水槽用冷却ファンクーラーの実力とメリットデメリット
猛暑日が続く真夏のアクアリウムで最大の悩みと言えば、水槽の水温上昇です。
エアコンを付けなければ室温が35度を超すような状態ですから当然、水槽だって気温の影響を受けてぐんぐんと水温が上昇してしまいます。
高温に弱いエビには致命傷ですし、いくら熱帯地方に住む熱帯魚だって、さすがに30度を超えてくれば瀕死の状態は免れません。
最近は「家に不在中でも昼間は常にエアコンを稼働させてる」なんて方も多いかもしれませんが、やはり夏の水槽は水温上昇の対策が必須でしょう。
とはいえ、24時間ずっとエアコン全開では電気代もバカになりません。
水槽用の本格的なチラー式触媒クーラーやベルチェ式クーラーは意外と値段も高く、気軽に導入とはいかない事情もあります。60センチ水槽以上のサイズならともかく、小型水槽だと余計に悩みどころ。
そこで、気化熱を利用した安価でお手軽な水槽用冷却ファン(送風機)の導入を考えてる方も多いんじゃないでしょうか。
ここではそんな冷却ファンの効果や実力、またデメリットなどを、水量30リットル以下の30cmキューブ水槽、45cm規格水槽、30cm規格水槽、45cmショートスリム水槽など各小型水槽での実体験を中心にご紹介します。
効率良く水温を下げる設置方法のコツなんかも書いてますので、ぜひご覧ください。
水槽用冷却ファンのメリット
水槽用冷却ファンのメリットはこちら。
- 本体価格が安い!
- チラー式やベルチェ式クーラーに比べて取付け・配線が簡単
- 上記本格クーラーに比べて電気代が断然安い
- 上記本格クーラーに比べて室温が上昇しない
チラー式触媒クーラーやベルチェ式クーラーと比較したメリットといった感じです。とにかく断然のお手軽さが最大のメリットでしょう。
クーラータイプに比べたら当然、電気代も安くなります。ほぼファンを回す電気だけですから。
本格的な水槽クーラーになると、排熱があるので室温がぐっと上がりやすくなりますが、冷却ファンタイプであればほぼ室温は上昇しません。商品の原理上、湿度は若干上がりますが、冷却装置を使う環境ですから窓を開けたり換気扇などで換気していれば、冷却ファンによる湿度の不快感はほとんどありません。
もちろん室内エアコンを付ければ、勝手に除湿されますね。
ちなみに、高めのエアコン設定温度27〜28度で冷却ファンを併用する方は多いです。
冷却ファンのデメリット
冷却ファンのデメリットも挙げてみます。
- 目障り(水槽の見た目が悪くなる)
冷却ファンは水面に風を送るため水槽の縁(ふち)に設置するので、目に付きます。
- ファンの音がうるさい
思ったより音がします
- 水補充の頻度が増える
蒸発の気化熱で冷却するため
- 冷却能力の限界がある
本格クーラーを含め水槽冷却装置の中では最も弱い
- 湿度に影響を受ける
蒸発しづらいと能力が落ちる
- 海水魚水槽には使えない
蒸発で海水の比重(塩分濃度)が変わってしまう
ファンの音はお世辞にも静かとは言えません。
それでも安価に水温上昇を抑えられるのなら、私はガマンできる範囲という感覚です。
また、在宅時はエアコンを付ける環境であれば、ファンの用途は外出時がメインになり稼働音を聞くことも少なくなりますし、使い方にもよるでしょう。
ちなみにエアコンを使わない環境の場合、熱帯夜になれば夜間でもファンが動きます。寝るにはちょっとうるさいですね。
蒸発量はファンの出力や設置状況、そして湿度で変わりますが、これまでの経験では一つの水槽で最大1〜2日で1リットルほど水量が減りますから、水換えタイミングの合間もちょこちょこ水足ししています。
冷却ファンの効果・能力
一番重要な点はもちろんファンの冷却効果です。肝心の冷却能力が水温上昇に追いつかなければ話になりません。
冷却ファンは水面に風を送り、強制的に水を蒸発させて発生する気化熱を利用して水温を下げます。つまり人間の汗と同じ原理ですね。
