水草に与える肥料のやり方とコツ。

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水草が枯れる!水槽肥料のやり方と考え方

水草が枯れる!水槽肥料のやり方と考え方

 アクアリウムで定番の水草ですが、長期的に維持するとなれば遅かれ早かれ必要になるのが肥料です。

 水槽のように隔離された空間では、植物が欲する何かしらの栄養素がどうしても枯渇していきますから、それまで施肥しなくても大丈夫だった水草も長年育てていれば突然調子が悪くなるのも仕方ありません。

 とはいえ、水草が枯れてしまうから肥料を与えると言っても、経験がなければ豊富な商品の中から適した肥料を選ぶだけでも難しい事と思います。かく言う私も初めはそうでした。

 そこでここでは、水草肥料のやり方とその考え方についてご紹介しています。

水草はこんな肥料が必要

 肥料を与える前に知っておきたいのは、水草がどんな成分を欲するかということです。
 少し面倒に感じる人もいるかもしれませんが、肥料の与え方を考える上で是非知っておきたいところです。

 簡単に説明していきます。

必要とする成分

 植物が光合成に必要とする3大栄養素

 水草だけでなく観葉植物など植物全体で、光合成を行う際に必要な代表成分です。

 ですがこの3つの中で水槽の水草に与える肥料としては、ほぼカリウムだけと考えて良い状況が多いです。

 というのも、熱帯魚の排泄する糞やアンモニアはバクテリアに分解されて硝酸になりますが、これが窒素化合物でありその窒素を使える事、そしてリン酸も魚のエサや排泄物、底床ソイル等に含まれています。

 つまり魚を飼育する水槽環境では、窒素やリン酸は勝手に蓄積していき、枯渇する事があまりありません。
 なのでカリウムが最も水草の成長不全の原因になりやすい成分です。

 もちろん窒素やリン酸が不足する状況だって無い訳ではありません。
 初めから豊富な水草量に対してかなり少ない生体数の環境餌を与える魚が居ない環境、さらにソイルを使わず大磯砂や田砂を使う立ち上げ初期などに起こりやすいです。
リン・窒素に関しては最後尾で書いています)


 3大栄養素の他に少しずつ必要なミネラル等があります。
 全部覚える必要はありませんが参考までに、硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素などです。

 これらを総じて微量元素と呼ばれます。

 微量元素は名の通り、リン・窒素・カリウムに比べて必要量はごく少量なので、個々に施すことはあまり無く、主に総合肥料という形で添加します。
 微量元素の中で敢えて個別に与えるとしても鉄分マグネシウムくらいですが、施肥経験が少ない方は基本的に総合肥料が無難でしょう。


 この他、頭の片隅に覚えておきたいのが、空気や水から得るもの

 この中で、炭素(C)は皆さんもご存知の光合成を促進するCO2添加によって供給したりします。

 そして水草も呼吸をするので酸素、さらに観葉植物に水をあげるように水草も水の水素を得ています。

 ちなみに水道水には微量元素のカルシウムイオンやマグネシウムイオン(水硬度成分)も含まれていますが、これらも水換えで得ています。

肥料として考えるのは?

 上記に挙げた成分の中で肥料として考えなければならないのは、大抵の場合カリウムと微量元素です。

 熱帯魚やエビが一緒に住む水槽では、リン酸や窒素は供給されます。正確には人工餌を与えてる場合ですね。

 もし水草のみの水槽であった場合は当然、リン酸塩や窒素分を配合するソイルや肥料も考えなければいけません。ですが大抵は、アクアリウムの醍醐味である生体も一緒に飼育しているでしょう。

 ということで、肥料として意識しなければならないのがほぼカリウムと微量元素だけだと分かると、肥料添加もそれほど難しいものではないと思えてくるはずです。

固形肥料と液体肥料の考え方

固形肥料と液体肥料の考え方

 次に固形肥料液体肥料(液肥)の考え方です。

 水草用肥料には固形タイプと液肥の2種類あります。初心者にとってはどちらを選ぶか悩ましいところですが、地上の植物を基準に考えるとそれほど難しいことでもありません。

 陸地の植物は通常、土中の根から3大栄養素(リン酸・窒素・カリウム)や微量元素を吸収します。これは水草でも根本的に同じで、根から吸収するのが主です。底砂に充分な養分があれば底床に根を張る水草はすくすくと育つ訳で、底床に施肥するなら固形肥料ですね。

