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発酵式CO2で失敗する原因と対策。

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発酵式CO2が上手くいかない原因と対策

 安価でお手軽に水槽へCO2供給できる自作発酵式CO2ペットボトル。考えてみれば、私はもう5年以上ずっと愛用しています。

自作発酵式CO2が上手くいかない原因と対策

 幼い頃から理科や図画工作が好きだった私には、簡易ながら自分で作った装置から初めてCO2気泡が出た時は、我ながら子供のようにワクワクしたものです。
 簡易と言えどもCO2効果はしっかり効きますし、維持費もバカ安ですから手放せません。

 そんな発酵式CO2ですが「上手く気泡が出ない」という悩みも案外多いようです。

 確かに私もこれまで使い続けてきた中で上手くいかない事もあり、その都度改善しながら、発酵式について自分なりの扱い方を見つけてきました。

 そこで今回は、経験から得たコツなども踏まえながら、発酵式CO2ペットボトルで失敗する原因と対策についてご紹介します。
 より良い水草育成の参考となれば幸いです。

 ちなみにこれから自作発酵式に挑戦しようという方は、こちらもご覧ください。



CO2を水槽へ無駄なく放出させるために

 イースト菌の発酵過程で発生した二酸化炭素を無駄なく水槽に放出するために、いくつかの視点に分けて、問題が起こりやすい状況と対処法を書いていきます。

配管でエア漏れさせない事

 基本中の基本ですが、ペットボトルから水槽までの配管でエア漏れさせないことが大切です。

 当然の事なんですけど、それが意外と漏れてしまうんです。

加工キャップが漏れやすい

 もっともCO2が漏れやすい場所は、加工したペットボトルキャップ部分

発酵式CO2の不具合の多くは加工キャップ部分

 まず、加工するキャップは必ず炭酸飲料用を使います。
 炭酸飲料ペットボトルは、キャップのネジきり構造から本体の耐圧性能まで、通常のペットボトルと基準が違います。ギュッと締められる。

次に、キャップとエアチューブジョイントの接続部分に、万遍なく瞬間接着剤を充填しましょう。

 さらに、キャップを思いっきり締め付けてもキャップ自体の密閉度が低下して漏れてしまうこともあります。

 その場合は、キャップの内側にゴムパッキンを挟んで締めましょう。

発酵式CO2のキャップにゴムパッキンを装着

 大抵のキャップは、内径21mm・外径26mmのパッキンがぴったりです。

ペットボトルキャップのゴムパッキンサイズ

 このゴムパッキンはホームセンターの水道配管コーナーなどで売っていると思います。

 通販でもあります。

キャップ内蓋を外す

キャップ内部の内蓋を外す

 炭酸飲料用のキャップには、内蓋(キャップ内部のくるくる回るフタ)が付いている種類もあります。
 その内蓋は穴あけ加工でも邪魔ですし、内蓋があるためにエア漏れしてしまう事もあるので、ゴムパッキンを用意できるなら取ってしまう方が上手くいきます。

発酵式CO2の簡単で完璧な加工キャップ完成

 細いマイナスドライバーなどでこじって取り、キャップ内にパッキンを装着すれば完璧。
 作りは一番簡単ですけど、これかなり最強です。
(もちろんジョイントとキャップの隙間はしっかり接着剤を充填します)

瞬間接着剤は完全硬化に48時間ほど掛かり、その間は有毒なガス(シアノアクリル酸メチル)が発生するので、すぐ使わないように注意しましょう。
「固まったかな」と思ってもツンとする刺激臭があれば、ガスが発生しています。

既製品もあります

 便利な世の中、「発酵式CO2用ペットボトルアダプター」という既製品もあります。逆止弁付き。

 もう工夫するのが面倒という方におすすめ。

エアストーンの選択

 発酵式CO2は「初めは多く最後は弱々しく」と、イースト菌の発酵状況で放出圧力が変わります。

 なので、より細かい気泡の出るストーンを使うと、ストーンの放出抵抗が大きくなり発酵が一番盛んな時期以外は気泡が出なくなることもあります。

 必ずエアー用ストーンを選び、ボンベ式CO2用ストーンは避けましょう。

 またエアストーン商品の中でも、ストーンの空隙サイズ(空気が通る隙間)が個々に違います。
 以下の記事もご参考下さい。



ストーン位置の水深で変わる

 発酵式CO2にそれほど強い放出気圧はありませんから、水中のストーンを設置する深さ(水深)にも影響を受けます。

 私の経験則だと、最適なストーン位置は深くても水面から15〜20cm程度まで。それより深くなると発酵終盤の低圧時期は気泡が出なくなる等、効率が悪くなります。

発酵式CO2のストーン水深を季節で調整

 例えば水槽高さが30センチだからといって、底床ギリギリまで沈めなければいけない訳ではありません。
 水中深くに設置するとCO2気圧が水圧に勝てず、発酵が弱くなる寒い時期などは「いつまで経っても気泡が出ない」なんて事も。

