水草が枯れる!水槽肥料のやり方とおすすめ商品
アクアリウムで定番の水草は、水槽を華やかに彩り、生き生きとした自然美を見せてくれます。
綺麗な水草レイアウト水景は、何時間眺めていても飽きないものです。
そんな水草水槽を長期的に維持するとなれば、遅かれ早かれ必要になるのが肥料です。
水草は、常に各種栄養を吸収・消費して成長し、美しさを保ちます。
ですが水槽のように隔離された空間では、植物が欲する何かしらの栄養素がどうしても枯渇していきますから、それまで施肥しなくても大丈夫だった水草も、栄養が足りなくなれば突然調子は悪くなります。
とはいえ「水草が枯れてしまうから肥料を与える」と言っても、経験がなければ豊富な商品の中から適した肥料を選ぶだけでも、難しいことかもしれません。
そこでこのページでは、水草肥料のやり方とその考え方、そして使いやすいおすすめ肥料について、これまで育てた水草写真と共にご紹介しています。
目次
水草肥料を選ぶ前に知識が必要
肥料を選ぶ前に必ず知っておきたいのが、水草はどんな栄養成分を欲するかということです。
この知識がないと水草を綺麗に育てられないと思って間違いありません。
少し面倒に感じるかもしれませんが、施肥を考える上で知っておきたいところです。
ちなみに、これから挙げる成分すべてが満たされて初めて水草は成長します。一つでも足りないと育ちません。
そして一口に“肥料”といっても商品によって配合成分は違うので、それぞれの水槽環境で足りない栄養素を含む肥料を選ぶ必要があります。
ただ“評判が良いから”なんて理由だけで商品を選ぶと失敗するのは、このためです。
現在枯渇している栄養素が入っていない肥料では水草は育たず、厄介なコケを育てるだけですから。
そのためにちょっとした知識が必要なんですね。
それを踏まえて、簡単に説明していきます。
水草が必要とする栄養素
まず、水草が光合成に必要とする3大栄養素です。多量元素とも呼ばれます。
- リン酸:P
- 窒素:N
- カリウム:K
水草だけでなく観葉植物なども含め植物全体で、施肥の中心となる代表成分です。
窒素とリン酸は施肥不要なことも
この3大栄養素の中で、カリウムだけ必要という状況は多いです。
熱帯魚の排泄するアンモニアは、バクテリアに分解されて硝酸になります。
これらアンモニアや硝酸が窒素化合物であり、水草はその窒素分を使えること、そしてリン酸も魚のエサや糞(排泄物)、底床ソイルにも含まれています。
つまり魚をある程度飼育する水槽環境では、勝手に蓄積していく窒素やリン酸があります。
一方カリウムは流亡しやすく、自然に増えることのない栄養素なので、カリウムが最も成長不全の原因になりやすい成分です。
もちろん、窒素やリン酸が不足する状況だってあります。
「初めから豊富な水草量に対して少ない生体数の環境」や「餌を与える魚が居ない環境」、さらに「ソイルを使わず大磯砂や田砂を使う立ち上げ初期」、「高性能照明やCO2を十分添加してる水槽」などは、窒素・リン酸欠乏が起こりやすいです。
(※リン・窒素に関しては最後尾でも詳しく書いています)
- 微量元素
3大栄養素の他に、少しずつ必要なミネラル等があります。
全部覚える必要はありませんが参考までに、硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、ニッケルなどです。
水草栄養では、これらを総じて微量元素と呼んでいます。
微量元素はその名の通り、リン・窒素・カリウムに比べて必要量はごく少量なので、個々に施すことはあまり無く、主に総合肥料という形で添加します。
微量元素の豆知識
微量元素の中で、あえて個別に与えるとしても鉄分やマグネシウムくらいですが、難しく考えず基本的に総合肥料だけでも大丈夫です。
ちなみにこの微量元素の中でも、必要量が多いのはカルシウム、マグネシウム、硫黄の3つ。
これらは植物栄養学では中量元素と呼ばれ、カリウム・窒素・リンと同じ多量元素として括られることもあるほど、水草にとっても必要量は多いです。
ただし、カルシウムやマグネシウムはイオン状態で水道水(水硬度成分)に多く含まれていて水換えで得られること、また硫黄分も魚の餌や排泄物やソイルに十分含まれるので、水草肥料では微量元素に含まれています。
この他、肥料とは違いますが頭の片隅に覚えておきたい成分が、空気や水から得るもの。
- 炭素:C
- 酸素:O
- 水素:H
この中で、炭素(C)は皆さんもご存知の光合成を促進するCO2添加によって供給したりします。
そして水草も呼吸をするので酸素、さらに観葉植物に水をあげるように、水草も水の水素を得ています。
これらは肥料カテゴリとは別として、このページでは詳しく解説していませんが、必要不可欠な成分ですね。
肥料として考えるのは?
上記に挙げた成分の中で、まず肥料として考えなければならないのは、カリウムと微量元素です。
熱帯魚やエビが一緒に住む水槽では、その分リン酸や窒素が供給されます。正確には餌を与えてる場合ですね。
餌や排泄物から窒素やリンが充分得られる環境なら、基本カリウムと微量元素だけ含む総合肥料でOKです。
もし水草のみの水槽や、魚が少ない水槽の場合は当然、リン酸塩・窒素分を配合する肥料やソイルも考えなければいけません。
その場合は、窒素・リン・カリウム・微量元素を含む総合肥料が必要になります。
つまり水草の施肥では、どちらにしろカリウムと微量元素がまず必要と考えます。
それに加えて、窒素とリンが必要かどうかです。
それを見分けるポイントは、こちら。
- 餌を与える魚やエビが居るか?
- 水槽サイズに対する生体数が多いか少ないか?