根から栄養を吸収する水草には固形肥料

(ランナーや地下茎(根茎)を伸ばして増える種は特に根が主体。比較的前景草に多い。)

 ただし水草の場合、種類によっては枝分かれした葉や茎の分かれ目(節目)から根を出すものも多いですよね。浮き草のような漂う種もあります。
 なので液肥は底床中の根からではなく、表に見えている根から吸収されるものと考えます。

 ここまでが簡単な考え方です。覚えやすいでしょう?
 これだけでも肥料のやり方に対応できるのですが、もう少し正確な事も書いておきます。

 水中葉の水草は通常、葉や茎の表皮が薄く多くの穴が開いています。
 これは呼吸や光合成の際に必要な酸素や二酸化炭素を吸収・放出する意味合いが高いと言われていますが、地上の植物とは違い、この穴からはさらに成長に必要な養分も直接細胞に吸収できます。

 つまり、根からだけでなく水草全体の表面からも栄養素を摂取できるということ。

 確かにウィローモスのような水草は、石や流木に活着するための根(活着根)がありますが、養分を吸収するためというより水流に流されないようにする役割が大きいです。

南米ウィローモスの養分吸収に液肥が有効

(南米ウィローモス。葉の裏側に髭のような小さい活着根があるだけ。)

 ただ水草は葉や茎の表面から栄養素を吸収できると言っても、ほとんどの種は根からの吸収がメインですから、先の簡単な説明をしました。

アクアリウム水草の多くは湿地の植物

 アクアリウムで人気の水草は、そのほとんどが湿地で育つ植物です。

 水草の「水上葉」とか「水中葉」って聞いたことあるかもしれませんが、水辺に住む植物達は水が減って水位が下がっても生きていけるように水上葉を出し、水が増えて水没しても水中葉を出して順応する能力があります。

 水槽に入れる水草の多くが、そういった水上に葉を出しても育つ種なんですね。それを水中に適応させて育てるわけ。

 で、水上葉を出してる時には当然、根から多くの養分を吸って成長します。この根の構造は水没して水中葉を展開してる時も同じ。

 つまり、根から養分吸収する能力が高い水草が多いんです。

 ちなみに数は少ないですが、水上に出ることのできない完全な沈水性水草もあります。
 ガボンバやアナカリス(オオカナダモ)、マツモなど金魚藻と呼ばれる種類や、バリスネリアの仲間なども水の中でしか生きていけない水草です。

 こういった沈水性水草は水中への適応能力が高いので、pHや水質もうるさくなく丈夫で育てやすい種が多い、そして根を持たない種もあったり、体全体で栄養を吸収する能力が高いです。

 まとめると、底床内の根には固形肥料、水槽水全体では液肥、これが基本的な考え方です。

 浮き草やリシア(これも本来、浮き草)やモス類(苔類)、根が表に出ている活着水草といった液肥が効果的な種類。それ以外は固形肥料だけで充分カバー出来ます

 それでは、固形肥料のデメリットや液体肥料の良さなども踏まえて、それぞれの特徴を挙げます。

固形肥料の特徴

固形肥料の良い点

 大抵の固形肥料は1ヶ月スパンから半年など長期に渡って徐々に成分を溶出するので持続する効果が長く、肥料を与える手間が少なくて済みます。

 ゆっくりと溶け出すために、水槽の水質を大きく変えてしまう心配も少なくなります。

 また、水草の種類によって肥料要求量が変わる場合に、それぞれの根元に狙って埋め込む事で、各水草に合わせた施肥が出来ます。

固形肥料の悪い点

 成分がゆっくり溶出(正確には微生物の分解によって徐々に表出)しますから、即効性は低くなります。
 また埋め込んだ近くに作用するため、全体的にカバーするにはバランスを考えた計画的な施肥が必要になります。

 固形肥料は水に濡れると数分で崩れてしまうものが多く、一度施肥したらそのままの形で取り出す事は出来ません。
 どうしてもやり直す場合は吸水クリーナー等で底床内を吸い出す方法ですが、グロッソやヘアーグラスなど前景草を水草絨毯のように敷き詰めていると難しくなります。