(扇風機の風が涼しいのは、汗が蒸発した時の気化熱で肌温度を下げてくれるから。)
そして下げられる温度は、水槽周りの温度(室温)より最大4〜6度程度です。
周りの湿度に大きく影響を受けるので、カラッとした湿度の低い地域では効きが良くなります。
目安の参考までに、例えば私の水槽で総水量約20リットルほどの45cmスリムショート水槽ですが、風通しの良い玄関に設置してあります。
外気温が35〜36度くらいまでは玄関の室内温度も30度をちょっと超える程度なので、水槽水温26〜27度をキープしてくれます。ただ38〜39度の猛暑日では、玄関室温も35度近くなり水温が29〜30度くらいまで上がることもあります。
それでも一時的に30度程度であればエビや熱帯魚に大きなダメージはありません。冷却ファンを使わなければ水温も室温と同じように簡単に30度オーバーになりますから、うるさくても何でも水槽環境を守ってくれる頼もしい存在です。
水量で水温変化は変わる
水槽サイズ(総水量)が小さくなれば外気温の影響を受けやすく水温上昇も早くなり、水量が多いほど水温上昇も緩やかになります。
大きな水槽でも冷却ファンは効果的ですが、小さな水槽ほどサーモ式冷却ファンの効果が感じられると思います。
ただ、室温が35度を頻繁に超える環境だと冷却ファンだけでは厳しいですね。
猛暑日は室内エアコンを使ったり、水槽用クーラーを検討する必要があります。
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エアコンと冷却ファンの併用で電気代を節約!
アパートなど昼間ずっと外出時の締め切った室内は、どうしても高温になりやすいです。そのため水槽がある場合、室内エアコンを使う事が多いと思います。
この時、エアコンを設定温度30度〜MAX設定にして冷却ファンを併用すると、電気代がかなり安くなります。
エアコンで除湿されて、冷却ファンもかなり効きますから。
ただし水槽がいくつもある場合は、水槽分の冷却ファンを用意することと電気代を見ながら、長期的に比較してみましょう。
海水アクアリウムでは冷却ファンは使えない!
冷却ファンは淡水アクアリウム用です!海水アクアリウムでは使えません、ご注意ください。
冷却ファンは気化熱で水温を下げる訳ですが、海水水槽で飼育水が蒸発し過ぎると塩分濃度はグングン上がってしまいます。海水魚が元気に泳ぐために塩分濃度を比重計でしっかり管理してるのに、強制的に蒸発させて良い訳ありませんね。
海水アクアリウムで水温管理する場合は、水槽クーラーを選ぶか室内エアコンで室温ごと下げるのが基本です。
小型水槽向け冷却ファン選びのおすすめポイント
すでに5年以上冷却ファンのみで夏を乗り切っていますが、これまでの経験で感じた小型水槽向け冷却ファン選びのおすすめポイントはこちら。
- 逆サーモ機能(水温センサー機能)がおすすめ
- 対応水量に余裕を持って選ぶ
冷却ファン商品には、電源をオンにすれば風を送り続ける送風機能のみのものと、逆サーモスタット機能(水温センサー)が付いたものがあります。
逆サーモスタットは温度が上昇すると自動で動き、設定水温まで下がると勝手に止まってくれる便利な機能です。
逆サーモ機能のみの別売商品もあるので、自動制御させるならファンと逆サーモを別々に揃えるか、もしくは逆サーモ一体型冷却ファンのどちらかですね。
また、商品によって対応する水槽サイズ(水量)が違いますが、選ぶ際はご自分の水槽より大きいサイズに対応したものがおすすめ。
出来るだけコンパクトな方が邪魔にならず良いのは当然ですが、水温がしっかり下がらなければ意味がありません。
冷却ファンは、水が蒸発する際に熱を外気に逃がす“気化熱”を利用して温度を下げますから、風量が強い方が温度を下げる能力は高くなります。もちろん、風が強くなれば時間単位の蒸発させる能力も高まりますが、水温が一定まで下がれば止まるサーモ付きであれば、必要以上に蒸発することはありません。