- 栄養系ソイルを使っているか?
- 水槽立ち上げ初期か?
こんな考え方が、窒素・リンの過不足の目安になります。
立ち上げ初期は窒素・リンが足りない状況も多い
“立ち上げ初期かどうか”は、推測を誤りやすいところです。
最近のソイル商品には栄養分の少なめな吸着系が多くあるので、そういった吸着系ソイルは早めに熱帯魚を入れられます。
ですがソイルからの栄養が少ない反面、魚の糞やアンモニアから水草に充分な窒素やリンが満たされてくるには、少し時間が掛かるんですね。
そのため立ち上げ初期に、窒素・リンの不足によって成長不良になる事がよくあります。
こんな状況では、窒素・リン酸・カリウム・微量元素全てを含む肥料が必要です。
固形肥料と液体肥料の考え方
次に固形肥料と液体肥料(液肥)の考え方です。
水草用肥料には固形タイプと液肥タイプの2種類あります。初心者にとってはどちらを選ぶか悩ましいところですが、地上の植物を基準に考えるとそれほど難しいことでもありません。
陸地の植物は通常、土中の根から3大栄養素(リン酸・窒素・カリウム)や微量元素を吸収します。
これは水草でも根本的に同じで、根から吸収するのが主です。
底砂に充分な養分があれば、底床に根を張る水草はすくすくと育ちます。そんな底床に施肥するなら、固形肥料ですね。
(ランナーや地下茎(根茎)を伸ばして増える種は特に根が主体。比較的前景草に多い。)
ただし水草の種類によっては、枝分かれした葉や茎の分かれ目(節目)から根を出すものも多いですよね。浮き草のように漂う種もあります。
なので液肥は底床中の根からではなく、表に見えている根から吸収されるものと考えます。
ここまでが簡単な考え方です。覚えやすいでしょう?
これだけでも肥料のやり方に対応できますが、もう少し突っ込んだ内容も書いてみます。
水中葉の水草は通常、葉や茎の表皮が薄く、肉眼で見えないレベルの細かい穴が多数開いています。
これは呼吸や光合成に必要な酸素もしくは二酸化炭素を吸収・放出する役割が大きいのですが、地上の植物と違い、さらに水草はこの穴から成長に必要な養分も直接細胞に吸収します。
つまり、根からだけでなく水草全体の表面からも栄養素を摂取できるということです。
確かにウィローモスのような水草は、石や流木に活着するための根(活着根)がありますが、養分を吸収するためというより水流に流されないようにする役割が大きかったりします。
(南米ウィローモス。葉の裏側に髭のような小さい活着根があるだけ。)
ただ、いくら水草は葉や茎の表面から栄養素を吸収できるといっても、多くの種は根からの吸収がメインですから、先の簡単な説明をしました。
アクアリウム水草の多くは湿地の植物
アクアリウムで人気の水草は、そのほとんどが湿地で育つ植物です。
水草の「水上葉」とか「水中葉」って聞いたことあると思います。
水辺に住む湿地植物たちは、水が減って水位が下がり水上にさらされても生きていけるように水上葉を出し、水が増えて水没しても水中葉を出して、水上と水中それぞれに順応する能力があります。
水槽に入れる水草の多くが、そういった水上に葉を出しても育つ種なんですね。それらを水中に適応させて育てるわけです。
で、水上葉を出してる時は当然、すべて根から養分を吸って成長します。
普通の陸上植物と同じですね。
そして、水没して水草として水中葉を展開してる時も、この根の構造は変わらず同じものです。
つまり水上葉を出す種は、根から養分吸収する能力が高いんです。
また有茎草は、茎の途中の節から根を出しますが、これも水中に漂う栄養を求めて根を出すわけで、本来は根から栄養を吸収することの表れとも言えます。
(茎の途中から根を出すロタラ)
草体全体から栄養を摂れていても、それでも根を出すんですね。
ちなみに底床中の栄養が枯渇すると、底床内の根が溶けやすくなり水草が浮いてしまう等が起こり始めます。
このことからも、底床に固形肥料を埋め込む管理は重要です。
沈水性水草もある
数は少ないですが、水上に出ることのできない完全な沈水性水草もあります。
ガボンバやアナカリス(オオカナダモ)、マツモ等、金魚藻と呼ばれる種類や、バリスネリアの仲間なんかも、水の中でしか生きていけない水草です。
(少ない栄養で育つマツモは根が無い)
こういった沈水性水草は水中への適応能力が高いので、pHや水質にもうるさくなく、丈夫で育てやすい種が多いです。
そして根を持たない種もあるなど、沈水性水草は草体から直接栄養を吸収する能力が高いです。
まとめると、底床内の根には固形肥料、水槽水全体では液肥、これが基本的な考え方です。
浮き草やリシア(これも本来、浮き草)やモス類(苔類)、根が表に出ている活着水草といった辺りは、液肥が効果的な種類。それ以外は、固形肥料が効果的な種です。
ちなみに固形肥料も栄養が溶出して少しずつ水槽内に広がるので、固形肥料だけでも全ての水草をカバー出来ます。
それでは、固形肥料と液体肥料のメリット・デメリットも踏まえて、それぞれの特徴を挙げます。
固形肥料の特徴
固形肥料の良い点
- 効果が長く持続するので、施肥の頻度が少なく済む
- じわじわ溶出するため、水質変化が少ない
- 根元に埋める事で、水草ごとに施肥具合を調節できる
- 底床中のバクテリア環境を育て維持する
大抵の固形肥料は1ヶ月スパンから半年など長期に渡って徐々に成分を溶出するので、持続する効果が長く、肥料を与える手間が少なくて済みます。
ゆっくりと溶け出すために、水槽の水質を大きく変えてしまう心配も少なくなります。
また、水草の種類によって肥料要求量が変わる場合に、それぞれの根元に狙って埋め込むことで、各水草に合わせた施肥が可能です。