液肥の特徴

液肥の良い点

 液肥はポンプ式スプレーボトルで吹き付けたり水槽水に足すだけなので、施肥が簡単に出来て、効き目も早く即効性が高いです。
 また、個々の栄養素単体の商品も多く、鉄分のみやカリウム単体の添加も可能です。

液肥の悪い点

 液肥は通常、水槽水に流すタイプなので、pHや硬度など水質の変化が顕著に現れます。そのためヌマエビや繊細な魚など生体に影響が出ないように注意が必要です。

 即効性はありますが、一度に多量添加する事は出来ませんから持続力はなく、毎日〜数日に1回等こまめな施肥が必要です。

 また液肥だと飼育水全体に広がるので、水草の種類別に成分を調整する事はできません。栄養不足の水草だけの施肥はできない。

 そして、根からの栄養吸収がメインの水草には当然、液肥が充分に効きにくい。底床深くまで伸びた根には届きにくいですから。

 グロッソスティグマやブリクサなど根張りが良く肥料食いと言われる水草の多くは、根からの栄養吸収が重要です。
 これらが充分に栄養を得られるように液肥を添加すれば、飼育水が富栄養になってコケを助長してしまいます。

 この場合に液肥をメインで使うなら、シリンジ(注射器型スポイト)などで底床内に注入する対処が有効です。

結局、固形肥と液肥どっちがいいの?

 固形肥と液肥はどっちがいいのか。それはご自分の水槽で決まります。

 すべての水草が底床に根付く環境では断然、固形肥がメインです。
 というか、多くの状況がこちらでしょう。

 じゃあ液肥は?というと、入れてる水草のほとんどが流木や石に活着させている環境や、モス類が主役の水槽などでは、液肥をメイン肥料として使いますが、それ以外はサブ的な存在です。

 例えば、底床に根付く水草は固形肥で調子が良いけどウィローモスだけ肥料不足なんて時に液肥を少し添加するとか、背の高い水草がうっそうと茂っていて底床の固形肥だけでは水草上部の色揚げが追いつかないから液肥でカバーするとか、そんな感じでしょうか。

固形肥料メインで液肥がサブと使い分ける

(ソイルに根付く水草のため、固形肥で底床栄養をしっかりと。モス類のため、液肥もちょこっと添加してる水槽。)

 写真のように、根付きの良いブリクサ・ショートリーフ(右奥)やアフリカンチェーンソード(右)、キューバパールグラス(右中央)のために固形肥や高栄養ソイルで底床の栄養を整え、活着の南米ウィローモス(手前)やウォーターフェザー(左)には液肥でほんの少しサポートしてあげる具合です。

 活着水草以外でレイアウトしてるのに、もし「立ち上げからずっと液肥だけで管理してます」なんて言う水槽は、基本的に底床が高栄養ソイルであり、底床の保肥があるからあとは液肥で調整できるわけで、底床に栄養が無くなったら液肥だけで美しい水草の維持は難しくなります。

 固形肥と液肥で迷ったら、こんな感じで適材適所に選びましょう。

モスに肥料は要らないは大間違い

 よく「ウィローモスに肥料は要らない」なんて言われたりしますけど、これはただウィローモスが丈夫で枯れにくいだけで、枯れる事だって普通にありますし、モス本来の美しさを知らない人、結構多いです。

 モス類だって植物である以上、必ず栄養素は必要です。

「魚の排泄物の栄養で・・」っていやいや、先に書いたように排泄物からは窒素とリンがほとんどだから、それだけじゃカリウムなどミネラル分が足りない事もあるわけ。

 確かにある程度豊富に魚を入れた水槽だと硝酸塩やリン酸塩とわずかなミネラルで、施肥しなくても枯れないこともありますが、カリウム液肥をちょこっと与えると全く別の水草かと思うくらい見違えます。本当に綺麗。

美しいウィローモスはちょこっと液肥添加で育てる

(手前が南米ウィローモス、奥がウォーターフェザー)

 底床のソイルや固形肥からのミネラル溶出でモスを綺麗に維持する育て方もありますが、ボリュームがあるならやっぱり液肥ですね。
 コツは、ちょっとずつ入れてみること。繊細ですから。

