水槽流木の水カビは急いで対処すべし!
水槽レイアウトで人気の流木は、おもむきと存在感があり、入れるだけでアクアリウムの大きく雰囲気を変えてくれるお手軽アイテムのひとつです。
ですがレイアウトしている流木は、水槽内でも特に水カビが発生しやすい場所でもあります。
水カビ菌自体は大気中どこにでも存在するので、完全に駆除する事は出来ません。
生体の死骸や食べ残したエサなど栄養が在るところに着床して大きくなります。
そして植物(木)の死骸でもある流木は、ごくゆっくりとですが常に腐敗していきますから、いくらアク抜きをしっかりしても、抵抗力のある生きた生体や無機質な石と比べると、カビが着床しやすくなります。
目視できるほどの水カビが発生すると、遊走子(胞子)が水槽内に急速に蔓延し始め、本来は抵抗力のある熱帯魚や水草でも、怪我をしたヒレの傷口や傷んで枯れた葉の部分に遊走子が付着・発芽して水カビ病を発症させてしまいます。
ですから、白い半透明な綿のように付着するカビを見つけたら早急に対処しましょう。
ここでは私の水カビ対処法を書いてみます。
私の水カビ対処法
水カビの早期発見が大切
言わずもがなですが、日々の観察で早期発見が大切です。
水カビは、水流が弱いところでは白く細いヒゲのような菌糸や、水流のあるところでモコモコと薄い綿のように見える場合もあります。
とにかく毎日よく観察していれば、以前と様子が違う事は早い段階で分かります。
水カビ流木を水槽から取り出すのが最善
流木に付着してしまった水カビは熱滅菌か薬品消毒しか、完全に死滅させる方法はありません。
ですが水槽に入れたまま熱することは当然出来ませんし、水槽に水草や魚やエビが居れば、安易な薬浴も難しくなります。
ネットを調べるとマラカイトグリーンやメチレンブルーなど薬浴の方法も多く見られますが、薬剤は水草やエビ、そして水槽環境を整えてくれている微生物にも大きなダメージを与えてしまいます。
深刻な水カビ病になってしまった熱帯魚などは別水槽に移して対処も必要ですが、流木であれば取り出して対応するのが一番手っ取り早く無難です。
煮沸やブラシで滅菌
取り出した流木は、水カビの付いていたところを中心に全体を歯ブラシやタワシ等で擦り落とし、さらにアク抜きの要領と同じように煮沸します。
事前のアク抜きが足りないと水カビが付きやすいですから、そういう意味でも煮沸は効果的です。
ブラックウッドのような煮沸できない流木は、擦った後、水道の流水でよく洗い流します。
(※ブラックウッドを煮沸すると、内部のタールが滲み出てベタベタになるので注意)
その後、可能であれば水道水を溜めた桶(バケツなど)に数日ほど水換えしながら沈めておくと、塩素(カルキ)の消毒効果と水カビの再発具合が確認できます。
数日後、木の表面にまだヌメリを感じるようであれば、再度ブラシで擦って洗い流します。
ちなみに、流木に水草を着床させている場合もあると思います。
水草をそのまま生かすなら、植物が着床した流木ごと取り出して水カビの繁殖した部分を擦り落とし、水道水でよく洗い流す対処法が現実的です。
この時、カビが付いていた水草の葉などは出来るだけ剪定(トリミング)・撤去して良い部分だけ残しましょう。残す葉も痛めない程度に指で摩り洗いするなど、よく洗います。
分かりやすく菌糸が残っていると、またすぐ再発する危険は高くなります。
流木が取り外せない場合
レイアウトによって、流木が取り外せない状況もあるでしょう。
その場合は大胆な対処法は出来ませんから、水カビの発生している箇所を歯ブラシ等で擦り落として水換えが現実的です。
擦る際は、舞い散らさないように吸い出しながら行えれば最善です。
再発率は高くなりますが、目に見える水カビを撤去しながら環境を整える方法に注力しましょう。
環境の作り方については、下記「水カビが発生しない水槽環境を作るために」項目からご覧ください。
薬剤や重曹で消毒は?