ぴたっとファンサーモプラスMを愛用
私の水槽でもNISSO(ニッソー)の「ぴたっとファンサーモプラスM」を長年愛用しています。
水温が27度になると自動的に稼働、25度まで下がると停止します。
しかも壊れないですね〜、これ。もう5年以上使ってますけど、全然現役。
(写真の角度的にぴたっとファンが大きく感じますが、実際はここまで存在感ありません。。)
ぴたっとファンのMサイズは、適応水槽目安が45cm規格水槽以上〜90cm水槽以下(35〜160リットル)なので、水量20Lの私の水槽には過剰能力にも思いますが、いたって普通に使えます。
蒸発量よりも水温を安定させたいなら最適です。蒸発分は足せば済みますから。
また水草30cmキューブ水槽でも、同機種を使用してます。
背面に隠すと、全然邪魔にならないですね。
ぴたっとファンシリーズには、逆サーモが付かない機種もあるのでお間違えのないようご注意ください。これは“サーモプラス”の方です。
水温センサーで自動オンオフしますし、効率良くパワフルに下げる方が熱帯魚やヌマエビには断然良いですね。
※ピタッとファンサーモプラスMは廃盤となり、現在は「クールサイクロン サーモプラス ビッグ」がNISSOから出ています。
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GEXアクアクールファンの性能
30cm規格水槽では、GEXの「アクアクールファン」レギュラーを5年以上使っています。
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このアクアクールファンの良さは、とにかくコンパクト。レギュラーは60cm水槽用(60Lまで対応)なのですけど、30cm規格水槽(約12L)でも全然大きく感じません。小型水槽でもこのレギュラーサイズがおすすめ。
そして冷却ファン商品の中でもかなり静かな部類です。静音設計で、ぴたっとファンよりもクールファンの方が静かですね。
また電気代も、従来比45%カットの省エネタイプ。
首を振って風向き調節もでき、見た目もスマートでかなりおすすめ。
設置するとこんな感じ。
肝心の水温調節能力は、コンパクトなボディとは思えないくらい結構な風量でしっかり水温を下げてくれます。動画では6度ほど下がってますがその日の湿度にもよるので、やはり室温より大体4〜5度マイナスですね。
ガラスフタと水面の間に風を送って、反対側の隙間に吹き出す感じで設置すると効果的。
ちなみにこのアクアクールファン自体に逆サーモ機能は無いので、別で逆サーモスタットを付けています。
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エヴァリス「EVサーモ100-RC」は温度設定可能ながら安価な逆サーモで、精度も良く良品です。
価格的には「逆サーモ付クールサイクロン単体」と「アクアクールファンにエヴァリス逆サーモセット」、どちらも同じくらいです。
冷却ファンクーラーを効率良く使うコツ
ここ5年以上、冷却ファンクーラーを愛用してきて、設置方法や使い方でも水温制御に差が出ることが分かってきました。
そんな冷却ファンを効率良く使うコツもご紹介します。
ポイントは蓋(ふた)。
送風ノズルタイプは使いやすい
ピタッとファンのように送風ノズルタイプのファンの利点は、風を効率よく水面上に流す事が出来るところ。
夏場は特にエビや魚が飛び出しやすい事もありますし、フタの隙間から風を送り、水面とフタの間に風を流すと効果的です。こうすれば蒸発効率は上がりますから、当然なのですけど。
蓋をしたまま送風のコツは、水面を蓋で広く覆いつつ風の出口を確保する感じ。
写真と風向きは逆方向ですが、屋外気温36度、室温32度、水温27度で、約5度下がってます。