 モスの栄養も考えてあげましょう。

水草に施肥するタイミング

 水草に施肥する(肥料を与える)タイミングが重要です。そして初心者には、ここが一番難しい点でしょう。

 もちろんこのページをご覧頂いてるのですから水草の調子が良くないのでしょうけど、水草が調子を落とす原因は肥料だけではありません。水草が好むpHや水温、硬度の問題、照明の強さや波長、もしかしたらエビや魚の食害なんて事もあります。

 栄養素は充分足りているのに「水草の元気が無いから」と無闇に肥料を入れれば、ミネラル分による硬度やpHの上昇、また富栄養化から藻やコケ被害を招くだけです。

 そこで陥りやすい勘違いを挙げてみます。

肥料以外の水草が弱る理由

 肥料以外に水草が弱る理由は、環境です。

 考え方としては、その水草が育つ原産地の自然環境をイメージすると分かりやすいかもしれません。

水温が合わない

 ほぼすべての水草が高温に弱く、30度以上の水温ともなるとどんどん枯れていきます。

 流通する水草の多くは23度〜27度程度の水温を好みます。また、熱帯地方の水草は高温だけでなく15度以下の低温でも衰弱します。

 冷却ファンや水槽用クーラー、保温ヒーターで水温をしっかり管理して、夏場の温度上昇や冬の低温に注意しましょう。

真夏の水温上昇に注意!

 夏場のアクアリウムは特に水温上昇に注意しましょう。30度を超える水温で水槽を崩壊させる方が多いです。
 こんな記事も書いてますので、ご参考ください。
⇒「水槽用冷却ファンクーラーの能力とメリットデメリット」こちら

光量が足りない

 水草は光合成を充分に行えないと生きていけません。アヌビアスナナ系やクリプトコリネ系など陰性植物のように弱い光でも育つ水草は別として、ライト照明の光量不足で枯れてしまう種もあります。

 また、現在主流のLED照明は、商品によって水草の好む赤色や青色の波長バランスが悪いタイプ、いわば鑑賞用のみの物もありますから、選ぶ際は注意が必要です。

 光量が足りなければ、クリップライトやスタンド照明を追加する方法もあります。
 追加する場合はLEDではなくコンパクトでも光量が出せる蛍光灯だと、失敗が少なくおすすめ。もちろん水草育成に良いLEDであれば問題ありません。

水草水槽におすすめLED照明

 昔は高価で性能もイマイチの印象だったLED照明も、現在はリーズナブルながら高性能な商品が出ています。
 特におすすめはこちら。

 アクロ「トライアングルLEDグロー」は同程度の光量商品に比べて安価ながら、青波長はもちろん赤波長のバランスも良く、この照明1灯あれば大抵の水草は育ちます。

水草にpHが合わない

 多くの水草は弱酸性のpHを好みますが、中性よりアルカリ性に傾いた水槽では葉や根が溶けてしまう事が多々あります。

 種類によってレイアウトの石や底床の大磯砂は、カルシウムなどミネラルが溶け出して硬度を上げ、pHがアルカリに傾きやすいです。
 岩石や大磯砂が駄目という訳ではありませんが、選ぶ水草によってpHを下げるために流木やピートモスを使ったり、換水頻度を調整するなど対策が必要です。

 また地域によっては、換水に使用する水道水自体が既にアルカリ性という事もあります。この場合は底床に弱酸性を簡単に維持してくれる“ソイル”を選ぶのが最も無難です。

 ちなみに水槽立ち上げからソイルを豊富に使っている場合、初期肥料が必要ない状況は多いです。
 もちろん貧栄養な吸着系ソイルや、初めから肥料要求量の多い水草を豊富にセットした場合など初期肥料が必要な状況もあり一概には言えないのですが、ソイル水槽で初めから水草の調子が悪いのは、光量や水温、バクテリア環境の未熟など他の要因も多いです。

 またどんなに栄養豊富なソイルでも、水草が育てば徐々に枯渇していきます。

 ソイルについて詳しくは、こちらの記事もご参考ください。
⇒「おすすめは?ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる!」こちら

酸素やCO2が不足

 陸上の植物では酸素や二酸化炭素が足りなくなる事はまずありませんが、水中の水草、しかも水槽のような隔離された環境では、CO2不足酸素欠乏が起こりやすくなります。
 光合成にCO2の炭素は不可欠ですし、常に水草も呼吸活動を行っていますから、CO2や酸素が不足すれば成育の障害となります。

 水草がぎっしり植わっている、特に成長の早い陽性水草の割合が多い水槽ではCO2が足りない状況も起こりやすいですから、CO2添加したり、無添加ならエアレーションで水面を対流させる等、CO2濃度を高めます。

発酵式CO2添加は簡単だけど効果抜群!