そして埋め込んだ肥料の各種ミネラル等が底床中のバクテリア環境を育て、長期的に維持してくれます。
固形肥料の悪い点
- 即効性がない
- スポット的な作用が強く調整が必要
- 一度施肥してしまうとやり直しが難しい
成分がゆっくり溶出(特に有機系肥料は微生物の分解によって徐々に表出)しますから、即効性は低いです。
また埋め込んだ近くから徐々に作用するため、全体的にカバーするにはバランスを考えた計画的な施肥が必要になります。
固形肥料は水に濡れると数分で崩れてしまうものが多く、一度施肥したらそのままの形で取り出すことは出来ません。
どうしてもやり直す場合は、吸水クリーナー等で底床内を肥料ごと吸い出す方法ですが、グロッソ・スティグマやショートヘアーグラスなど前景草を水草絨毯のように敷き詰めていると難しくなります。
液肥の特徴
液肥の良い点
- お手軽で簡単
- 即効性が高い
- 各栄養素を個々に与えられる
液肥はポンプ式スプレーボトルで吹き付けたり水槽水に足すだけなので、施肥が簡単にできて、効き目も早く即効性が高いです。
また、個々の栄養素単体の商品も多く、カリウム単体や鉄分のみの添加も可能です。
液肥の悪い点
- 水に溶かすので水質が急に変わる
- 持続力はない
- 水草種別に調整は不可
- 根から吸収する種には効きづらい
液肥は通常、水槽水に流すタイプなので、pHや硬度など水質の変化が顕著に現れます。そのためヌマエビや繊細な魚など生体に影響が出ないように注意が必要です。
即効性はありますが、一度に多量添加する事は出来ませんから持続力はなく、毎日〜数日に1回等こまめな施肥が必要です。
また、液肥だと飼育水全体に広がるので、「栄養不足の水草だけ重点的に施肥」といった種類別に成分を調整する事はできません。
そして、根からの栄養吸収がメインの水草にはやはり、液肥が充分に効きにくいです。底床深くまで伸びた根には届きにくいですから。
グロッソスティグマやブリクサ・ショートリーフなど根張りが良く肥料食いと言われる水草の多くは、根からの栄養吸収が重要です。
ソイルの栄養を忘れがち
「うちのブリクサ、液肥だけで育ててるよ」って方は、まずソイル底床でしょう。
“液肥だけ”じゃなくてソイルの栄養もあるから育ってるって状況の方は多いです。
例えば大磯砂や田砂など栄養の無い底床で、ソイル環境と同じ液肥だけ使ってみても、うまく育たない場合が多いはずです。
これは液肥の栄養だけでなく、ソイルに含まれる窒素、リン酸、微量元素で補填してるからです。
大磯砂の底床では、立ち上げ時に固形肥料を埋めるのが定石ですが、底床栄養をしっかりさせて、あとはカリウム液肥などでサポートしていくわけです。
ソイルの栄養を忘れないように、全体の栄養を考えることが大切です。
結局、固形肥と液肥どっちがいいの?
固形肥と液肥はどっちがいいのか。
それはご自分の水槽によって決まります。
すべての水草が底床に根付く環境では断然、固形肥メインがおすすめです。
多くの状況がこちらでしょう。
じゃあ液肥は?というと、入れてる水草のほとんどが流木や石に活着させている環境や、モス類が主役の水槽などでは、液肥をメイン肥料として使うのがオススメです。
それ以外は、サブ的な存在です。
例えば、底床に根付く水草は固形肥で調子が良いけどウィローモスだけ肥料不足なんて時に液肥を少し添加するとか、背の高い水草がうっそうと茂っていて底床の固形肥だけでは水草上部の色揚げが追いつかないから液肥でカバーするとか、そんな感じでしょうか。
(ソイルに根付く水草のため、固形肥で底床栄養をしっかりと。モス類のため、液肥もちょこっと添加してる水槽。)
写真のように、根付きの良いブリクサ・ショートリーフ(右奥)やアフリカンチェーンソード(右)、キューバパールグラス(右中央)のために固形肥や高栄養ソイルで底床の栄養を整え、活着の南米ウィローモス(手前)やウォーターフェザー(左)には、液肥でほんの少しサポートしてあげる具合です。
活着水草以外でレイアウトしてるのに、もし「立ち上げからずっと液肥だけで管理してます」なんて言う水槽は、基本的に底床が高栄養ソイルであり、底床の保肥があるからあとは液肥で調整しやすいんですね。
底床に栄養が無くなったら液肥だけで美しい水草の維持は、知識や経験が少ないと難しくなります。
例えば、窒素やリン酸も液肥で入れる必要が出てきたりするからですね。
固形肥と液肥で迷ったら、こんな感じで適材適所に使いましょう。
モスに肥料は要らないは大間違い
よく「ウィローモスに肥料は要らない」なんて言われたりしますけど、これはただウィローモスが丈夫で枯れにくいだけで、枯れる事だって普通にあります。
モス本来の美しさを知らない人、結構多いんです。
(各種ミネラルを吸ったモスは美しい)
モス類だって植物である以上、必ず栄養素は必要です。
「魚の排泄物の栄養で・・」っていやいや、先に書いたように排泄物からは窒素とリンが多いから、それだけじゃカリウムのようなミネラル分が足りないことも多いです。
確かに魚を豊富に入れた水槽だと、排泄物の硝酸塩やリン酸塩と水換えのわずかなミネラルで、モスは施肥しなくても枯れないこともありますが、成長が鈍いのでコケが付きやすく黒ずみやすいです。
カリウム液肥をちょこっと与えると全く別の水草かと思うくらい見違えます。本当に綺麗。
(手前が南米ウィローモス、奥がウォーターフェザー)
底床のソイルや固形肥からのミネラル溶出でモスを綺麗に維持する事もできますが、ボリュームがあるならやっぱり液肥ですね。
コツは、ちょっとずつ入れてみること。繊細ですから。
モスの栄養も考えてあげましょう。
液肥メインの活着水槽も微量元素は忘れずに!