水面上の風の流れが悪いと蓋の内面に水滴が付くので、水滴が付かないように工夫してみて下さい。
GEXアクアクールファンでも、やはり同じイメージで設置してます。端から風を送り、反対側の隙間に抜ける感じ。
ただ大型水槽だと、フタがない状態で送風した方が熱が籠らず良いなんて情報もあるので、環境別にいろいろ試すと良いでしょう。
物理的には、ファンの風量を落とさず水面を適度に揺らしながら、フタと水面の間の高湿度な空気を広範囲にどんどん飛ばしてあげる状況が蒸発速度は上がるので、効率が良いと思います。
水面が高いと効率がいい
水面を高くして蓋と水面の隙間が狭い方が温度は下がりやすいです。
私は足し水で、蓋と水面の距離が約1cmほどまで足しています。
時間が経てば減ってしまいますし、1日外出する場合など、水量は多いに越したことはないですね。
もちろんファンで水面が波打っても、溢れない程度に。
水流を作り循環させる
フィルターの出水やエアーポンプで水流を作り、水を循環させます。
冷却ファンの気化熱による放熱は水面近くでのみ起こりますから、水槽全体の温度をバランス良く下げるように水を循環させると、生体へのダメージは少なくなります。
また水面を動かすことで、ファンの力だけでなく水流の影響による気化・放熱作用もプラスアルファの効果があります。
エアーレーションでさらに冷える!
冷却ファンと一緒にエアーレーションを併用すると、水温がさらに下がります。
この時の外気温37度、室温約34度、水温27度。7度ほど下がっています。
CO2添加してる水草水槽ではエアーレーションで曝気させては意味がありませんが、CO2添加無しの水槽、ビーシュリンプ水槽などに、かなりおすすめです。
ヒーターも併用して水温を安定させる
6月初夏や9月の秋口など昼間は暑く夜が涼しい時期は、冷却ファンだけでなくヒーターも併用して、水温を安定させるとなお良いです。
昼間の高温は抑えられても、深夜の低温による大きな温度差はやはり生体へのストレスになります。
ただし、ぴたっとファンサーモと26度オートヒーターの組み合わせだと、どちらもフル稼働し続ける状態になるので、この場合は設定温度を調節できるサーモセンサーでヒーター温度を24〜25度あたりに設定すると、バランス良く温度を保ってくれます。
ヒーターとファンの設置と撤去
ヒーターが温度設定できれば一番良いのですけど、オートヒーターを使ってる方も多いと思います。近年は私もそうです。
そこで私の場合、初夏はオートヒーターを通電しながら冷却ファンも設置、真夏はファンのみでヒーターを外し、秋口は冷却ファンが昼間にほとんど稼働しなくなったり朝方の水温が23度を下回ってきたら、ヒーターと入れ替えるといった対処法で乗り切っています。
(アクアクールファンの設置動画では、既にヒーターを撤去した状態。)
この方法でも魚やエビが死んでしまうことはありません。生体の多くは問題なく飼育できるでしょう。
撤去する際に掃除などメンテナンスすれば、良い状態で長く使えますしね。
水槽用冷却ファンクーラーのまとめ
主に小型水槽での水槽用冷却ファンクーラーの能力や使用感について書いてみました。
45センチ規格水槽や30cmキューブ水槽に使用しても性能面で大きな差はなく、同じ感覚で使えています。
ちなみに冷却ファンを使用している私の水槽は、空調設備がない網戸換気の玄関と、2階部屋に設置しています。
放っておけばほぼ気温(室温)と同じ温度ですから、それでもこれだけ水温上昇を抑えてくれる冷却ファンにはかなり感動してしまいます。
そうは言っても天候は気まぐれ。突然に強烈な猛暑日なんて事もあり得ますから、こまめに水温計を確認、生体の様子も観察しています。
皆さんも大きな水温変化に注意しながら、冷却ファンを上手に使って夏を乗り切りましょう。
それこそ、水槽を眺めて涼みながら。
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