水草用LED照明の赤波長と青波長を比較テスト
水草水槽用のLED照明で重要なのが、光に含まれる赤波長および青波長の強さとバランスです。
ここでは、目で見ても確認できないその赤波長と青波長を、簡単な方法で検証できる比較テストのやり方をご紹介しています。
以前からちょくちょくLEDライトを購入したら調べていたのですが、同じ方法をネットで調べても情報が全く見当たらなかったので書いてみました。
もし今使ってるLEDの性能が分からない、水草育成が上手くいかないなんて方は、一度調べてみるのがおすすめです。
肥料バランスを試行錯誤したりCO2を添加しても水草が上手く育たないなんて場合、もしかしたらそれはもっと根本的な照明の問題かもしれません。
是非、ご参考下さい。
その前に、LED照明って水草育つの?
水槽の水草を上手く育てるために欠かせないのが照明選びです。
まずそれなりの性能を持つ照明が無いと、いくら肥料やソイルを試行錯誤しても水草は元気に育ってくれません。これじゃ自分の水草経験値も上がっていかない、スタートラインに立ってないような状態です。
そこで何を選ぶかですが、現在アクアリウムの主流はLED照明ですね。
LEDライトは小電力でスタイリッシュ、さらに長寿命と、水槽照明として最適な印象ですけど、正直なところ水草を育てるための照明としては、まだまだ発展途上な部分も多いです。
だから商品によっては水槽を眺めるためだけの観賞用も多数あり、買ってみたら水草が全然育たないなんてことも。
で、気になるのが『LEDって水草育つの?』という点。
率直に言うと、育ちます。
一度は聞いた事があるかもしれませんが、水草も他の植物と同じように、赤の波長と青の波長を得て活発に光合成を行います。
これは、光の色が見ため真っ白でもその中に赤や青の光が含まれており、それぞれの波長の強弱で育ち方が変わるということ。つまり良い商品と悪い商品の大きな違いは、LED光に含まれる赤波長や青波長の強さとバランスです。
でもそんなの、ただ眺めただけじゃ分かりません。明るさや色味の違いは分かっても、同じ白色ですよね。
(ちなみに明るさはルーメン[lm]、色味はケルビン[K]の性能表示でも分かります)
そこで目で見て確認できる方法を考えてみました。
赤波長と青波長の確認手順
さっそく検証方法の手順です。
まずホームセンターなどで買える「色セロファン」を用意します。5色入り数百円くらいで、赤と青が入ったものが買えると思います。
察しが良い人はもう分かったと思いますが、このセロファンシートをLEDライトの光に被せるだけ。
赤いセロファンは赤波長だけ通す
原理を簡単に説明すると、白い光の中には複数の色波長(スペクトル)が含まれており、いろんな色の光りが混ざって白光に見えています。
その白い光を赤セロファンで遮ると、赤以外の波長はセロファンに吸収され、赤い波長のみが透過します。赤い光りだけが見えるという事。
(例えば、交互に並んだこの赤LEDチップと青LEDチップに赤セロファンを被せると・・)
(赤LEDだけ通過して光り、青LEDは消えてるように見える。)
そして逆に、青いセロファンは青色波長をばっちり通すわけです。
ただし注意点があって、赤セロファンはほぼ赤波長だけを通すのですが、青セロファンは完全に青だけでなく緑や黄色もけっこう通し、さらに赤も少し通しちゃいます。
(青色だけでなく、赤LEDもほんのちょっと点いてるのが見える。)
なので、今回参考までに青の実験も一緒にしてますが、青波長の光度はばっちり比較できるわけじゃありません。
と言っても、心配は要りません。
水槽用LED照明は発光させる仕組み上どんな商品でも、青波長が他の波長に比べて断然高いので、青の光が足りないという事はまずありません。
なので青の実験では「このライトは光量があるんだね」くらいに見ておきましょう。
大事なのは赤波長。
赤セロファンを通過した赤の光は、ほぼそのLED照明の赤波長強度なので、赤の明るさ具合でメーカーごと赤波長を簡単に比較できます。
実際にLEDライトを比較
ということで、実際にいくつかLEDライトを比較してみます。
ちなみに写真はホワイトバランス固定、1/125、ISO100、EV+1ですべて撮影しています。
コトブキ工芸フラットLED300とアクロOVAL LEDブライト300
水草水槽用LED照明の中でもスタンダード的存在のコトブキ工芸「FLAT LED300(フラットLED)」と、驚きの光量ながら低価格のアクロ「OVAL LED BRIGHT300(オーバルLEDブライト)」をテストしています。
ちなみにフラットLEDは、白・赤・青すべてのLEDチップを点灯しています。
(※オーバルLEDは全チップ白色です)
赤セロファンの検証