モスやアヌビアス、ブセファランドラなど陰性水草ばかりの活着水槽であれば液肥メインの管理でも有効です。
ただし、忘れてはならないのが微量元素の添加。
(活着水草も窒素・リン・カリウム・微量元素すべて揃って綺麗に育つ)
液肥というと皆さんどうしてもカリウム単体液肥や鉄液を使いたがりますが、それだけ使っても活着水槽はほぼ上手くいきません。
ミネラルバランスを崩し、pHや硬度を無駄に上げ、水草は枯れ、コケが蔓延し、生体も苦しめてしまいます。
液肥メインといっても大事なのは微量元素も含む総合肥料です。
活着水草だって、微量元素は絶対必要ですからね。
さらに、「熱帯魚の数が少ない」「高光量の照明を使用」「水草が多い」といった環境では、カリウムと微量元素だけじゃなく窒素やリン酸だって足りないこともよくあります。
ちなみに活着水草ばかりのレイアウトだと底床にサンドを選ぶのも最近は人気ですが、サンド底砂は藍藻(ランソウ)が発生しないよう頻繁に掃除してクリーンに保つのがセオリーですから、魚の糞やアンモニアから得られる栄養も希薄なことは多いです。
固形肥料メインであっても液肥メインであっても、水草が欲する栄養素のバランスは同じということを覚えておきましょう。
水草に施肥するタイミング
水草に施肥する(肥料を与える)タイミングが重要です。そして初心者には、ここが一番難しい点でしょう。
でもその前に。
水草が調子を落とす原因は肥料だけではありません。
水草が好むpHや水温、硬度の問題、照明の強さや波長、もしかしたらエビや魚の食害なんて事もあります。
栄養素は充分足りているのに「水草の元気が無いから」と無闇やたらに肥料を入れれば、ミネラル分による硬度やpHの上昇、また富栄養化から藻やコケ被害を招くだけです。
(ミネラル栄養に過敏なロタラ・マクランドラ)
そこで陥りやすい勘違いを挙げてみます。
肥料以外の水草が弱る理由
肥料以外に水草が弱る理由は、環境です。
考え方としては、その水草が育つ原産地(故郷)の自然環境をイメージすると分かりやすいかもしれません。
水温が合わない
ほぼすべての水草が高温に弱く、30度以上の水温ともなるとどんどんダメージが蓄積して、枯れていきます。
流通する水草の多くは23度〜27度程度の水温を好みます。また、熱帯地方の水草は高温だけでなく約15度以下の低温でも衰弱します。
冷却ファンや水槽用クーラー、保温ヒーターで水温をしっかり管理して、夏場の温度上昇や冬の低温に注意しましょう。
真夏の水温上昇に注意!
夏場のアクアリウムは特に水温上昇に注意しましょう。30度を超える水温で水槽を崩壊させる方が多いです。
こんな記事も書いてますので、ご参考ください。
光量が足りない
水草は光合成を充分に行えないと生きていけません。アヌビアスナナ系やクリプトコリネ系など陰性植物のように弱い光でも育つ水草は別として、ライト照明の光量不足で枯れてしまう種もあります。
現在主流のLED照明には、商品によって波長バランスや光量が弱い等、いわば鑑賞用のみの水草育成に向かない照明もありますから、選ぶ際は注意が必要です。
光量が足りなければ、クリップライトや蛍光灯スタンド照明を追加する方法もあります。
もちろん水草育成に良いLED照明を使っていれば問題ありません。
光量が強過ぎる場合もある
逆に、光量が強過ぎるなんて場合もあります。
最近は底の浅い(背丈の低い)スリム水槽も多く出回っていますが、そういった水槽に高光量な照明だと、陰性水草など“葉焼け”を起こすこともあります。
水草水槽の照明については、こちらもご覧ください。照明の選び方が分かります。
⇒「水草水槽におすすめ照明は?LED照明の選び方」こちら
水草にpHが合わない
多くの水草は弱酸性のpHを好みますが、中性よりアルカリ性に傾いた水槽では葉や根が溶けてしまう事が多々あります。
種類によってレイアウトの石や底床の大磯砂は、カルシウムなどミネラルが溶け出して硬度を上げ、pHがアルカリに傾きやすいです。
岩石や大磯砂が駄目という訳ではありませんが、選ぶ水草によってpHを下げるために流木やピートモスを使ったり、換水頻度を調整するなど対策が必要です。
また地域によってですが、換水に使用する水道水自体が既にアルカリ性ということが多いです。
この場合は底床に、弱酸性を簡単に維持してくれる“ソイル”を選ぶと、水草水槽が無難に管理できるでしょう。
ちなみに水槽立ち上げからソイルを豊富に使っている場合、初期肥料が不要な状況は多いです。
もちろん貧栄養な吸着系ソイルや、初めから肥料要求量の多い水草を豊富にセットした場合など、初期肥料が必要な状況もあるので一概に言えませんが、ソイル水槽で初めから水草の調子が悪いのは、光量や水温、バクテリア環境の未熟など他の要因も多いです。
また、どんなに栄養豊富なソイルでも、水草が育てば栄養は消費され徐々に枯渇していきます。
ソイルについて詳しくは、こちらの記事もご参考ください。
⇒「おすすめは?ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる!」こちら
酸素やCO2が不足
陸上の植物では酸素や二酸化炭素(CO2)が足りなくなる事はまずありませんが、水中の水草、しかも水槽のような隔離された環境では、CO2不足や酸素欠乏が起こりやすくなります。
光合成にCO2の炭素(C)は不可欠ですし、常に水草も呼吸活動を行っていますから、CO2や酸素が不足すれば成育の障害となります。
水草がぎっしり植わっている、特に成長の早い陽性水草の割合が多い水槽ではCO2が足りない状況も起こりやすいですから、CO2添加したり、無添加ならエアレーションで水面を対流させる等、できるだけCO2濃度を高めます。
CO2添加については、以下の記事で詳しく書いています。
⇒「水草にCO2添加の考え方と本質まとめ」こちら
発酵式CO2添加は簡単だけど効果抜群!
