サイアミーズフライングフォックスが最強コケ取り生体だと思う訳
水草水槽メンテに欠かせない“コケを食べる熱帯魚”、「サイアミーズ・フライングフォックス」。
ヌマエビ以外のコケ取り生体として有名で、黒髭コケだって食べてくれる可愛いやつです。
ただ、個体差によってコケ取り能力が全然違うなんて情報も多く、まったく食べない個体もあるとか言う話も。。
でもね、全く食べないなんて「その情報、嘘なんじゃないの?」ってちょっと疑ってるんです、私は。
我が家にいるサイアミーズ達は、どの子も驚くほどに茶ゴケはもちろんアオミドロ(糸状コケ)も黒髭コケ(それほど好まないけど)もバクバク食べてくれる大食漢。
正直、コケ取り最強と言われるヤマトヌマエビより全然すごいじゃんって感じです。各水槽にたった1匹でも。
(奥にいるのは似てるけどブラックネオンテトラ。よく間違えて求愛行動らしき挙動してます。。)
ということで、こんなに愛おしいサイアミーズフライングフォックスの汚名挽回という感覚で、私の実体験を元にこの記事を書いています。
サイアミーズの導入を考えている方はご参考下さい。
サイアミーズフライングフォックスはこんな魚
まず初めに、サイアミーズフライングフォックスの名前や飼育環境について少しご紹介。
- 原産地
タイ、マレーシア、インドネシア辺り
- 最大体長
約10〜12cm
- 寿命
5年以上
- 水質pH
弱酸性〜弱アルカリ性
- 餌
コケ、生き餌、人工餌
名前にある“サイアミーズ(siamese)”は、タイ国の旧名で“シャム国の”という意味。原産地そのままですね。
ちなみに皆さんご存知のシャム猫も、“シャム国の猫”という意味で「サイアミーズキャット」と呼ばれます。
サイアミーズフライングフォックスの最適pHは弱酸性寄りなのでしょうけど、コイ科の種だからか水質の変化にもけっこう強く、うちの水槽ではpH7.5程度のアルカリ性でも元気にハムハムしています。
そして基本草食とはいえ、超雑食。
コケだけじゃなく生き餌や人工餌も普通に、いやガツガツ食べます。
ここまでに皆さんが導入で気になる点は、体長(大きさ)と雑食性ってところでしょうか。それらも含めて以下に続きます。
サイアミーズのメリット・デメリット
メリット
メリットは言うまでもなく高いコケ取り能力!
水槽内を自由に泳ぎ回り、水草から底床、ガラス面、ヒーターや濾過装置などあらゆる部分の苔をキレイにしてくれます。痒いところにも手が届く感じ。
(フィルター放水部分も、鮭の滝登りのように水流に逆らって食べる掃除能力!)
しかも食べ方が優しく上品なので、柔らかい水草でも葉を傷めず、綺麗に食べてくれます。
ヘアーグラスのような細い葉も上手に掃除します。
コケを食べる姿は、同じく人気メンテナンスフィッシュのオトシンクルスにそっくりですが、食べるコケの種類や掃除量はサイアミーズフライングフォックスの方が多く、また水質への耐性も強く育てやすいのは圧倒的にサイアミーズでしょう。
デメリット
デメリットは体長が最大で12センチほどになるので、成魚だと小型水槽には持て余す点。
また、個体差もありますが大きくなるとテリトリー意識が少し強くなり、グラミー系などゆったり泳ぐ魚との混泳相性があまり良くないです。
この辺り、人工餌を与え過ぎず、水槽に食べるコケがあると穏やかさを維持してくれる傾向にあります。
ちなみに私の水槽では、例えば45センチショートスリム水槽でネオンテトラなど小型魚と、30センチキューブ水槽ではトランスルーセントグラスキャットフィッシュと一緒に泳いでいます。
各水槽に1匹ずつでもコケ被害を抑制して、キレイな状態を保ってくれています。
サイアミーズフライングフォックスが好むコケは?