 水草水槽を始めたばかりの方にとってCO2添加は敷居が高いイメージもありますが、発酵式CO2なら簡単に抜群の効果を実感できます。私も今だにずっと愛用していますから。
 以下の記事もご参考ください。
⇒「水草の発酵式CO2添加装置をペットボトルで自作する作り方」こちら

水草の症状別、施肥時期

 上記のような栄養欠乏以外の原因をクリアしても水草の調子が上がらなければ、やっと肥料の出番です。

 水草の症状別に見た施肥時期を書いていきます。

 ただし、経験を積んでいけばある程度分かってくるのですが、いかんせん症状の似通っている事が多く、初心者にはどの栄養素を追肥するかは非常に難しいところです。

 そこで分からない場合は難しく考える前に、まずはカリウムと各種微量元素をすべて配合した総合肥料を少しずつ添加してみるのが簡単でおすすめ。

 またpH変化による生体への影響を考えると、酸性に傾いた水槽なら液肥でも大きな失敗は少ないですが、ほぼ中性かそれ以上の水槽では液肥でpH上昇しやすいので、固形肥料が使いやすいと思います。

下葉が枯れる

 新しい葉が出る上部は葉がしっかりしているのに、照明の光から遠くなる下葉が徐々に黄色く(白く)枯れていくのはカリウムマグネシウムといったミネラルの不足かもしれません。

葉の緑がまばら、葉脈を残して黄ばむ

 葉の緑色がまばらになる、葉脈の緑を残して黄ばむ等の症状はマグネシウム不足の可能性大。鉄分は主に頂点の新芽、マグネシウムは下葉に影響が出やすい。

新しい葉が小さくシワシワ

 新芽の縮れや萎縮は様々な栄養素が当てはまります。カリウム不足カルシウム不足鉄分不足など、どれが正解かは各水槽の状況によって変わってきます。

葉色が白っぽくなり発色の低下

 新芽の成長部分が白くなるのは鉄不足マンガン不足など、下葉が白っぽくなるのはカリウム不足マグネシウム不足などが疑われます。

草姿全体が黄ばむ

 草姿全体が黄ばむのは窒素不足リン不足が濃厚。

成長が鈍くなる

 新芽が出にくくなるのはリン不足カルシウム不足硫黄不足、その他、必要な栄養素がどれか一つでも欠けると成長が鈍くなり、最悪溶けて枯れてしまうなんて事にも繋がります。

 「リービッヒの最小率」とか「ドベネックの桶」なんて言葉を聞いた事があるかもしれませんが、植物の成長は必要な栄養素がすべて充分に揃って初めて活発に育ちます。

肥料を与えるコツ

 各肥料商品には肥料添加の分量や使用方法が書かれていますが、その内容があなたの水槽に当てはまるとは限りません。水量やpH、水草量、生体数、底床の種類など様々な要因が絡んできます。

 例えば・・、

などなど。

 そこで、各肥料の商品説明に書かれた添加量はひとつの目安として、まずは少量ずつ使って様子を見るのが良いです。

 そして、水草の成長や葉色がアカラサマに改善されるのであれば適量ですし、茶ゴケや黒髭ゴケが増加したら過剰添加、もしくは栄養のバランスが悪いなんて要因も考えられます。

 とにかく大事なのは、固形肥料にしろ液肥にしろ入れ過ぎないこと

 液肥は水質を急に変えるので、添加量が多いと生体が嫌がり大きなストレスとなりますし、逆に、固形肥料は微生物に分解されながらじわじわと溶け出すので、多く入れ過ぎるとのちのち手の付けられないコケ被害となる事もあります。

 水槽環境は個々に全く違いますから、いずれにしても各商品の規定量うんぬんではなく、ごく少な目から始めるのが施肥のコツです。

ソイルとその他底床で施肥量は変わる

 また、ソイル底床とその他(大磯や田砂、ゼオライト系砂利)の底床では、肥料添加量がまったく変わってきます

 ソイルは保肥能力が高くpHを抑えてくれるので、多少余分に添加しても水質が崩れにくいですが、その他底床だとカリウムやカルシウム、鉄分といったミネラルが溶出しやすく水質が変化しやすいためです。