 発生するCO2気圧だけでなく水圧やエアーストーンの放出抵抗によっても気泡具合は変わりますから、位置を上下して最適な水深を探してみましょう。

気泡が水面に届いても良いんです

 水槽CO2に関する情報を探すと、“添加効率を良くする方法”がたくさん見つかります。そして「CO2気泡が水面に届いてしまうと添加効率が悪い」といった声も多いです。

 だから皆さん、水中深くにストーンを沈めようとするんですが、別に水面に届くような気泡だってちゃんとCO2添加されてるんですよ。

 確かに添加効率を考えると、より気泡が細かくて長い間水中に漂う状態が理想ですけど、泡が大きくたって何だって、CO2添加してる時点で水草の調子は抜群に良くなります

 だからまずは気泡を出すこと
 初めてCO2を添加する方なら、数日も経たずに水草の葉色が鮮やかに甦りぐんぐん育つ姿に感動すると思います。

 CO2添加の効果を実感したら次に、水流の強いフィルター放水口の下に設置したり、ストーンを変えてみたりして、添加効率を工夫してみれば良いと思います。

 ちなみに面白いことに、気泡が出ていなくてもCO2添加されている場合もあります。

「ストーン入口までは気体が行くけど気泡は出て来ない」なんて状況なら、ギリギリ水圧を押し退ける程度は発酵による放出圧があるということ。
 CO2は水に非常に溶けやすい気体なので、ストーン部分で水に溶け込んでる状態です。

 実際に私の経験でも、CO2添加無しでは葉色が黄ばんでしまう水草も、そういった状態ならそれほど調子が落ちません。

 ただ添加量は低下しますから、水量30リットル未満の小型水槽ならまだ良いですが、大きい水槽はもちろん、基本として気泡が出る状態が理想ですね。

ストーンは定期的に洗浄

 使用するエアストーンは時間が経つとコケ等の汚れが付いてくるので、定期的に洗浄しましょう。

 掃除間隔は水槽環境によって様々ですが、特に目が細かいストーンは目詰まりを解消すると気持ちいいくらい復活!これは発酵式だけじゃなく、ボンベ式でも必須メンテナンスですね。

 おすすめは漂白剤に沈める方法。

エアストーンを漂白剤で掃除

(ペットボトルをカットした容器で洗浄。)

 漂白剤は各商品によって薄め方が変わりますが、私は台所用塩素系のキッチンハイターを使い、“スポンジ等の漂白”レベル(けっこう希薄)まで薄めて30分〜1時間ほど入れて置きます。
 ストーンが沈む量で十分です。吸盤類も簡単に綺麗になります。

 頑固なコケが酷いときは、初めに原液を直接掛けて3分ほど置き、それから薄めると良いです。

 最後は必ず、有害な漂白成分をよ〜く洗い流しましょう。

発酵具合は外気温に影響を受ける

 イースト菌発酵は温度にかなり影響を受けます。

 なので、外気温が高い夏場は勢いよく泡を出しますが、寒い冬は放出が弱くなってしまうもの。

 CO2添加する場所が常に暖かい室内であればそれほど問題ではないですが、玄関先や廊下など季節に合わせて気温(室温)が変わる所に水槽を設置してる場合、時期によって気泡が少なくなるのも仕方ありません。
(ちなみに我が家も冷暖房のない玄関です)

 そこで対策として、

などすると良いです。

 イースト菌はわずかですが発酵熱が発生するので、保温性のあるペットボトルカバーに入れるとやはり違います。

冬は発酵式CO2ペットボトルを保温カバーに入れる

 また、冬場のみイースト菌の量を少し増やすと発酵具合が改善されます。
 ただし入れ過ぎに注意。過剰に入れると発酵泡が水槽に流出することがあるので、冬場で1g程度、夏場で1g以下が目安です。