取り出した流木のみを、薬剤や重曹で滅菌する方法もあります。
ですが、流木は薬品成分を内部に吸い込んでしまい、特にエビのいる水槽に戻した時に影響が出やすいので、私はおすすめしません。
主に熱帯魚のみの水槽であればこの方法も悪くありませんが、濾過バクテリアや繊細な魚種には影響が出やすいですから、薬品に浸け置きした後に流水で良く洗い流して、もう一度真水に数日浸けるくらいはしたいところ。
薬品が内部に残ってると水カビは付きにくいですが、完全に抜けてしまえばカビが付きやすいのは同じです。
また、治療薬として用いられるマラカイトグリーンやメチレンブルーですが殺菌剤としても使われる強い魚毒性がありますから、生体のいる水槽には可能な限り入れたくないところです。
せっかく着床してるバクテリア類には大打撃ですし、メチレンブルーは水草も枯れさせてしまいますから、ちょっとした水カビの対処の筈がそれ以上に水槽環境を壊してしまうことも多々あります。
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水カビが発生しない水槽環境を作るために
目で確認できる水カビを対処したら、次に水カビが発生しない水槽環境を考えましょう。
バクテリア環境を整え、富栄養化に注意
水カビはバクテリア環境が崩れたり、水が富栄養化してると出やすくなります。
水槽立ち上げ初期や、水草を減らしたり底床を掃除し過ぎるなど、バクテリア環境が未熟な時に発生しやすいです。
つまり、水草肥料を止めたり、水換え頻度を上げる、生体と水草のバランスを良くするなど、環境を安定させることが大切です。
水槽環境はセッティングによって状況も千差万別ですから、どう対処すれば正解か、水槽によって変わります。
言えるとすれば、バクテリアの定着・安定を作り、水草が欲する適量の栄養を意識して、照明・生体数を踏まえた水換え頻度・CO2等を調整することです。
水草のある水槽では、バクテリアの定着と水草の元気を意識する事。
それが生体(熱帯魚やエビ)の健康と水質安定の、一番のポイントです。
餌を与え過ぎない
餌の与え過ぎは、富栄養化の原因となります。
ちなみに私は、食べ残さないように1〜2分程度で食べ切る量を1〜2日に1回だけ与えています。
餌の量が適量でも、水槽サイズや水草量に対して生体数が多いと排泄物で富栄養化が加速しますので、その分水換えの回数を多くします。
水換え頻度
富栄養化を抑えるには、水換えが最も効果的です。
生体に影響が出ないように、水槽全体の4分の1から3分の1程度の水量を入れ換えます。
また基本的な事ですが、新しく入れる水は水槽の設定温度にしっかり合わせてゆっくり足していきます。
ただし水換えは、顕著な富栄養であれば水カビ抑制に効果的ですが、貧栄養である場合はバクテリア繁殖に逆効果になります。
環境を考えた水換えについては、以下に詳しくご紹介しています。
水温を高めに設定するとカビが付きづらい
水温が高いと水カビは付きづらくなります。なので28〜29度くらいまで上げると発生しにくくはなります。
ですが水温は、生体や水草、微生物にも大きく影響するので、むやみやたらに上げるのは危険です。
特にエビや水草、濾過バクテリア類も高温に弱いので、上げても27度くらいかなと思います。
現状が23度くらいで飼育しているなど、まだ温度を上げても大丈夫な場合は、多少上げてみると良いかもしれません。
その際、水温の変化で生体や環境が大きく崩れないように、ゆっくり徐々に水温を変えると生体の負担が少ないです。
ただ富栄養問題やバクテリアの環境作りの方が、水カビ対策の優先順位は上ですから、23〜26度の範囲で常に一定に水温管理しているのであれば、それほど気にしなくても良いでしょう。
ヤマトヌマエビは水カビを食べる?
