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水草ブリクサショートリーフの育て方マニュアル。

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ブリクサはこう育てる!

ブリクサ・ショートリーフの育て方のコツ

 水草の中でも人気の高い水草「ブリクサ・ショートリーフ」。

 ブリクサが一株あるだけで水景を一気に自然豊かな畦道の雰囲気に変えてくれる、水槽レイアウトには欠かせない水草の一つじゃないでしょうか。
 のどかな田舎の風景が堪らなく落ち着く私なんかには本当、水草の中でも一番好きって言っても良いくらい。

 で、このブリクサを育てていて分かったのは、育て方によって様々な顔を見せてくれるところ。

 今回はこのブリクサ・ショートリーフについて、好む水質や肥料具合、育て方のコツなど書いてみたいと思います。
 これから育てようと思ってる方から上手く育たず悩んでる方まで、ぜひご参考ください。

ブリクサ・ショートリーフってどんな水草?

 アクアリウムで流通するブリクサショートリーフと言えば学名「Blyxa novoguineensis(ブリクサ・ノボグイネエンシス)」というトチカガミ科スブタ属の水草です。
 原産はパプアニューギニアなんて情報が英語圏では伝えられています。

 本当のところはどうなんでしょうね。昔から水草の分類は流通時点ですでに曖昧だったりして、情報が錯綜するのは普通にありますから。
 しかもこのブリクサ、育て方次第で簡単に増やせるので、今じゃどこの国で育ったものなのかさえ調べるのは難しいかもしれません。

 ちなみにこのブリクサの同属別種が日本でも存在していて、“スブタ”という呼称の水田雑草として、田んぼや流れの緩い水路などによく見られたそうです。ヤナギスブタとかブリクサ・ジャポニカなんて名前をよく聞きます。
 用水路が整備されたり農薬なんかでかなり減少したそうで、自然の実物を見たことはないんですけど。

 まあこんなマニアックな情報はこのくらいにして、次に適応環境について。

ブリクサ・ショートリーフの適応水槽環境

 飼育してみたブリクサショートリーフの適応水槽環境はこんな感じ。

 pHやはり弱酸性が基本。だからやっぱりソイル底床が相性抜群です。

 多少の弱アルカリでも育ちますけど、難易度は上がります。
 なので大磯砂なんかで育てるなら、生体の排泄物が少し溜まってきて硝酸塩やリン酸の影響でpH上昇が抑制されてきたくらいから植えると、格段に育てやすくなります。

 ちなみにpH5近くの低pHでも全然普通に育っちゃう。というか弱酸性が大好きな感じ。
 もともと水田に生えるような植物ですから、泥状土壌のかなり熟した環境を好みます。水田の良好pHが5.5〜6.5程度ですから、やはりそのくらいが大好きって考えていいと思います。

 ただpHが低い水質の場合は、多めの水換えや苦土石灰液みたいなカルシウム・マグネシウムをちょっと供給する対応が理想ですね。pHが低いとグッと硬度も下がりますから。といってもGHもKHもそれほどうるさく無いです。

成長スピードは栄養バランス次第

 ブリ草の成長スピードは一般的に遅いと言われるんですけど、これも栄養バランス次第で豹変します。特に根からの栄養が整うと目に見えて大きくなる。

 底床内の栄養バランスが整った環境では地中に根をぐんぐん伸ばしていき、急に成長スイッチが入ります。そうなると草丈は15cmほどに大きく成長してくれます。

葉長15cmほどに成長したブリクサショートリーフ

 右上にヤマトヌマエビの成体が見えますが、ヤマトが小さく見えるくらいに。

 ブリクサは前景草から中景草としてレイアウトされますけど、このくらいになってくるとミニ水槽なら後景草としても十分使えそうな勢いですね。

 写真のブリクサも元々1株だったんですが、今は軽く10株以上に株別れしてると思います。一つの大株に見えて、いくつもの株がいろんな方向に向いて集まってる状態なんですね。

トリミングより株分け

 ブリクサは株分けして増やすんですけど、成長するにつれて勝手に自ら株別れして密集していきます。
 茎はほとんど見えませんが有茎草なので、ランナーを出して他の領域に広がることもありません。こういうところ、レイアウトを崩しにくくて良いですよね。