我が家のサイアミーズ・フライングフォックスが好むコケ種ランキングはこんな感じ。
- 1位:茶ゴケ
- 2位:アオミドロ
- 3位:緑ゴケ
- 4位:糸状ゴケ
- 5位:黒髭ゴケ
やはり茶ゴケは柔らかくて美味しいんでしょう。硬いコケ種の順に、後回しになるようです。
アオミドロも糸状藻の一種ですが、4位の糸状コケはアオミドロと違い、髪の毛のように一本ずつ伸びる種類のコケ。
形状が食べにくいのか、硬いのか、はっきり視認できないのか、そこまで好んで食べてはくれないです。
黒髭ゴケは、他に茶ゴケやアオミドロなど好むコケが無くなると、少しずつ食べてくれます。
とは言え、他コケ生体に比べると格段に高いコケ取り能力で、景観維持に欠かせない掃除のプロという存在です。
コケを食べないサイアミーズフライングフォックスに疑問
サイアミーズ・フライングフォックスの事がざっと分かったところで、私がなぜ「サイアミーズがコケを食べない」という情報が信じられないか、その理由を書いてみます。
どの個体もコケをよく食べてる
うちには現在、一つの水槽に1匹ずつ計4匹のサイアミーズが居ますが、サイアミーズ達はどの個体も良くコケを食べます。
今までヤマトヌマエビ数匹で追いつかなかったコケでも、サイアミーズ1匹で綺麗にしてしまうくらい。
(潜り込んで器用に食べる姿。弱アルカリpH水槽にて。)
とりあえずヤツらを見てると、起きてる間は四六時中コケをむさぼっています。
ガラス面から葉の裏側まで、ヒレで上手にホバリング(?)しながら器用に食べてくれます。
生き物ですから確かに個体差はあるでしょうけど、我が家ではコケ取り能力に大きな違いを感じません。そりゃ成魚と子供の体格差では食べる量も違いますけども。
ちなみにうちのサイアミーズは同時期に購入した訳ではなく別々に迎え入れ、各水槽に1匹ずつ泳いでいます。
“サイアミーズは学習能力があり、コケを良く食べる個体が一緒だと他の個体もよく食べ始める”といった情報もありますが、その点でもうちの子達は元気な仲間に同調してる訳ではないようです。
飼い方や環境は大丈夫?
サイアミーズは丈夫で飼いやすい部類の熱帯魚ですが、それでも生き物ですから酷い水質の汚れや極端なpH変化はやはり体調を崩します。
もし不調の原因がその他だったとしても、元気が無い個体がコケを食べずにじっとしてるのは当然でしょう。
そのサイアミーズ、健康ですか?
(pH6.5の水槽。ソイルが黒いと同化して見失います。。)
それ本当にサイアミーズ?
サイアミーズ・フライングフォックスにそっくりな「フライングフォックス」と呼ばれる種がいます。
(※頭に“サイアミーズ”が付かない別種)
サイアミーズが本物と言われ、偽物なんて揶揄されるちょっと可哀想なフライングフォックス。
その見分け方・特徴の違いはこちら。
- 体の黒いラインが尾びれまで入ってるのがサイアミーズ
- 黒ラインの上に細い黄(白)ラインがあるのはフライングフォックス
- 口が下向きに尖っていて、小さいヒゲがあるのはサイアミーズ
- ヒレ・目の上に黄色や赤の模様があるのはフライングフォックス
(サイアミーズもヒレが全体的に黄色味ががるが、模様というほどではない)
(こちらがサイアミーズ。予想以上にすばしっこいのでピンボケしてます。。)
淡水のコイ科は種類が豊富で似た種も多いですから、熱帯魚卸問屋でもフライングフォックスという名で数種ほど流通してるみたいです。
写真が用意できれば良かったのですが、最近ではサイアミーズ以外人気がなく、“ただのフライングフォックス”を仕入れるショップも少なくなってますね。
その別種は“小さいうちはコケを食べるけど成魚になるとコケを食べなくなる”と言われています。
という事でちょっと混乱しそうになりますが、「コケを食べない個体」はもしかして違う種という可能性も。。フライングフォックスをすべてサイアミーズと称して売ってる場合もあるようですから、購入時はご注意ください。
コケを良く食べる飼い方のコツ
本物と偽物なんて所まで突っ込んでみましたが、そうはいってもどんな生物でも多少なり個体差があるものです。うちの子は皆コケをガツガツ食べてますけども。(汗)
そこで「コケを良く食べる飼い方のコツ」も書いてみます。
ちなみに下の動画は、うちのサイアミーズのコケ取り風景。
(他水槽のコケ付き水草を入れたら早速モフモフとコケ掃除。ヤマトヌマエビも参戦。)
人工餌を控えてハングリーに!
