ぎでした。
素の水道水は7.5弱くらいでまあま程よい季節。春先は極端に水道pHが上がってたりするので注意しましょう。
一番右の浄水器は飲料用で初めて測ったのですが、9.5あたりでしょうか。。かなりアルカリ性でちょっとびっくりしました。
それはさておき、左端の砂利交換後はやはりpHが下がり始めてます。で、GH(硬度)も測ると1〜2といったところ。
もともと肥料分(ミネラル分)を少な目で管理してる水槽なので、あっという間に枯渇気味です。そこでイニシャルスティックを施肥しています。
その後の経過としては、pHが高ければ水換えでpHを抑えて肥料分を薄め、pHが低くGHも低い場合はわずかに追肥いう感じ。水質の変化に敏感なヌマエビの調子でミネラル分増減の異変を察知することもあるでしょう。
もし、ろかジャリのみで肥料添加しなければ、確実にpHもGHもKHも下がっていきます。それだけリン酸やミネラル分を吸着しますから。
なので水道水pH自体が高い地域の水槽などは、ろかジャリだけで様子を見ても良いかもしれません。ただ、ろかジャリに水草を植込む場合、初期はどうしても肥料不足の傾向になりやすいです。
ちなみに私も今回は、抑えたつもりが固形肥料を少し入れ過ぎたので硬度が上がり過ぎ(汗)、少し頻度高めの水換えでカバー。。スティック4粒くらいで丁度良かったかも。
エビが嫌がらない程度に、とりあえず1〜2日に1回3分の1程度で一週間ほど。もちろん毎朝水質を測ってみて、落ち着いていたら様子見で。
あと参考までに、CO2添加をしてる場合は栄養消費が早くなるので、硬度の上下が激しくなります。
やれることやったら後は見守る
私もそうですが、アクアリウム好きには神経質な方が多い気がします。
そのお陰で細かな点に気付ける利点もあるのですが、ある程度やれることをやったら後は見守る姿勢がけっこう大事だったりします。
今回も汚泥の巻き上がりや水質の大きな変化で、生体の活動が鈍くなったり水草にコケやヘドロが付いたりしましたが、ある程度手を加えたら、無理せずガマンして次回の水換え時に後回しに。
栄養や水質がしっかり管理できていれば、水草や生体の生命力で回復します。
(底砂入れ替え以前より調子が良さそうなヤマトヌマエビ)
(先月あたりに生まれたミナミヌマエビの小エビ達もコケをつまつま。)
繰り返し手を出して生体に負担を掛けるより、「あそこのコケが気になる」とか「小さい黒ひげ苔取り残した」とか、ちょっとした細かなことは後回しにする。
肩の力を抜くくらいが結構、アクアリウムが上手くいくコツじゃないでしょうか。
まったく手抜きじゃ駄目ですけど。
ちなみに今回使ってる測定試薬は、テトラテストのpH、GH、KHトロピカル試薬。
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テトラテスト ペーハートロピカル試薬(5.0−10.0)(淡水用)pH 関東当日便
変化した色でpHを測定。
ソイル以外の底砂や岩石をレイアウトしてるなど特にpH高めの水槽では、pH測定は一番使うので何かしらあると便利です。
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テトラテスト 総硬度試薬GH(淡水用) 関東当日便
水草水槽では、肥料具合を見るのにGH測定薬がかなり使えます。
肥料添加では一気に硬度が上昇してしまうこともあるので、私は初めて使う肥料商品の施肥時に使ったりします。
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テトラテスト 炭酸塩硬度試薬KH(淡水・海水両用) 関東当日便
アクアリウムの測定KHはアルカリ度というイメージ。これが高いとpHも上がっています。
ただKHが3程度は無いと、pHが不安定になりやすくアップダウンが激しめになり、生体の負担を増やします。
GHの場合もそうですが、高過ぎたら水換えで薄めて、低過ぎたら少しずつ肥料を足す感じで対処しています。