 ただ最適なトリミング方法ってありません。できるとしても痛んだ下葉を抜くくらい。

 大きくなり過ぎたらもう抜いちゃって、株分けしてボリュームを減らすのが常套手段。適度な大きさに揃えたら、もう一度植え戻すのが手っ取り早くて綺麗です。

ブリクサショートリーフの育て方

 ブリクサショートリーフの育て方は、底床の栄養具合がすごい重要です。

 先に書いた通り、弱酸性pHを保つためにソイルは打って付けなんですけど、それだけじゃなくてソイルの高い保肥力もブリクサが育ちやすい大きな理由なんですよね。

 なんと言ってもブリクサは根から栄養を吸収する割合が高いですから。

 もちろんソイルなら何でも大丈夫ってわけじゃなくて、低栄養な吸着系ソイルに肥料も使わず植えると、こんな感じに葉が先端から溶け始めたりもします。

葉が溶けたブリクサショートリーフ

 ただこの写真の株はダメになった訳じゃなくて、固形肥を埋め込んだらすぐに持ち直して、前出の大株に成長したんですけれども。

 ブリクサは人によっては「難しい水草」なんて言われたりもしますけど、確かに導入してすぐはイマイチ成長の鈍い状態が少し続きます。
 でもこれ実は、根がしっかりと伸びてないからなんですよね、植えるときは根を短く切ってますから。

ブリクサショートリーフ植え込み時の根の長さ

(ブリクサを植え込む時は根が短い)

 だからこの根が未熟な時期に、水質が高pHだったり底床内の栄養が少なかったりすると、あっという間に葉が溶けて枯れてしまうこともあります。

 でも1〜2ヶ月経って、少しずつ新葉を出しながら調子が上がってきたブリクサを抜いてみると、驚くほど根が伸びてるんです。

長く伸びたブリクサショートリーフの根

 ブリクサは根で育つって事がよく分かります。

ソイルは厚めに敷いてあげる

 これだけ根を伸ばすのだから、ソイルを厚めに敷いてあげるとブリクサの育ちは断然良くなります。多少の水質の変化でもビクともしない安定感と丈夫さが出てくる。
「ブリクサは雑草レベルに丈夫で枯れない」って言うアクアリストは、まずソイル厚をしっかり出してるはずです。

 最低でもソイル厚が5センチくらいある場所に植えたいところ。巨大な株に育てるなら10センチくらいは欲しいですね。

 これは大磯なんかでも同じです。
 ただしサンド底砂の場合は厚めに入れてしまうと、根張りうんぬんの前に通気性の悪化から、水草にも熱帯魚にも有毒な硫化水素の発生を助長してしまうので、ご注意を。

植え方のコツは深めに挿す

ブリクサの植え方のコツは深めに

 植える際のコツは、下葉の根元が埋まるくらい気持ち深めに挿し込んであげましょう。

 こういったロゼット型の水草は根がまだ未熟なうちは抜けやすいのですけど、根の成長に力を使う初期に何度も抜けてしまうと、水槽環境に慣れる前に衰弱してしまいますから。

 また、下葉を5枚ほど1cmくらいに短くカットして深めに埋めると、カットした葉にソイルが引っ掛かり抜けづらくなります。

肥料は液肥より固形肥が効く

 ブリクサの肥料には、液肥より固形肥が抜群に効きます。もう根に触れるくらい株の真下辺りを狙って埋め込んであげれば、分かりやすく調子を上げ始めます。

ブリクサショートリーフの固形肥による成長の違い

 例えばこの写真。

 この2つのブリクサ株は、植え込み当初ほぼ同じくらいの大きさでした。いや、右の方が若干大きい。
(手前の小さい水草はアフリカンチェーンソード)

 それが肥料のやり方で大きく変わります。

ブリクサショートリーフは液肥より固形肥が効果的

 左の大きく育った株は根元に固形肥をしっかりと埋め込んでいて、右株は根元に施肥してないけど、隣の固形肥から溶出する栄養素で育ってる感じ。

 同じ水槽内でも固形肥の埋め方次第で、こんなに成長具合に差が出ちゃいます。それだけ根から栄養を吸い上げる力があるってことですね。

 一般的に“固形肥料は水草の根に触れないように”なんて言うんですけど、ブリクサは本当に近くに挿し込んじゃう方が、早く改善します。

 また、地中深くまで一度しっかり根張りしちゃえば、ちょっとやそっとで調子が悪くなることはありません。底床の栄養が徐々に少なくなっても、簡単に葉が溶けたりしなくなります。
 なのであまり大きく育てたくないって時は、ここから施肥を抑えると、こぢんまりとした葉姿を維持していくことも可能です。

ブリクサに白い花が咲く

 ちなみに極端に施肥を抑えると、種を存続させるために白い花を出すこともあります。

ブリクサショートリーフの花

 通説では水面上まで花茎を伸ばして受粉し、種子を作るようなんですが、うちの水槽では何度か花を咲かせてるものの水中下のみで、残念ながら種子を見たことはありません。

 ただこんな葉色でも葉は結構しっかりしていて、すぐに溶けることもないんですね。多分カリウムやリン酸なんかが不足してる状況ですけど、広く伸ばした根でソイル中の栄養素を掻き集めてるんだと思います。

 もちろんここまで貧栄養にする必要はないわけで、テトラ「イニシャルスティック」のような緩い固形肥を1株に一粒とか埋めておけば、小振りのままもっと緑色の葉を維持できるんですけど。
(※イニシャルはリン酸を含みません)

ブリクサにCO2添加は必要なの?