水草水槽を始めたばかりの方にとってCO2添加は敷居が高いイメージもありますが、発酵式CO2なら簡単に抜群の効果を実感できます。私も今だにずっと愛用していますから。
以下の記事もご参考ください。
水草の症状別、施肥時期
上記のような栄養欠乏以外の原因をクリアしても水草の調子が上がらなければ、やっと肥料の出番です。
水草の症状別に見た施肥時期を書いていきます。
ただ水草の症状は、いかんせん似通っている事が多く、違いが判別できないでしょう。
経験していけば徐々に分かってくるのですが、初心者にはどの栄養素を追肥するかは非常に難しいところです。
そこで分からない場合は難しく考える前に、まずはすべて配合した総合肥料を少しずつ添加してみるのが簡単でおすすめです。
またpH変化による生体への影響を考えると、酸性に傾いた水槽なら液肥でも大きな失敗は少ないですが、ほぼ中性かそれ以上の水槽では液肥でpH上昇しやすいので、固形肥料が使いやすいと思います。
下葉が枯れる
新しい葉が出る上部は葉がしっかりしているのに、照明の光から遠くなる下葉が徐々に黄色く(白く)枯れていくのはカリウムやマグネシウムといったミネラルの不足かもしれません。
葉の緑がまばら、葉脈を残して黄ばむ
葉の緑色が薄くまばらになる、葉脈の緑を残して黄ばむ等の症状は鉄もしくはマグネシウム不足の可能性大。鉄分は主に頂点の新芽、マグネシウムは下葉に影響が出やすい。
新しい葉が小さくシワシワ
新芽の縮れや萎縮は、カリウム不足やカルシウム不足、亜鉛不足様々な栄養素が当てはまります。どれが正解かは栄養の添加具合など、各水槽の状況を目安にすると判断しやすくなります。
酸性水質を好む陽性水草の場合、高pHによって微量元素が吸収できない原因は多いです。
葉色が白っぽくなり発色の低下
新芽の成長部分が白くなるのは鉄不足やマンガン不足など、下葉が白っぽくなるのはカリウム不足やマグネシウム不足などが疑われます。
草姿全体が黄ばむ
草姿全体が黄ばむのは、窒素不足やリン不足が濃厚です。
窒素やリン酸の不足もカリウムやマグネシウム同様に下葉から症状が現れますが、全体的に弱った印象が強くなります。
頂芽が変形する
頂芽(先端の葉)がねじれたり曲がる様に変形するのは、多くがカルシウム不足の症状です。
カリウム過多やマグネシウム過多によってカルシウムが吸収できない、極端に水換えが少ない(足し水管理)等でも起こりやすいです。
葉脈が赤く変わる
通常は葉脈が赤くならない水草が葉脈から赤く変化するのは、リン不足で起こりやすい症状。
カリウムやカルシウム、マグネシウム、鉄などが多すぎても、リン酸吸収を邪魔して不足症状が出やすくなります。
成長が鈍くなる
新芽が出にくくなるのはリン不足やカルシウム不足、硫黄不足、その他、必要な栄養素がどれか一つでも欠けると成長が鈍くなり、最悪溶けて枯れてしまうなんて事にも繋がります。
「リービッヒの最小率」とか「ドベネックの桶」なんて言葉を聞いた事があるかもしれませんが、植物の成長は必要な栄養素がすべて充分に揃って初めて活発に育ちます。
肥料を与えるコツ
各肥料商品には肥料添加の分量や使用方法が書かれていますが、その内容があなたの水槽に当てはまるとは限りません。
水量やpH、光量、CO2量、水草量、生体数、底床の種類など、様々な要因が絡んできます。
例えば・・、
- 水量に対するソイル量の違いで特にミネラル栄養のソイル吸着具合が変わる
- pHが高い水槽では溶出したミネラル分で生体の調子が崩れやすい
- 水草量が少ないと添加した肥料分が使い切れずコケる
などなど。
そこで、各肥料の商品説明に書かれた添加量はひとつの目安として、まずは少量ずつ使って様子を見るのが良いです。
そして、水草の成長や葉色がアカラサマに改善されるのであれば適量ですし、茶ゴケや黒髭ゴケが増加したら過剰添加、もしくは栄養のバランスが悪いなんて要因も考えられます。
とにかく大事なのは、固形肥料にしろ液肥にしろ入れ過ぎないこと。
液肥は水質を急に変えるので、添加量が多いと生体が嫌がり大きなストレスとなりますし、逆に、固形肥料は微生物に分解されながらじわじわと溶け出すので、多く入れ過ぎるとのちのち手の付けられないコケ被害となる事もあります。
水槽環境は個々に全く違いますから、いずれにしても各商品の規定量うんぬんではなく、ごく少な目から始めるのが施肥のコツです。
ソイルとその他底床で施肥量は変わる
また、ソイル底床とその他(大磯や田砂、ゼオライト系砂利)の底床では、肥料添加量がまったく変わってきます。
ソイルは保肥能力が高くpHを抑えてくれるので、多少余分に添加しても水質が崩れにくいですが、その他底床だとカリウムやカルシウム、鉄分といったミネラルが溶出しやすく水質が変化しやすいためです。
溶出する栄養分が増えればコケの増殖はもちろん、硬度も上がってヌマエビなど生体への影響が顕著になりますし、さらに巡り巡って水草自体への悪影響にも繋がります。
状況は多様ですからかなりアバウトな表現になってしまいますが、例えばソイルなら分量1入れても全然大丈夫だけど、その他底床材だと2分の1とか3分の1入れただけで環境が荒れてしまう事も。結局4分の1以下でちょうど良かったなんて事が起こったりします。
ソイルにしろ他の底床材にしろ施肥で大切なのは、ごく少な目から始めて、焦らず徐々に増やしながら最適な量を見極めること。
水草は、水質や根付きの状態が悪いと一気に衰弱しますが、栄養の枯渇では思ったよりゆっくり変化します。
なので、植えてから一度でも元気に成長した時期があれば、栄養不足で急に枯れることはありません。
また、枯渇した状況からちょっと栄養素が添加されるだけで、分かりやすく反応し、改善し始めます。