 溶出する栄養分が増えればコケの増殖はもちろん、硬度も上がってヌマエビなど生体への影響が顕著になりますし、さらに巡り巡って水草自体への悪影響にも繋がります。

 状況は多様ですからかなりアバウトな表現になってしまいますが、例えばソイルなら分量1入れても全然大丈夫だけど、その他底床だと2分の1とか3分の1入れただけで環境が荒れてしまう事も。結局4分の1以下でちょうど良かったなんて事が起こったりします。

 ソイルにしろ他の底床材にしろ施肥で大切なのは、ごく少な目から始めて、焦らず徐々に増やしながら最適な量を見極めること。

 水草は、水質や根付きの状態が悪いと一気に衰弱しますが、栄養の枯渇では思ったよりゆっくり変化します。なので、植えてから一度でも元気に成長した時期があれば、栄養不足で急に枯れることはありません。
 また、枯渇した状況からちょっと栄養素が添加されるだけで、分かりやすく反応し始めます。

 初めに少量添加してみて1日置き、変化がなければさらに少量追加、これを繰り返して新葉が見え始めたら様子を見る。こんな慎重さがあると失敗が少ないでしょう。
液肥だと翌日には反応が見れますが、固形肥料は反応が出るまで数日〜5日程度掛かります。)

失敗しづらい初心者向け肥料

 失敗しづらい初心者向け肥料として、私が今まで使ってみて良かった商品を挙げておきます。

 他のネット情報でもおすすめ肥料としてよく紹介される定番が多いですが、やはり定番だけに大小あれどいろんな水槽環境で効果を発揮してくれます。

 ちなみに、肥料は配合されている栄養素が重要です。人気順位で決まるものではなく、ご自分の水槽に必要な栄養を含む肥料を選ぶ必要があります。
 ここではカリウムと微量元素メインの固形肥料を中心にご紹介していますから、餌を与える魚が居る水槽に合った商品です。

 窒素・リンを含む総合肥料については、このページ最後尾の「窒素不足」項目をご覧ください。
 私が使うその他の液肥についても、最後尾に書いています。

 また、立ち上げ後間もないソイル水槽だと、ソイルの含有栄養素が充分にある可能性が高いので、水草の調子が悪い原因が本当に肥料不足なのか慎重に事を進めましょう。

GEX水草一番栄養ブロック

GEX水草一番栄養ブロックを愛用

 GEXの「水草一番栄養ブロック」は、水草を売っているホームセンターなら手に入るくらい流通してますが、非常に使いやすくバランスがとても良いです。
 3大栄養素のカリウム中心にビタミン、マグネシウム、各微量元素が微生物によってゆっくりと放出されます。

 パッケージにもMgって表記されてますけど、この“マグネシウム”バランスがとても良いんです。

 私の小型水槽では約一ヶ月に一度1〜2粒からを施肥したい水草周りの底床中心に埋め込んでいます。ネットが安く、まとめ買いするとお得。

 ちなみに施肥後1週間ほどは硬度がぐっと上昇するので、特にソイル以外の底砂環境やpHがアルカリ性に傾いている水槽では極少なめに。埋め込んで数日、タイミングをみて水換えで硬度を抑えるのがおすすめ。
 どちらかというとソイル水槽向け。

※パッケージが新しくなって写真と違いますが、モノは同じです。

テトラ イニシャルスティック

テトラ イニシャルスティックは長期肥料として最高

 テトラ社イニシャルスティックもかなり定番の固形肥料です。これもカリ主体ですが、わずかに窒素分も入ってるようですね。その他カルシウムやマグネシウム、鉄など微量元素もカバーします。

 どちらかというとソイル水槽ではベースに使う肥料という感じで、ソイル以外の水槽には抜群のメイン肥という印象。

 ボトル裏面に水量に対する補充量と基本1年ごと追肥と書かれてるのですが、私の場合、ソイル水槽は半年に一度くらい、規定量のさらに半分以下を全体に埋め込み、セラミックサンド底床ではひと月毎に数える程度の少量をまばらに挿します。
 このペースだと使い切れないんじゃないかと思うくらい容量たっぷりです。