 冬はくれぐれも、重曹や塩など発酵を抑えるものは使用しないように。

エアチューブの長さを短めに

 配管エアチューブの長さを出来るだけ短くすると、発酵したCO2気圧がホース内で無駄に分散せず、気泡がスムーズに出やすくなります。

 もちろん、逆流防止弁の最適な取り付け位置など、無理なく取り回せる適度な長さは必要ですから、無駄に伸ばさず適切な長さでという意味。

 目安として、60cm水槽でペットボトルを水槽横に置いても、キャップからストーンまでの配管距離は50センチ未満で充分設置できると思います。

エアチューブの折れを確認

 エアチューブが途中で折れていないか確認しましょう。チューブが折れると気体は遮断されます。

 特に折れやすいのが“水槽の縁”。

 対策として、市販の塩化ビニール硬質パイプを加工するのがおすすめです。

CO2配管に塩化ビニール硬質パイプを加工すると便利

 ドライヤーの熱で曲げて加工するだけで、チューブの折れも防止しつつ水槽内の見た目も格段にすっきり。便利で重宝します。

CO2用硬質パイプを加工

 作り方は、ドライヤーの温風でパイプの曲げる部分を高温に温めて、ハンマーの柄やドライバーの取っ手の丸いところに当てながら曲げるだけ。

塩化ビニール硬質パイプをドライヤー熱で曲げる

 この硬質パイプは、水作の「パイプピタっと」です。

 店舗によってですが、ホームセンターでも売っています。

 いろいろ加工できて、CO2やエアー配管でかなり重宝します。

キャップ部の折れ対策

 水槽水面がペットボトルキャップより低いと、加工キャップ部でチューブが折れてしまうこともあります。

 そんな時は押しバネ(スプリング)に通すと折れなくなります。

キャップ部のチューブ折れ対策に押しバネ(スプリング)

 錆びにくいステンレス製がおすすめ。
 バネなので元の形に戻ろうしますから、形を整えるにはコンロの火で加熱すると整形できます。

ステンレスバネを加熱して整形

赤くなるくらい加熱するので、くれぐれも落としたり火事にご注意ください。

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その他のコツ

砂糖分量をケチらない

 発酵式CO2ペットボトル500mlサイズの配合割合は、水400mlに砂糖100gとイースト菌少々が目安です。でも、砂糖をケチると発酵が弱く短くなります

 砂糖分量が少ないせいで放出圧が弱くなり、気泡が出ないこともあります。

 私自身かなり大雑把な正確なので、きっちり量って入れろとは全く思いませんが、砂糖は少ないより多めの方が確実に泡の量は安定します。

 また同じようにイースト菌が少な過ぎても良くありません。特に冬の低温下などは放出量が格段に違います。

 正確に量った事はありませんが、イースト菌の消費具合からして、夏は約0.5〜1g、冬は約1〜2gといった感じです。

 ただし、入れ過ぎると今度は発酵した泡が水槽に逆流して、ストーン内部で目詰まりするので注意。

イースト菌は冷蔵庫に保管

 イースト菌はちびちびとしか使わないので、長期保存するため冷蔵庫(冷蔵室)で保管しましょう。

 常温で保管すると湿気でイースト菌が早くダメになってしまいます。除湿作用もある冷蔵庫なら、消費期限が過ぎても2年程度は問題なく使えます。

 ただ、冷蔵庫保管でも発酵具合は少しずつですが悪くなっていきます。
 イースト菌も数百円ですし、2年以上は買い替えるのがおすすめ。

 箱に開封した日付を書いておくと忘れません。

冬は温水で作る

 冬は30度から40度弱のボイラー温水で作ると、初期のイースト菌増殖がスムーズに進み、発酵が安定しやすくなります。冷たい水より格段に早い。

 注意点は40度以上にしないこと。

 それ以上の高温になるとイースト菌が死滅してしまい、発酵しなくなります。

発酵式CO2が上手くいかない対策まとめ

発酵式CO2ペットボトルの魅力はリーズナブルさ

 発酵式CO2ペットボトルで陥りやすい失敗ついて、ちょっとしたコツも織り交ぜながら対策法を書いてみました。思い当たる点はあったでしょうか。

 上手くいかないと「発酵式じゃ駄目なのかも」なんて思いってしまいがちですが、そんな事はありません。CO2要求度の高いリシアなども発酵式で充分成育が可能です。

発酵式CO2添加でリシアに気泡

 環境が整えばリシアに気泡もしっかり付きます。
(30キューブ水槽に照明アクロ「オーバルLEDブライト300」1灯で発酵式添加)

 また、セッティング次第で添加効率も格段にアップさせられます。

外気温11度、チューブ長45cm、セットして4日目の発酵式CO2添加具合

(作って5日目、外気温11度、ストーンまでのチューブ長さ約45cm、水深15cmの泡の出具合)

 もちろん手間ひまを考えればボンベ式の方が断然楽ですが、それに勝るほどのリーズナブルさは、発酵式CO2の大きな魅力です。
 なにせ、水槽一つあたり年間1000円も掛からずにCO2が供給できるんですから。
(上白糖は1kg約200円程度、イースト菌は50g1箱数百円で2年くらい保つ!)

 そんな発酵式で、安価に水草水槽を楽しみましょう

 ちなみに当サイトでは、発酵式CO2ペットボトルをタイマーで自動オンオフ化したり、発酵式に合うエアストーンを使い比べたりもしています。
 よろしければ以下の記事もご覧ください。

 

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