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選んだソイル、正解ですか?

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ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる!?

おすすめは?ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる!

ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる”なんてちょっと大袈裟なタイトルですが、あながち間違いでもないんです、これが。

 水草を育てた経験が少ない方ほど、どのソイルを使うかでだいたい水草育成が上手くいくかどうか想像がつきます。

 そのくらいソイルは、ブランドによって水草の育ち方から各種コケの発生具合、pHなど水質に至るまで大きく変わります。
 そしてそれらが悪い方向に影響したとき、対処する手段を知らない初心者ほど、目に見えて失敗します。

 ですが逆に、初めから最適なソイルを選べば、水草が格段に簡単に育てられます

 そこでここでは、水草のあるアクアリウムに失敗しないために、ソイルの考え方や選び方について書いてみます。

「ソイルについて色々調べてみたけど、吸着系だの栄養系だの言われてもイマイチ分からない」
なんて方に読んでいただければと思います。

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おすすめのソイルは環境次第!

水草水槽やりたいんだけど、ソイル選べば何でもいいんでしょ?

 私がアクアリウムで相談された時に、よく聞くフレーズです。

 まあ、知らないのだからそんなものです、私も初めはそうでした。
 それでもアクアリウムが初めてでも、“水草にはソイルがおすすめ”なんて情報は、どこかしら見聞きするんですよね。

 ただ、ソイルならどれでも良いわけではありません

「じゃあ、おすすめの商品教えてよ」

 そういうことでも無いんです。
 最高に良いソイルと最悪に駄目なソイルがある訳じゃないんです。

 大切なのは、環境に合ったソイルを選ぶこと。

 人気があるソイルだからと言って、はたまた評判が良いからと言って、あなたが同じものを使っても水草がうまく育つとは限りません。

そもそもソイルって何なの?

 そもそもソイルとは何なのか、簡単に説明しますので、不要な方は飛ばしてくださいね。

水草水槽に適した土として登場

 ソイルを簡単に説明すると、水中で崩れないように土を粒状に固めて高温で焼成したものです。濡れても泥化せずに形状を維持して、水槽底床で長期間の使用に耐えられるように開発されました。

ソイルは水草水槽に適した土として登場

(火山灰土の黒ボク土を使用した黒いソイル)

 そしてその目的は主に、水草が育つ環境を容易に作るためです。
 水草の必要とする栄養分を蓄えたり、pHを弱酸性に保つ、水を綺麗にするバクテリアが繁殖しやすい、濁りを吸着する等々、ソイルには様々な素晴らしい効果があります。

 ちなみにこの画期的なソイル、世界に先駆けて日本で誕生したものです。今では世界中で愛用されていますね。

ソイルの多様化

 ソイルの需要が増え始めると次に、使用する原料の土を変えたり、より崩れにくく改良したり、肥料分を配合したり、pH調整剤を混ぜたりと、各メーカーがソイルに強い特性(個性)を持たせるようになります。

などなど。

 そしてこの特性を水槽環境に合わせることが、ソイル選びで重要となってきます。

「ソイルなのになんで水草が上手く育たないんだろう・・」
「ソイルだからコケやすいよ!」

 こんなふうに、ソイルを一括りで語ってしまうのは間違いなんですね。
 各ソイルブランドによって、栄養の含有具合から水質への影響などなど、全然変わってきます。

吸着系ソイルと栄養系ソイル

 各ソイルの特性を分類する呼称として「吸着系ソイル」とか「栄養系ソイル」なんて呼び方があります。

 ⇒吸着系ソイルは、高い陽イオン交換能力によって、魚の出すアンモニアやpH上昇の原因となるミネラルイオンをどんどん吸着してくれますが、含有栄養分は少なめ。

 ⇒栄養系ソイルはその名の通り、水草が必要とする栄養素をバランスよく豊富に配合したソイルです。吸着系より弱いとはいえ、もちろん陽イオン交換能もあります。

粒の大きさはノーマルとパウダー

 使用環境に応じて、これまで様々な粒の大きさが登場しました。
 ですが現在は、ノーマルサイズ(約3〜5mm)とパウダーサイズ(約1.5〜3mm)、ブランドによってスーパーパウダー(約0.5〜1.5mm)の3種類がほとんどで、後は需要が少なく消えていきました。

ノーマルソイルの大きさは約3〜4ミリ

(これがGEXのノーマルソイル。)