 総水草の吸収具合にも依りますがイニシャルスティックも水硬度を上げるので、入れ過ぎに注意して、水草が消費する必要最低限を与える感覚で添加する使い方が良好です。

マーフィード トロフィカルK+

 マーフィード「トロフィカルK+」はカリウム液肥です。

 水草水槽で一番枯渇しやすいカリウムミネラルのみ添加したい場合に最適です。
 私も通常は総合固形肥料で底床を充実させ、定期的にカリウム液肥のみ添加する場合がほとんどです。

 ちなみに商品説明の規定量ではほぼ過剰になるので、規定量の半分以下から始めて調整していくのがおすすめです。

 カリウム単体ミネラル液肥については、使い方のコツや安価に自作する方法など、最後尾でも解説してますのでご覧ください。

Fe-Energyアクア濃縮タイプ

エフイーエナジーアクア濃縮タイプ二価鉄水溶液

 ときどき使う単体ミネラル栄養素、鉄分の液体成分(鉄分だけだと肥料とは言わないらしい)。水草が吸収しやすい二価鉄水溶液です。
 新芽の発色が落ちて来たときや、特に赤系水草の色味を簡単に上げます。

 底砂にソイルを使用してる水槽ではソイルからの溶出でかなりの期間まかなえるのですが、大磯砂や田砂などソイル以外だとやはり枯渇しやすい栄養素です。
 もちろんソイルでも、長期間使っていると枯渇してきます。

 容量20mlと非常に小さいんですが、私のミニ水槽では添加量も極少量で、葉色が悪くなったら1日一滴ずつを数日垂らす程度なので意外と終わりません。

 大きい水槽でしたらFe類似商品のメネデール水草の活力素500mlが良いかもです。こちらの方が有名ですね。

 鉄ミネラルの添加過多は水質変化が大きく、生体にも影響が出るので、入れ過ぎに注意。
 水草にとっても、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどその他の必須栄養素の吸収を阻害してしまうといった害(ミネラル拮抗)もあります。

 商品の規定量のさらに4分の1とかから、少しずつ使うのがおすすめです。

 まあ鉄分は、ソイルにはもちろん総合肥料にも含まれてるので、絶対必要ってわけじゃないんですけど、赤系水草を簡単に色揚げするために気まぐれで添加するって感覚。
 欠乏してしまうと困るけど、本当にちょっとあれば良いという認識で使うのがベスト。

エーハイム バイオケア

EHEIM(エーハイム)BioCare(バイオケア)熱帯魚と水草の活力剤

 EHEIM(エーハイム)のバイオケアは肥料とは違いますが、観賞魚や水草の欲するビタミンやミネラルなど各種微量成分を配合したトリートメント活力剤。
 ミネラル分は水草だけでなく生体にも必要ですし、リセットせずに長年維持管理する水槽では生体のビタミン不足も起こりがちです。

 使用法は1週間に一度の添加となっていますが、私の場合、約2回に1回水換えの後に基準量の半分程度を入れると、全体的に安定しています。

 ちなみにこちらも添加後数日はpHが上昇します。

GEXメダカ元気はぐくむ水づくり

GEXメダカ元気はぐくむ水づくりカルキ抜き剤

 これも肥料では無いですが、ついでに。GEX(ジェックス)のカルキ抜き剤「メダカ元気はぐくむ水づくり」。有害な重金属も無害化してくれます。

 塩素除去剤なんて何でもいいとずっと思っていたのですが、私の水槽ではこの水づくりを使うと換水後の水草の色艶や魚の発色、エビのツマツマ具合が断然良いです、なぜか他商品に比べて。
 成分に塩化カリウムやキトサン、ビタミンB2、ビタミンCなどが含まれてますが、何の効果なのか正直分かりません。。

 たぶん多くのホームセンターで買えると思います。

 液垂れしないキャップがかなり使いやすい。安価な詰め替え用も有り。

その他使ってみた商品

 上記の他に、一度使ってみたけどお蔵入りした商品も挙げておきます。
 これは私の水槽環境に合わなかっただけで、ご自分の水槽にはぴったり当てはまる事も当然あると思います。

ジクラウォーターベニッシモ水草用

ジクラウォーターベニッシモ水草用を使った感想

 一時期少し話題になっていたジクラウォーター(zicraWATER)の水草用。カルキ剤としても使えて水草のミネラル栄養素がバランス良く配合されているとして使ってみたのですが、生体が十分泳いでいる水槽でこれを使うとどうしても黒髭ゴケや茶ゴケの発生が加速したので、通常は使っていません。