コトブキのフラットLEDに赤セロファンの明るさ検証がこちら。
次に、アクロOVALブライトに赤セロファンの明るさがこちら。
フラットLEDの赤波長に比べてオーバルブライトは倍以上かもという感じでしょうか。
ただ、フラットLED300が385lmでオーバルブライト300が1850lmと、全体の光量に5倍近く差があるので、そう考えるとフラットLEDの赤波長も大健闘という感じ。
ちなみに、赤波長の強化用に私が時々使う赤LED球クリップライトも実験。
(奥の赤いヤツです)
やっぱり強烈です。けれど、この赤LED球よりオーバルの赤波長の方が強いですね。
青セロファンの検証
続いて、青セロファンの検証がこちら。
フラットLEDに青セロファンの明るさ。
OVALブライトに青セロファンの明るさ。
青セロファンに関しては、緑や黄色と言った波長も含まれるので、オーバルの方はもう水草の緑が少し分かりますね。やはり光量の差による影響が大きく出ます。
そしてついでに、赤LED球にも青セロファン。
当然ですが、全く見えません。。通してもごく僅かですから。
この写真じゃ何が何だか分からないと思うので、確認用に近くの常夜灯を付けて状況が見えるようにもう一枚撮影。
こんな感じでした。
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LED照明の波長テストまとめ
というわけで、各LED照明の赤波長がこんなに簡単に確認できます。
それにしても何かこのページ、アクロOVALを絶賛するような感じになってしまいましたが、OVALブライトは本当に費用対効果抜群なんですよね。
水草効果が高い白色LED照明といえばADAのアクアスカイが有名ですけど、OVALは「アクアスカイG301」より光量があって価格は約3分の1。さすがに「アクアスカイムーン」には光量で劣りますが、価格はオーバルの約4倍ですし。
もちろん照明性能は今回の実験のように単に光量だけじゃ語れないんですが、う〜ん、アクロ凄い。
ちなみにアクロと言えば、通称“オニギリLED”でお馴染み「TRIANGLE GROW(トライアングルグロー)」の方が水草に最適と評判なので、白色LEDのみのブライトは観賞用かと思われがちですが、水草育成に充分使えます。
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アクロOVAL LEDブライト300ブラック 1850lm BRIGHT Aqullo Series 30cm水槽用照明 ライト 熱帯魚 水草 関東当日便
色はブラックとシルバーの2種類あります。
そして参考までオニギリLEDがこちら。
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アクロ TRIANGLE LED GROW 300 1000lm Aqullo Series 30cm水槽用照明 ライト 熱帯魚 水草 関東当日便
リーズナブルな価格ながら驚きの水草育成能力と、水槽照明No.1の評価が高いアクロ「トライアングルグロー」。赤色LEDチップで赤波長を強化しています。
トライアングルグローが登場するまでは、この価格でこれだけの光量と波長バランスの良いLEDライトはありませんでしたからね。
ちなみに、フラットLEDが全然ダメって訳ではありませんから誤解のないように。
価格はオーバルより安いですし、光量は少なくても波長バランスが良いですから、1つでも多くの水草が育ちます。
背丈のあるハイタイプ水槽だとちょっと弱さが目立ちますが、安いから2つ買っても良いですしね。こちらの方が形状が薄くて好きという方もいるでしょう。
そしてフラットLEDは色味がすごく良い。鑑賞的には一番好きな色です。
波長バランスの良いフラットLEDを2灯だと、lm(ルーメン)は低くても水草の育ちはもしかしたらオーバルLED1灯より良くなりそう。調べてませんけど。
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コトブキ工芸 kotobuki フラットLED SS 3042 シルバー 関東当日便
(最新フラットLED SS。シルバーとブラックあります)
最後に。
この波長テストはLEDだけじゃなく蛍光灯やメタハラと比べる事も出来ます。しかもけっこう面白いので、気になった方は是非やってみてください。
(メタハラなどは発熱量が凄いので、セロファンが溶けないようにご注意を。)
アクロOVAL商品の水草育成具合についてレビューした記事もあります。よろしければご覧ください。
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