初めに少量添加してみて1日置き、変化がなければさらに少量追加、これを繰り返して新葉が見え始めたら様子を見る。こんな慎重さがあると失敗が少ないでしょう。
(※液肥だと即日〜翌日には反応が見れますが、固形肥料は反応が出始めるまで数日〜5日程度掛かります。)
失敗しづらい初心者にもおすすめ水草肥料
水草栄養マニアの私はこれまで、自作調合した栄養を添加して水草の成長を見続けています。
そんな中で、失敗しづらい初心者におすすめ水草肥料として、私が今まで使って良かった市販商品を挙げてみました。
おすすめ肥料としてよく紹介される定番かもしれませんが、やはり大小あれどいろんな水槽環境で効果を発揮してくれます。
初心者にも使いやすい肥料ながら、今だに私も主要で使っていますし、ベテランからプロまで愛用されています。
肥料は必要な配合栄養で選ぶのが大切
ここまで読んでいただいた方なら、肥料は配合されている栄養素が重要ということがお分かりだと思います。
人気順位で決まるものではなく、水草が現状で不足してる栄養を含む肥料を選ぶことが最も大切です。
窒素・リンを含む総合肥料を選ぶかどうか難しいという場合は、このページ最後尾の「窒素不足」項目もご覧ください。
その他、私が使う自作液肥についても、最後尾に書いています。
また、立ち上げ後間もないソイル水槽は、ソイルブランドによって含有栄養素が既に充分な可能性もあるので、水草の調子が悪い原因が本当に肥料不足なのか確認しましょう。
症状に合う肥料なら効果てき面
選んだ肥料が症状にぴったりなら、水草は分かりやすく改善します。まさに、効果てき面。
ですからもし全く改善が見られなかった場合は、選んだ肥料に含まれない栄養が必要か、栄養以外の原因です。
ただ、肥料選びで失敗しても悲しむことはありません。いずれ必要になったりします。
どんな水草も上手く育てるアクアリストは、少なくても3〜4種類の肥料を使いこなしますから。
また、ぜひ持っておきたいのは「カリウムと微量元素」の総合肥料、それと「窒素・リン・カリウムと微量元素」の総合肥料です。
全てをカバーするのですから当然、必要度が高いですね。
GEX水草一番栄養ブロック
GEXの「水草一番栄養ブロック」は、水草を売っているホームセンターなら手に入るくらい流通してますが、非常に使いやすくバランスがとても良いです。
カリウム・微量元素中心ですが、有機系成分が微生物によって分解されることで3大栄養素の窒素とリンも少しずつ放出されます。
そしてビタミンやマグネシウム、各微量元素がゆっくりと広がります。
「魚は泳いでるけど数が少ないから、窒素とリンが必要か分からない」という水槽に選びやすいです。
パッケージにもMgって表記されてますけど、この“マグネシウム”バランスがとても良いんです。
私の小型水槽では約一ヶ月に一度1〜2粒からを施肥したい水草周りの底床中心に埋め込んだりします。ネットが安く、まとめ買いするとお得。
ちなみに施肥後1週間ほどは硬度が少し上昇するので、特にソイル以外の底砂環境やpHがアルカリ性に傾いている水槽では少しずつ使ってみるのがオススメです。
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GEX丈夫な水草を育てる 水草栄養ブロック9粒入 ジェックス 関東当日便
※パッケージが新しくなって写真と違いますが、モノは同じです。
テトラ イニシャルスティック
テトラ社イニシャルスティックもかなり定番の固形肥料です。
これもカリ・微量元素主体ですが、メジャーな有機系肥料として窒素分も少しずつ溶出していきます。マグネシウムや鉄、亜鉛、マンガンなど微量元素もカバーします。
有機物が分解されて徐々に成分が広がるので、効果は長期間持続しますが、効き始めもゆっくりです。1週間くらい経ってやっと効いてきたなというくらい。
分解されないと、栄養は出てこないということですね。
どちらかというとソイル水槽ではベースに使う肥料という感じで、ソイル以外の水槽には抜群のメイン肥という印象。
ボトル裏面に水量に対する補充量と基本1年ごと追肥と書かれてるのですが、私の場合、ソイル水槽は3ヶ月から半年に一度くらい、規定量のさらに1/4から半分以下を全体に埋め込み、セラミックサンド底床ではひと月毎に数える程度の少量をまばらに挿します。
このペースだと使い切れないんじゃないかと思うくらい容量たっぷりです。
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テトラ イニシャルスティック 300g 関東当日便
水草の吸収量以上に施肥すればイニシャルスティックも水硬度を上げるので、入れ過ぎに注意して、水草が消費する必要最低限を与える感覚で添加する使い方が良好です。
カミハタ睡蓮用スティック肥料
カミハタの「スイレン・水生植物用スティック」は、窒素・リン・カリウム・微量元素の全てを含む総合固形肥料です。
微量元素は、マグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄分、銅、亜鉛、モリブデンが含まれます。
まず水溶性成分が早めに溶け出すので、即効性があります。
もし餌を与える魚が居たとしても、キューバパールグラスやグロッソ・スティグマのような栄養消費の多い水草には、この肥料が丁度良いことも多々あります。
長いスティック状なので、使う際は折ったりハサミでカットして入れやすいサイズにすると良いです。
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カミハタ スイレン・水生植物用 スティック肥料 35g(約30本入) 関東当日便
私が一番多用する固形肥料です。
カミハタOKOSHIおこし