 メーカーごとに多少のサイズ違いはありますが、ノーマルに比べて小さいパウダーの方が水草の根張りが定着しやすいことから、下層(下地)はノーマルで上層のみ細かいパウダーを敷く使い方が一般的です。

 パウダーソイルだけ使うということはあまりありません。

 ただしノーマルのみ使うアクアリストも多いです。
 パウダーはノーマルに比べて底床内の通水性が悪くなるため目詰まりを起こしやすく、底床バクテリア環境の悪化も早くなりがちなためです。

 私も近年はノーマルばかり。

 植え初めは多少水草が抜けやすかったりもするのですけど、しっかり根付いてしまえば同じですし、良い底床環境を長持ちさせてくれる方が合理的で、長い目で見て助かる部分も多いのでノーマルサイズだけ使っています。
 底床バクテリア環境は、水草はもちろん水槽環境全体に影響しますから、長期的なメリット優先です。

 パウダーソイルは、比較的高回転で水草レイアウトを変える水槽に使いやすいです。

 もちろん成分的には変わらないので、一度パウダーも使ってみると自分の好みが分かると思います。

ソイルの寿命

 ソイルの一番のデメリットと言えるのが寿命です。

 いくら長期間崩れないと言っても、柔らかめのソイルブランドでだいたい1年〜2年くらいで崩れ始めて目が詰まってきます。
 また、硬めのソイルで形状を維持していても、弱酸性pHを維持する能力養分を蓄える保肥効果は、時間とともに低下していきます。

 逆に、ソイル以外の大磯砂(石砂利)やサンド(砂)、ゼオライト系底砂などは、崩れることなく半永久的に使えるメリットがあります。

 ですが、これらはどうしてもアルカリpHの傾向が強く、栄養分を保肥する能力もありません
 弱酸性〜中性を好む熱帯魚や水草種が多い淡水アクアリウムでは、アルカリ性水質は難易度が高くなるため、やはりソイルの人気は衰えません。

ソイルは寿命もあるけど水草水槽に一番最適

(ソイルは弱酸性pHや保肥効果で水草育成を容易にする)

 まあ1年半から2年も同じ水槽を管理していれば、どんな底床材であっても汚れ成分の蓄積で安定した底床環境が維持しにくくなりますし、同じ水景に飽きて新しいレイアウトに挑戦したくなったりなんて事もあるでしょう。

 そう考えれば、ソイルの寿命も言うほどデメリットではないかもしれません。

 ということで、初めての水草水槽にはやはりソイルがおすすめなんですね。

どんな水草を育てたい?

 それではソイルの選び方について、本題に入っていきます。

 でもその前に。
 あなたはどんな水草水槽をイメージしてますか?

 水草水槽が初めてだと水草にどんな種類があるかも分からないでしょうから難しいと思いますが、もっと簡単に考えてみて下さい。

 もしかしたら、4「試しにちょこっと植えてみたい」なんて人もいるかもしれません。

 さて、なぜこんな質問をしたかというと、感の良い方はもうお分かりでしょう。

 ソイルは、植える水草全体の栄養消費度に合わせて選びます。

 これが例えば、水草は少ないのに栄養豊富すぎるソイルを使うと、緑ゴケやアオミドロといったコケ被害で水草を育てるどころではなくなってしまいます。
 逆に水草が目一杯あるのに栄養分の少ないソイルでは、勝手にどんどん育つような育成簡単な水草でさえ枯れてしまうこともあります。

栄養豊富なソイルには緑ゴケやアオミドロが発生しやすい

(高栄養なソイルの溶出分でアオミドロが自然発生。肥料添加なし。)

 なので、入れたい水草の量に合わせてソイルの栄養含有レベルを選ぶ事がとても重要です。

ソイル養分を必要とする順位は?

 では次に、もうちょっと踏み込んだ問題。
 先ほどのイメージ例ですが、どのイメージが最も高栄養ソイルを必要とするでしょうか?