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スドー ピペット 10cc 関東当日便
試験管に飼育水を入れるのにスポイトは重宝します、おすすめ。すくい入れるのは何かと不便。
残り半分の底床も換装
約一月後、残り半分の底床も新しい「ろかジャリ」に換装しました。
だいぶ殺風景になりましたね〜。。
まあまた水草が生長してくるまで地道に待ちましょう。
また、同じようにかなり汚泥を巻き上げましたが、環境が変わり過ぎると怖いので、一気に綺麗にしようとせず少しずつ安定させていきます。
ちなみに、ろかジャリだけの底床だと水草の成長はかなり遅いです。
というかソイルと違い、ただでさえpHがアルカリ気味になりやすい(水道水の影響大)ところへ来て、肥料分を入れ過ぎると熱帯魚やヌマエビが対応できない水質にまで硬度が上がってしまいます。
なので、焦らず少しずつ水草が育つ程度の栄養素レベルにせざる負えないという感じ。
とはいえ、徐々に増えてはいきますし、水草が適量になってからは成長が遅い方が手入れも少なく済む利点もあります。
じっくり育てていきたいと思います。
その後の経過報告
底床の全換装からさらに一ヶ月ほど。
一時、茶ゴケが発生してしまい、とりあえず栄養カットと換水で茶ゴケを抑え、だいぶ落ち着いた様子です。
多少の汚泥を残した方がバクテリアの定着に良いかもなんて思ったのが間違いでした。やっぱり余剰の硝酸やリン酸が悪さした感じです。
ということで強引に栄養を抑え、水槽が落ち着くまで肥料を停止。ヌマエビ等コケ生体に食べてもらいました。
栄養不足で葉が黄ばんだり葉落ちしましたが、まあ枯れなければ良しということで。そんな環境なので、ひと月後でも水草の背丈はそれほど変わらず、ヘアグラスショートのランナーもほぼ見当たりません。水換えの微量元素で何とか緑を保ってたイメージ。
コケがやっと落ち着いたところで肥料を添加します。でも与え過ぎないように我慢してイニシャルスティック3粒だけ。
枯渇状態からの施肥なので、急に水草の成長が見え始めます。
もちろんソイルと違い、pHや硬度が上がりやすいので無理せずに。
二価鉄水溶液などもわずかに加えつつ、2週間ほどで成長の早いロタラがさっそく葉色を変えて色付きました。
もちろんアヌビアスナナ・プチやヘアーグラスショートも新葉を出しランナーを伸ばし始めてます。
ただここで、調子に乗って栄養素を過剰添加してしまっては元の木阿弥。施肥の感覚に慣れるまでは、あれもこれもとならないように1種類添加したら1〜2日は様子を見るくらいの余裕を持って調整していきます。
ちなみに写真中央に新しく植えたのはクリプトコリネ・パルヴァ(パルバ)。育てやすく小さいクリプトという事で1ポット分買ってみました。
適応pHは弱酸性〜中性だそうなので、主に別のソイル水槽の方に植えたのですが、pH7.5程度で育つのかどうか試したくて、ろかジャリ水槽にも入れてみてます。
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(水草)クリプトコリネ パルヴァ 東南便(1ポット分)
1週間ほどの感覚では特に問題なく、新葉を出して育っているみたいです。成長は遅いですけど肥料要求度も低いようなので、こういう低肥管理の水槽には良さそうです。
クリプト種の中では最小と言われていてミニ水槽に最適ですが、水上葉なのか私の水槽サイズだと中景草といった感じですね。
大きめの石や流木の脇なんかにレイアウトすると、良い雰囲気を演出してくれそうです。
ということで、特価で買った塊の流木に変えてみました。
ロタラとパルヴァのスカスカした感じがちょっとは改善されたかな。
アルカリpHなので流木のpH抑制効果も期待しつつ一石二鳥。まあ、多少の流木じゃそれほど変わらないんですけどね。
あとはショートヘアーグラスが敷き詰まるまでじっくり育てていきたいと思います。
とりあえず、こういう手入れがアクアリウムの楽しい醍醐味。
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