カミハタの水草専用肥料「OKOSHI(おこし)」。
こちらも窒素・リン・カリウム・微量元素が全て含まれます。
カミハタ睡蓮用スティックよりも窒素やリンの比率は高く強力なので、肥料喰いな種はもちろん水草がある程度茂るような水槽に適しています。
また、効き目の持続効果も睡蓮用スティックの約2倍という感じ。
一粒が大きめなので、底床に埋めづらいのが難点。飴状コーティングされていて細かくカットも難しいので、そのままグリッと押し込む感じです。
立ち上げ前のセッティング時なら、砕いて(水に浸してバラす)ソイルの下に入れる事も可能です。もちろん入れ過ぎに注意しましょう。
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カミハタ 水草専用肥料OKOSHI(おこし)100g(約20個)入り 水草 固形肥料 関東当日便
他社の類似商品でアクアフローラなんかも、この“おこし”と同じ感じですね。
45cm規格水槽以上のサイズではかなり重宝します。
プランツグリーン総合液肥
Leaf Corpの「プランツグリーン」は、窒素・リン・カリウム・微量元素(鉄分)の総合液肥です。
3大栄養素と、比較的枯渇しやすい鉄分を含んでいます。
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Plants Green プランツグリーン 500ml 関東当日便
活着水草のみ水槽のメイン肥料としてもおすすめです。
記載の規定量の4分の1など少なめから調整してくと良いです。
(例えば規定量が毎日1mlなら4日に1mlや、ボトルを入れ替えて毎日約0.2mlずつ垂らす等)
鉄分以外の微量元素も添加したい場合は、Leaf Corp「Plants Fine Basic(プランツファインベーシック)」があります。
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Plants Fine Basic 400ml(水草の栄養液)関東当日便
「Plants Fine Basic」は窒素・リン酸・カリウムの他に、マグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄分、銅、亜鉛、モリブデンの各種微量元素が入っている液肥です。
残りの必須栄養素は排泄物や水道水の水換えなどでも得られるので、これ一本で全ての栄養がカバーできます。
ただし、微量でなければならない微量元素を入れ過ぎてしまわないように、少しずつ調整しながら小出しの使用がおすすめです。
「Plants Fine Basic」だけで管理する場合は、こまめに水換えを行い栄養バランスを整えると管理しやすいでしょう。
“通常は「プランツグリーン」やカリウム単体液などを使い、ときどき「Plants Fine Basic」でその他栄養素を補給する”なんて使い方が、多くの水槽環境に合うと思います。
マーフィード トロフィカルK+
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トロフィカル K+ 500ml 関東当日便
マーフィード「トロフィカルK+」は、カリウムのみの液肥です。
水草水槽で一番枯渇しやすいカリウムミネラルのみ添加したい場合に、最適です。
ADAの液肥「ブライティK」なんかも同じですね。
私も通常は総合固形肥料で底床を充実させ、定期的にカリウム液肥のみ添加する場合がほとんどです。
ちなみに商品説明の規定量ではほぼ過剰になるので、規定量の半分以下から始めて調整していくのがおすすめです。
カリウム単体ミネラル液肥については、使い方のコツや安価に自作する方法など、最後尾でも解説してますのでご覧ください。
Fe-Energyアクア濃縮タイプ
ときどき使う単体ミネラル栄養素、鉄分のみの液体成分(鉄分だけだと肥料とは言わない)。水草が吸収しやすい二価鉄水溶液です。
新芽の発色が落ちてきた時(白化)や、特に赤系水草の色味を簡単に上げます。
底砂にソイルを使用してる水槽ではソイルからの溶出でかなりの期間まかなえるのですが、大磯砂や田砂などソイル以外だとやはり枯渇しやすい栄養素です。
もちろんソイルでも、長期間使っていると枯渇してきます。
容量20mlと非常に小さいんですが、私のミニ水槽では添加量も極少量で、葉色が悪くなったら1日一滴垂らす程度なので意外と終わりません。
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Fe Energy(エフイーエナジー) アクア 濃縮タイプ 20mL 関東当日便
大きい水槽にはFe類似商品のメネデール水草の活力素500mlもあります。こちらの方が有名ですね。
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メネデール 水草の活力素 500mL 関東当日便
鉄ミネラルの添加過多は水質変化が大きく、生体にも影響が出るので、入れ過ぎに注意。
水草にとっても、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどその他の必須栄養素の吸収を阻害してしまうミネラル拮抗といった害もあります。
商品の規定量のさらに4分の1などから、少しずつ使うのがおすすめです。
まあ鉄分は、ソイルにはもちろん総合肥料にも含まれるので、絶対必要ってわけじゃないんですけど、赤系水草を簡単に色揚げするために気まぐれで添加する感覚です。
欠乏してしまうと困るけど、本当にちょっとあれば良いという認識で使うのがベストかなと思います。
エーハイム バイオケア