水カビを食べる生体について探すと、ヤマトヌマエビが水カビを食べるという情報が見つかります。
これは実際に食べるところを目撃したワケではないので何とも言えませんが、多少の水カビなら食べてくれるとのこと。
正直、カビを食べる生体という時点でイマイチ信憑性がないので、私は試した事がないですが、水カビが頻繁に発生するようであれば、苔取りの一員としてとりあえず入れてみるのも良いかもしれません。
とはいえ、ふさふさとした水カビが発生したら、ヤマトどうこうの前に水カビを撤去するのが先決でしょう。
ちなみにヤマトヌマエビは成体になると小型熱帯魚よりも大きく育ち、葉の薄い水草を食べる食害もありますから、導入する前に相性を確認すると安心です。
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水カビのまとめ
入れた流木に水カビが薄く付いていたので、この記事を書いてみました。
ですが流木に付着した状態の写真を撮り忘れてしまい、水カビ画像がありません、ごめんなさい。。
ただ、とても薄く発生してた状態なので、携帯カメラで上手く捉えられるかどうか分からないくらいでした。
今回水カビが出た原因を考えると、新しく入れた水草のために若干肥料を増やした事と、熱帯魚を2匹増やした事が大きいでしょう。水量20リットル弱のこのミニ水槽では、たかだか2匹と言えどもやはり大きいです。
これから私が出来る対策としては、肥料の微調整と水換え頻度を少し増やすこと。
ですが前回、大幅に水草ロタラをトリミング撤去したため、今は新しい水草のボリュームを増やしたいところ。肥料を減らすより水換え頻度を増やす方向で考えています。
水草が育って落ち着いてきたら肥料を最低限まで減らすので、水質も安定しやすくなり、水換え頻度も従来まで戻せるだろうと思っています。
水草と肥料の関係って、人間のダイエットみたいなところ、ありますよね。食べなきゃ健康は維持できないけど、摂り過ぎれば病気の原因になる。。偏った食事というべきか。
話は逸れましたが、多少の水カビが出たところでそれほど心配する事もないんですよ、大抵。もともと水カビの付きやすい流木が水槽に無ければ、たぶん水カビも出ないレベルですし、死んだ有機物(流木)を菌類(カビ)が分解するのは自然の摂理なんですから、ぶっちゃけ。
カビ菌なんて水槽内をどれだけ綺麗にしても、大気中にいくらでも存在していますから、カビ菌が繁殖しないような安定した環境作りが大切なわけで。
ですが逆に今回水カビが出たお陰で、水質の小さな変化に気付けたという事も言えます。繁殖して増えたカビは、放置しておいて良いものではありませんからね。
アクアリウムは眺めることが楽しみですから、そこで日々の小さな変化を見逃さないように、魚のヒレやウロコの状態やエビの動き、苔の種類や量、水草の葉色や状態なども意識して観察したいところです。
追記:流木のレイアウトを変えて
新しく導入したヘアーグラス(ショート)株を増やすのに邪魔だったので、一時期は流木を出していたのですが、根張りもだいぶ落ち着いてきたので、レイアウトを変えてまた流木を入れています。
やっぱり木の茶色い暖色が入ると、水槽も急にしっくりと落ち着いた感じになりますね。良いです^^
入れて1ヶ月ほどで流木にうっすらと緑コケが付き始めました。こうなると水槽の状態が良いのが分かります。
緑コケが嫌な人は再度取り出して歯ブラシで擦るか、ヤマトヌマエビなど、より強力な苔取り生体に頑張ってもらうしかないですが、私はこれも雰囲気が出て好きです。
またこの水槽はソイルではないですから、どうしてもpHが中性よりアルカリ性気味になるため、流木を入れると腐植酸の影響で少し酸性に傾いて、よりエビ達の居心地が良くなっているようです。
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