 ブリクサにCO2添加はあってもなくても育ちます。絶対必要じゃない。

 ただCO2を添加しないと成長はかなり遅めです。だから初期の根を育てる期間は、CO2があると失敗は少ないでしょう。徐々にブリクサの性格が分かってくれば、CO2がなくても何の問題もありません。
 また、ある程度育ってしまったらレイアウトを崩さないように成長を遅くしてあげる方が、よい景観を長く楽しめるってこともありますね。

 ちなみに私が育ててるブリクサの環境では発酵式CO2のみですから、それほどCO2濃度は高くありません。巨大なブリクサ株の水槽なんかは発酵式に外掛けフィルターですし。
 その程度の添加でも十分に意味はあります。

ブリクサショートリーフを外掛けフィルターと発酵式CO2添加で育成

 一つ言えるのは、pHが低ければどんな水草でもCO2なんて発酵式程度の添加量で十分なんですよね。リシアでもキューバパールでも全然育っちゃう。
 その辺りはこちらのページもご覧ください。



褐色に色付くのは光合成を抑えるため?葉色を操作する

 ブリクサは十分な栄養素と光量、そしてCO2が揃うと、葉色が褐色を帯びてきます。

 これは確かにそうなんですけど、私の水槽ではそれほど光量がなくても葉が褐色に色付いたり、はたまた綺麗な淡い緑色になったりと、度々顔色を変えてくれます。
 特に新しく固形肥料を入れて数日くらいからライトグリーンの新しい葉がどんどん出てくる感じ。

 それで思ったのが、褐色に色付くのはもしかしたら光合成を抑えるためなんじゃないかってこと。

 足元(根の周り)に十分な栄養素があるなら、CO2や光量が強くなってもそれだけ光合成を活発に行えるのだけど、栄養素が足りなければ光やCO2に対して100%光合成が出来なくなるわけで、そうなった時に葉色が赤みを帯びてくるんじゃないかと思ったります。

 もちろん際限なく光合成を行えるわけじゃなく一定の限界値があるわけで、一般的に言われる“十分な栄養素と光量、CO2が揃う”って状況ではそれぞれがMAX(最大値)の限界になって、光合成を抑制せざるおえないから褐色を帯びるんじゃないかと。

 確かに赤みを強くするためにわざわざ照明を高性能にしなくても、褐色に色付かせることは出来るんですね。例えばしっかり根が張った状態で、底床の栄養を少し寂しくさせて、ちょっとのCO2で煽るとか。

 まあ私は新緑の綺麗な黄緑色も大好きですから、光量とCO2を適度にして底床肥料をたっぷりめに調整してあげれば、清涼感あるライトグリーンの茂みが維持できています。

ブリクサショートリーフの葉色を操作する発酵式CO2添加

ブリクサでネイチャーアクアリウム

 ブリクサの仲間はいくつか種類がありますが、中でもブリクサ・ショートリーフは有茎草ながら細長い葉が密集した茂みをコンパクトに作ってくれます。

 ランナーを出して他の水草の敷地に侵食もしませんし、管理しやすい。ネイチャーアクアリウムの自然観を簡単に出してくれるオススメの水草です。

 優しくなびくスブタの葉にエビがツマツマする景色なんて、本当に堪りません。

参考リンク

 最後に、私が使う固形肥料などのリンクを載せておきます。

 うちのブリクサ・ショートリーフもチャームさんの通販。

 ブリクサとの相性抜群の固形肥カミハタ「おこし」。
 窒素やリンも含むので、魚が少なめの水槽にぴったり。

 うちの巨大化したブリクサ株の下にも、これが一つ入ってます。

 GEX「水草栄養ブロック」は、カリウムやマグネシウムなどミネラルバランスがとても良い総合肥料。
 窒素・リンをわずかに含むけどカリウム総合肥料なので、熱帯魚など人工餌を与える生体が少し居る水槽で使うならこちら。

 一株に一粒で施肥すると1ヶ月〜数ヶ月大丈夫という感じ。

 テトラ「イニシャルスティック」は純粋にカリウムと微量元素メインの固形肥なので、魚の多い水槽に。緩く効く肥料なので、小振りなブリクサを長く維持したい時なんかにも丁度良いです。

 

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