 それぞれに番号を付けているので、左から多い順に並べてみます。

3草原 ≧ 1ジャングル > 4ちょこっと > 2流木・石

 どうでしょうか、想像通りだったでしょうか。

 “3草原”と“1ジャングル”は導入する水草によって入れ替わることもありますが、一般的にこんな感じの順番になります。
 前景で育てるような小さくて勢いよく増える水草(グロッソ・スティグマやキューバパールグラス等)は、栄養要求量の多い種類が多いです。また、養分が十分にないと密度の濃い育ち方になりません。

 ちなみに、“4ちょこっと”と“2流木・石”の順位ですが、水草の量は“2流木・石”の方が多いですけど、ソイルに根を張る水草は4の方です。流木や石に活着させた水草にとってソイルの栄養具合はあまり関係ありません

 なので活着系レイアウトを考えてる場合は、一般的に栄養の少ない吸着系ソイルを選ぶと、コケが付きにくく育てやすいですね。

「じゃあ、ソイルじゃなくても良いじゃん」

 いや、やっぱり初めはソイルが無難だったりします。なぜってソイルは水草の育ちやすい水質を簡単に作ってくれるからです。
 いくら活着系水草だってpHや硬度が高い水は苦手ですから、育たないことはないけど弱酸性水質なら育成も断然容易になります。ソイルはそんな良好な水槽環境を、いとも簡単に作ってくれる。

 その代わり、吸着系ソイルなら餌を与える熱帯魚を適度に入れたいところです。
 それについて、次の項目に続きます。

熱帯魚の数はどのくらい?

 今度は、熱帯魚の数です。

 どのくらい入れたいですか?
 具体的な数値ではなく、「多め」「適度な数」「全く入れない」程度で考えてみましょう。

 実は生体に与える餌にも、水草が必要とする栄養素「窒素」と「リン」が含まれています。
 そしてこの窒素やリン酸は、魚が排泄する糞やアンモニアにも含まれており、その栄養素で水草が成長できるんです。

 ただし、過剰になってしまうと今度は逆に黒髭コケやアオミドロといった厄介なコケの繁殖を促してしまいます。

 つまり、この生体数も考慮してソイルを選ぶことで、栄養が過剰にならないようにコントロールすることが出来ます。
 栄養が適量なら、水草が吸収して飼育水の汚れも抑えられるから、各種コケの心配も少なくなり、ガラス掃除や水換えの手間を減らすこともできます。

生体数も考えてソイルを選ぶ

 生体数が多い場合は、窒素・リンの控えめな吸着系ソイルが候補になり、逆に魚を入れない水草メインの水槽では、窒素・リンを含む高栄養ソイルが挙がります。

 そしてここに水草量も加味されて、最適なソイルが決まります。

 環境に合わせた最適なソイルとは、各自の理想的な水槽状況に合わせたソイルということ。だから、漠然と「おすすめソイルは?」なんて聞かれても困る訳です。

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環境別おすすめソイル一覧

 ソイルの選び方について、経験から得たこと、私がアクアリウム初心者の頃に疑問だったことなど書いてみました。

 大切なのは、あなたが作る水草水槽の完成イメージから、生体数と水草量に合わせてソイルを選ぶことです。

 最後に、おすすめソイルをいくつか挙げておきます。
 ソイルの種類は本当にたくさんあるので、選ぶ参考まで。

吸着系低栄養ソイル

 熱帯魚メインで水草はお試し程度に少し入れたいという場合、低栄養な吸着系ソイルが最適です。
 生体の排泄するアンモニアも吸着しつつ、底床のバクテリア環境がしっかり作れます。
 ビーシュリンプなど低pH水質を好む飼育にも適しています。

※ただし、成長の早い陽性水草を入れる場合は水草量が少なくても適度な肥料分が必要なので、中程度栄養ソイルを選びましょう。

JUNプラチナソイル

 安定した低pH環境を維持できるとして、ビーシュリンプ飼育で人気のJUN「プラチナソイル」です。
 水槽の濁りや汚れを吸着する力も高く、苔の少ない水槽が作りやすいソイルです。

GEXピュアソイル

 “濾過する砂”の文字通り、水槽水の不純物や汚れを強力に吸着してくれるGEX「ピュアソイル」

 各ソイルブランドの中でも硬めのソイルで、長期使用にも安心感あり。初期栄養分はかなり少なめなのでコケの心配も本当に少ないですが、水草を育てる時は固形肥料の添加が早めに必要になります。

中程度栄養ソイル

 熱帯魚の数も適度に入れつつ、水草もそれなりに育てたいという場合におすすめなのが、中程度栄養ソイル

 適度な肥料分を含みますが、窒素やリンはそれほど多くないので、水草を育てるなら生体の排泄物がある程度必要というイメージです。
 その分、コケも抑えやすく無難に水草も育ちます。