 このジクラウォーターは珪藻土が主体で、有効微量元素・鉄分・有機酸・ビタミン・カリウム等ミネラルまで入ってるみたい。考えてみれば珪藻土は植物が長い年月を掛けて堆積した土ですから、リン酸や窒素化合物まで入ってるのかもと思うんです、予測ですけど。

 なので、水草以外に魚など生体がいない(少ない)水槽や立ち上げ初期1ヶ月ほどでは、リン酸や窒素も枯渇しやすいので良いのかななんて。


 ここからは、ちょっと踏み込んだ施肥について。窒素・リンの不足についてもこちらに書いています。

 水草の栄養についてちょっと分かってきたら、読んでいただければと思います。

カリウム単体液肥の上手な使い方

 “自作カリウム液肥”なんて聞いたことあるかもしれませんが、昔からアクアリストの間で愛用されてきた炭酸カリウム水溶液です。

 カリウムのみ単体で施肥できる液肥なのですけど、水草が豊富な水槽や、背の高い後景草が密集したレイアウトモスや活着水草が多い水槽などにとても便利です。
 水草によってもカリウムの要求比率は少しずつ違いますから、カリウムと微量元素の総合肥料にプラスしてカリウム量を微調整してあげるのに最適なんですね。

 でも実際は、よく分からず使って失敗してる方が非常に多い。入れ過ぎちゃう。

 このカリウム単体液肥を上手に使えば、水草レイアウト全体の色味や輝きが見違えるのは確かです。

 炭酸カリウム液肥については、こちらをご覧ください。
⇒「自作カリウム液肥の作り方と正しい使い方のコツ」こちら

窒素不足とマグネシウム不足について

 最後に、ちょっと踏み込んだ内容も。

 これまで書いてきたカリウムと微量元素は水草育成の基本。水草水槽を管理しているとそれだけで解決できないことも起こってきます。

 その多くが、窒素不足マグネシウム不足

 ここまで経験すれば、水草の肥料知識はほぼ網羅したようなものでしょう。

窒素不足が疑われる環境

 まず窒素肥料について。

 窒素まで含む肥料の市販品が少ない事からも分かるように、熱帯魚の十分入った一般的な水槽は窒素やリンが過剰になりやすいので、その場合あえて肥料として添加する必要がありません。
 ただし、水草量と生体数の比率が断然水草に傾いてる水槽では、窒素不足リン不足が起こりやすくなってきます。

 窒素やリンが不足してる場合はもちろん、カリウム主体の総合肥料を使っても水草の調子は回復しません。

 窒素の枯渇については、以下の記事をご覧ください。窒素分・リン酸分を含む使いやすい肥料も紹介しています。
⇒「水草の窒素不足に尿素水を自作する方法と使い方」こちら

マグネシウム不足が疑われる環境

 次にありがちなのが、マグネシウム不足

 ソイルを使った低硬度の水質で起こりやすいミネラル欠乏で、日本の軟水を更にソイルで軟水化してしまうことが主な原因です。
 立ち上げ初期や水換え頻度の少ない水槽、水草が豊富な水槽などで見られます。

 カリウムや鉄分の単体液肥を過剰に添加したときも、ミネラル拮抗して起こることがあります。
ミネラル拮抗とは、過剰なミネラルが一つあると、その影響で他ミネラルの吸収阻害を起こすこと。)

 マグネシウム不足や液肥添加についてはこちらをご覧ください。
⇒「水草にマグネシウム・カルシウム添加!苦土石灰溶液の作り方と使用方法」こちら

鉄液肥の使い方

 鉄液はカリウム液とともにメジャーな液肥になってますけど、使い方はもっと繊細だったりします。

「赤い水草には鉄液肥を」なんてキャッチフレーズのようにそこかしこで聞きますが、これも状況次第。
“赤系水草の赤色は鉄の色”なんて情報もありますが、そんな訳ありません。。

 そんな鉄分供給については、こちらの記事もご覧ください。
⇒「水草の鉄分供給と鉄液肥の使い方」こちら

人気記事
⇒「水槽の正しい水換え方法!基本を知らない人が多すぎる!?」こちら

 

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