人工餌を与え過ぎないこと。これが一番重要です。
栄養価が高くバランスの取れた人工餌は、コケより美味しいのかもしれません。人工餌に満足すればコケを無視することだってあるでしょう。植物性の餌もありますし。
エサの量は大丈夫でしょうか?
コリドラスに似た下向きの口は、沈降性エサの食べ残しもキレイに食べてしまいます。
サイアミーズをコケ取り生体として飼うなら、エサの与え過ぎ・食べ残しに注意しましょう。
実はうちのサイアミーズも1匹、初日はあまり食べませんでした。
そこで他の熱帯魚には悪いけど1日餌を抜いたところ、翌日には少しずつ苔を食べ始めました。
もしかしたらこの個体は、ショップで充分にエサを与えられていたのかもしれません。
人工餌は最も水質を汚す原因なので、うちのエサやりは基本的に1日1回で少なめ。
この点も、どのサイアミーズも元気にコケを食べる理由だと思います。
ちなみに餌が充分に食べられる環境に慣れると、餌の取り合い・テリトリー意識からか攻撃的な面が強くなります。
水質を安定させる
水槽水質を安定させるのはアクアリウムの基本ですが、サイアミーズフライングフォックスにとっても当然大事。
オススメの水質はおおまかにpH6.5〜7.5、GH2〜4程度の範囲で、硝酸塩やリン酸塩濃度も高くなり過ぎないように注意しましょう。
コケ生体を導入する状況からして既に富栄養な環境が多いかもしれませんが、水槽サイズに対する生体数やエサの量、底床の汚れは、真っ先に改善するべきところです。
サイアミーズの体調が悪い場合は、「過密飼育」「エサのやり過ぎ」「フンの経年蓄積」「過剰肥料」「水換え不足」など、再確認しましょう。
と言ってもサイアミーズは、熱帯魚の中でもかなり丈夫な方だと思いますけども。
気性の荒い魚との混泳を避ける
テリトリー意識が強く気性の荒い熱帯魚との混泳は避けましょう。
サイアミーズフライングフォックスはそれほど臆病では無いですが、どんな魚でもいじめられれば衰弱しますから。
ちなみに一つの水槽に複数のサイアミーズだと、片方が激しく攻撃される事があります。
1匹でも充分綺麗にしてくれる力がありますから、それでもコケが出る場合は、水槽環境の見直しが必要でしょう。
水槽フタの設置を推奨
水槽フタの設置がおすすめです。
サイアミーズフライングフォックスは、突然勢いよく泳ぐことがあります。
サイアミーズフライングフォックスのまとめ
水槽のコケ掃除ナンバーワンと感じるサイアミーズフライングフォックスについて、私の経験を踏まえて書いてみました。
ぶっちゃけ地味な見た目ですが、いそいそとコケを食べる姿はかなりキュートで、体調が良いとウロコやヒレの艶もよく、眺めていて飽きない美しさがあります。
ただ勘違いしてはいけないのが、コケの除去を生体にばかり任せるのではなく、富栄養化の根本的なコントロールが第一前提ということでしょう。
環境が改善されない事には、いくらコケ取り能力があってもキリがありません。
もちろん整った水槽環境でも、少なからずコケは発生します。
それでも出てきたコケに対して最後の仕上げとしてサイアミーズフライングフォックスの力を借りるのが、綺麗な水槽を上手に維持するコツだと思います。
最後にちょっと小ネタとして。
サイアミーズフライングフォックスの糞は苔の色そのままだったりします。
(緑コケを食べた後はこんな緑色!)
そして面白いのが、その糞をヤマトヌマエビ達が食べるという。。
サイアミーズはそれほどしっかり消化してるわけではないようですね〜。
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うちのサイアミーズフライングフォックスも、こちらで注文して届いた子です。
最後に。
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