NISSOカスタムソイル

 NISSO「カスタムソイル」は吸着系と呼ばれる事が多いですが、カリウムや微量元素といった必須栄養素に加えて適度に窒素やリンも含むので、肥料要求の少ない陰性水草はもちろん陽性水草にも対応します。ヘアーグラス系と相性良し。

 水草を初めて育てたい初心者には一番扱いやすいソイルじゃないかと思います。

Marfiedコントロソイル

 Marfied「コントロソイル」も吸着系の中でもまあまあ栄養分を含むソイルで、pHをしっかり下げてくれるし育てられる水草種も多いです。
 驚くことに肥料喰いで有名なグロッソ・スティグマやキューバパールグラスなんかも結構育っちゃいます。さすがに養分の枯渇は早くなりますけど。

高栄養ソイル

 最後に、水草をがっつり育てたい方や、魚は入れずエビと水草だけの水草を作りたいなんて場合に、高栄養ソイルがおすすめです。

 窒素・リン・カリウム・微量元素と、植物が欲するすべての栄養素を十分に蓄えているので、密度の濃い水草草原レイアウトやジャングルのような水草水槽でも、葉の綺麗な容姿に育てることが可能です。

 ただし栄養分が豊富なため各種コケも発生しやすくなりますから、水槽立ち上げ初期の水換えを多めにして溶出する養分を排出したり、初めから植える水草を多くしてどんどん栄養素を吸収させるのが上手く維持するコツです。

GEX水草一番サンド

 GEX「水草一番サンド」は、溶リン酸や硫酸カリ、有機物など豊富に含み、肥料要求度の高いどんな水草でもばっちり育ちます。
 また高栄養ソイルは粒強度が弱く潰れやすい傾向があるのですが、このサンドは形状もしっかりしていて長持ちするメリットもあります。

 ただし栄養が豊富な分、立ち上げ初期のアンモニアなど養分溶出も多めですから、初めの水換え頻度を高くして環境を整える事が大切です。
 とはいえpHを下げる能力も十分で、最初の1ヶ月くらいはpH6を下回ったりますから、pH5〜6の酸性水質を好む南米水草やチョコレートグラミー、ディスカスの飼育も容易です。

アクアソイルアマゾニア

高栄養ソイルADAアマゾニアの使い方

ADA公式サイト

 最後にADA「アクアソイル アマゾニア」

 実はこのアマゾニア、今回の“おすすめソイル”に入れるべきか迷って、初めは記載していませんでした。

 なぜかというと、初心者には扱いづらいところがあるから。
(後日追記しました)

 このアマゾニアは、先に紹介したソイルのどれも比較にならないくらい腐植分(有機物)が多く、初期のアンモニア放出がかなり多いです。もう別格の高栄養ソイル。

 そのため立ち上げ初期は毎日の水換えから始めて1週間〜2週間、溶出する養分具合に合わせて徐々に水換えを減らしていきます。
 さらに、初めから栄養を消費する陽性水草多めが基本で、照明も高光量商品を選び、CO2添加器具も設置したいところ。

 つまり水草の成長を促してソイル養分を使ってくれないと、コケが繁殖しやすいんですね。

 またソイルも柔らかめで崩れやすく目詰まりしやすいので、1年を超える長期維持にはちょっとコツも要ります。

 ただし養分が多いので底床ソイルへの追肥は長期間要りません。これが最大のメリット。

 こんな感じで、アマゾニアを使うなら照明やCO2器具など設備の初期投資もある程度必要ですし、立ち上げ時の管理にしても、初心者が気軽に選べるソイルとしてはハードルが高いかなと思ったりします。

 とはいえ逆に考えれば、豊富な水草にも十分な栄養を供給できて追肥の心配が少ない等、本格的な水漬水槽レイアウトに使うには最適なソイルなんですね。
 1年程度の早いスパンでリセットしてまた水草レイアウトする使い方なら、ソイルの潰れもあまり気にしませんから。

 なので「本気で水草水槽レイアウトやるぞ!」って方は是非挑戦してみると良いでしょう。

ちなみにADA商品はメーカーの意向で通信販売していませんから、ネット購入できません。お近くのADA提携店で購入できます。

 

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