EHEIM(エーハイム)のバイオケアは肥料とは違いますが、観賞魚や水草の欲するビタミンやミネラルなど各種微量成分を配合したトリートメント活力剤。
ミネラル分は水草だけでなく生体にも必要ですし、リセットせずに長年維持管理する水槽では生体のビタミン不足も起こりがちです。
使用法は1週間に一度の添加と書かれていますが、私の場合、長期維持する水槽の水換え時に基準量の半分以下を入れたりします。
ちなみにこちらも、添加後数日はpHが上昇します。
※流通終了と思われます
GEXメダカ元気はぐくむ水づくり
これも肥料では無いですが、ついでに。GEX(ジェックス)のカルキ抜き剤「メダカ元気はぐくむ水づくり」。有害な重金属も無害化してくれます。
塩素除去剤は何でもいいのですが、私の水槽ではこの水づくりを使うと換水後の水草の色艶や魚の発色、エビのツマツマ具合が断然良いです。
成分に塩化カリウムやキトサン、ビタミンB2、ビタミンCなどが含まれてます。
多くのホームセンターでも買えると思います。
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GEX メダカ元気はぐくむ水づくり 300ml 関東当日便
液垂れしないキャップがかなり使いやすい。安価な詰め替え用も有り。
その他使ってみた商品
上記の他に、稀に使う商品も挙げておきます。
あなたの水槽にはぴったり当てはまる事も当然あると思います。
ジクラウォーターベニッシモ水草用
一時期少し話題になっていたジクラウォーター(zicraWATER)水草用。
カルキ剤としても使えて、水草のミネラル栄養素がバランス良く配合されています。
使用に適した水槽環境があり、熱帯魚(生体)が十分泳いでいる水槽でこれを使うと黒髭ゴケや茶ゴケが発生しやすい傾向はあります。
このジクラウォーターは珪藻土が主体で、有効微量元素・鉄分・有機酸・ビタミン・カリウム等ミネラルまで入ってるみたい。考えてみれば珪藻土は植物が長い年月を掛けて堆積した土ですから、リン酸や窒素化合物まで検出されるんですよね。
なので、水草以外に魚など生体がいない(少ない)水槽や、吸着系ソイルで立ち上げ初期1ヶ月ほどは生体からのリン酸や窒素も枯渇しやすいので、ジクラウォーターが使いやすいかったりします。
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ジクラウォーター ベニッシモ水草用 500ml 関東当日便
ここからは、ちょっと踏み込んだ施肥について。窒素・リンの不足についてもこちらに書いています。
水草の栄養についてちょっと分かってきたら、読んでいただければと思います。
カリウム単体液肥の上手な使い方
“自作カリウム液肥”なんて聞いたことあるかもしれませんが、昔からアクアリストの間で愛用されてきた炭酸カリウム水溶液です。
カリウムのみ単体で施肥できる液肥なのですけど、水草が豊富な水槽や、背の高い後景草が密集したレイアウト、モスや活着水草が多い水槽などにとても便利です。
水草によってもカリウムの要求比率は少しずつ違いますから、カリウムと微量元素の総合肥料にプラスしてカリウム量を微調整してあげるのに最適なんですね。
でも実際は、よく分からず使って失敗してる方が非常に多いと思います。入れ過ぎちゃう。
このカリウム単体液肥を上手に使えば、水草レイアウト全体の色味や輝きが見違えるのは確かです。
炭酸カリウム液肥については、こちらをご覧ください。
⇒「自作カリウム液肥の作り方と正しい使い方のコツ」こちら
窒素不足とカルシウム・マグネシウム不足について
これまで書いてきたカリウムと微量元素は、水草育成の基本。水草水槽を管理しているとそれだけで解決できないことも起こってきます。
中でも良くあるのが、窒素不足とカルシウム・マグネシウム不足。
ここまで経験すれば、水草の肥料知識はほぼ網羅したようなものでしょう。
窒素不足が疑われる環境
まず窒素肥料について。
窒素まで含む肥料の市販品が少ない事からも分かるように、熱帯魚の十分入った一般的な水槽は窒素やリンが過剰になりやすいので、その場合あえて肥料として添加する必要はありません。
ただし、水草量と生体数の比率が断然水草に傾いてる水槽では、窒素不足やリン不足が起こりやすくなってきます。
もし窒素やリンが不足してる場合、いくらカリウム主体の総合肥料を使っても水草の調子は回復しません。
窒素の枯渇については、以下の記事をご覧ください。窒素分・リン酸分を含む使いやすい肥料も紹介しています。
⇒「水草の窒素不足に尿素水を自作する方法と使い方」こちら
カルシウム・マグネシウム不足が疑われる環境
次に、カルシウム・マグネシウム不足。
ソイルを使った低硬度の水質で起こりやすいミネラル欠乏で、日本の軟水を更にソイルで軟水化してしまうことが主な原因です。
立ち上げ初期や水換え頻度の少ない水槽、水草が豊富な水槽などで見られます。
また、カリウムや鉄分の単体液肥を過剰に添加したときも、ミネラル拮抗して欠乏症状が起こることがあります。
(※ミネラル拮抗とは、過剰なミネラルが一つあると、その影響で他ミネラルの吸収阻害を起こすこと。)
カルシウムやマグネシウムの不足、液肥添加については、こちらをご覧ください。
鉄液肥の使い方
鉄液はカリウム液とともにメジャーな液肥になってますけど、使い方はもっと繊細だったりします。
「赤い水草には鉄液肥を」なんてキャッチフレーズのようにそこかしこで聞きますが、これも状況次第。
“赤系水草の赤色は鉄の色”なんて情報もありますが、そんな訳ありません。
そんな鉄分供給については、こちらの記事もご覧ください。
⇒「水草の鉄分供給と鉄液肥の使い方」こちら
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