ビーシュリンプが喜ぶ水草水槽の作り方!陽性水草も育つ環境
このページでは、ビーシュリンプが繁殖し陽性水草も育つ水草水槽の作り方についてご紹介します。
アクアリウムで大きなカテゴリーとして人気のビーシュリンプですが、本格的な水草レイアウトで元気よくツマツマするビーシュリンプを見掛けることは少ないと思います。
これはビーシュリンプが水質に繊細なこと、そして一般的な水草水槽の水質ではダメージを受けてしまうことが原因です。
ですが比較的繁殖の簡単なミナミヌマエビやチェリーシュリンプ(カラーシュリンプ)だけでなく、ビーシュリンプが繁殖するカッコいい水草レイアウトを作りたいという方も多いと思います。
そして私のビーシュリンプ水草水槽の管理方法を知りたいという声も戴きましたので、今回記事にしました。
(成長観察重視で、レイアウトは参考になりませんけども。。)
ちなみに、中・上級者向けの内容かなと思います。
既にビーシュリンプを安定して繁殖させている方であればさほど難しくないと思いますが、まだ抱卵・繁殖が上手くいかないという方は、環境作りの参考までにご覧ください。
また、一般的な水草育成の定説とは一味違う環境作りとなっていますから、出来るだけ詳しく解説はしていますが、少し理解し難い部分もあるかもしれません。
とはいえ私のビー水槽(愛称モス水槽)で1年以上維持しながら実証していますから、大方間違いはないかなと思います。
それではご覧ください。
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私のビーシュリンプ水草水槽について
まず、私のビーシュリンプ水草水槽についてです。
(新旧写真が混在しています)
レッドビーシュリンプですが、ランクはこだわっていません。
現在育っている陽性水草と陰性水草
水草は現在、以下の種が育っています。
陽性水草
ニューラージパールグラス、ルドウィジアspスーパーレッド、ルドウィジア・インクリナータ、ロタラ・インレー、ロタラ・マクランドラ 、レッドロタラ、ストロギネ・レペンス
陰性水草
ブセファランドラ(以後ブセ)・グリーンウェービー、ブセ・ラマンダウ、ブセ・クダガン、アヌビアス・ナナプチ、南米ウィローモス、フレイムモス、ウォーターフェザー、ミクロソリウムspスモールリーフ、マツモ
水質・環境・設備
水質・環境・設備など基本情報です。
- 30cm規格水槽
- ミニ外掛けフィルター
- 24時間エアーレーション
- CO2添加なし
- スタンド照明:100W型電球形蛍光灯
- pH:5.5〜5.9
- GH:3
- 水温:26℃(オートヒーター)
- 初期ソイル:水草一番サンド
- 足しソイル:アマゾニア
ご覧の通り、在り来たりな設備・環境です。
CO2添加しない点で、濾過フィルターの種類は何でも構わないです。
水草が育つための3つのポイント
ビーシュリンプ水槽で水草が育つために、大切な3つのポイントがあります。
- 照明を強くしない
- pHを6以下に調整
- ビーシュリンプと水草の栄養バランス
これがビーシュリンプと水草が共存するための大きなポイントです。
それぞれ詳しく解説していきます。
照明を強くしない
ビーシュリンプの水草水槽では、強い照明(明るい照明)を使わないようにします。
このビーシュリンプ水槽(左水槽)は、電球形スパイラル蛍光灯1灯で管理しています。
水槽上部から少し離しているので、光量はさらに落ちます。
右も30cm水槽ですが、そちらの照明はコトブキ「フラットLED」1灯です。
フラットLED1灯であっても強光とは言えない明るさですが、写真だと分かりにくいですけど、ビー水槽の方が少し薄暗いです。
水草も植物ですから、当然育つために光が不可欠です。
そして光が強ければその分たくさん光合成を行うため、多くの栄養を欲します。
つまり照明が強いほど、各種ミネラルなど栄養素が多く飼育水に溶け込んでいないといけません。
ですが水質の変化に敏感なビーシュリンプは、特にミネラル濃度の高さにダメージを受けてしまいます。
一般的な水草水槽でビーシュリンプが繁殖しない一番の原因が、これです。
水草が弱りコケる原因も強い光量
水草が弱り、コケが酷い、そんなビーシュリンプ水槽を多く見掛けますが、その原因も強い光量の影響が大きいです。
光に対して成長できるだけの栄養素が無いのに強光を浴びて水草は徐々に衰弱し、さらに栄養を吸収できなくなって、その分コケが繁殖するわけですね。
コケを良しとする方針なら何も言いませんが、“ビーが繁殖する綺麗な水草水槽”としてコケを無くしたいなら、光量を抑える調整がおすすめです。
カリウム濃度に注意
水草にとってカリウムは、浸透圧調整や栄養素の吸収・排出・運搬に関わり、使用量の多い栄養素です。そして照明の明るい高回転な水槽ほど、カリウムを多く添加するんですね。
また総合液肥に含まれるカリウム比率も、一般的に高くなっています。
ですがビーシュリンプは、ミネラルの中でもまずこのカリウム濃度に反応して調子を落とします。
ビー水槽に液肥添加がオススメできない大きな理由です。
ただ陽性水草は陰性種に比べて、ある程度光量がないと育ちません。
LED球など複数試した結果、私のビー水槽ではこの電球形蛍光灯が、陽性水草の成長できるギリギリの線という感じでした。
ちなみにスタンド照明なので、位置の上下(水面との距離)でも調節しています。
pHを6以下に調整する
飼育水pHを6以下に調整します。
(写真の試験紙はpH5.6〜5.7ほどを表示)
これは、水草にCO2を供給する意味があります。
ビーシュリンプ繁殖のため、CO2無添加と24時間エアレーションを行いますが、植物の成長(光合成)にCO2は不可欠です。
そして陰性水草に比べて成長の早い陽性水草は、さらにCO2が必要です。
そこで飼育水pHを下げて、溶存する有効なCO2濃度を高めるようにします。
pHとCO2濃度の関係についてここで説明すると長くなってしまうので、以下のページもご覧ください。
⇒「水草にCO2添加の考え方と本質まとめ」記事こちら
要はpHが低いと、溶存CO2の中でも遊離炭酸の割合が増加する原理を応用します。
ただし、pH5以上には保ちます。
RO水を使うと簡単かつ効果的
pHを低く抑えるために、RO水(逆浸透膜濾過水)を使うと簡単にpHを下げ、かつ効果的にCO2供給ができます。
不純物が限りなくゼロに近いRO水は、“純粋な水”として理論値はpH7の中性ですが、大気に触れると約pH5.6まで一気に下がります。
これは主に、大気中の二酸化炭素が一気に溶け込んで起こります。いわば空っぽ状態のRO水が、大気中で安定しようとして溶解平衡が起こるんですね。
RO水はもちろん、純度の高いものが理想です。不純物の多いRO水だとpHも大して下がりません。
私の水槽は小さいので、高純度RO水20Lタンクをときどき購入しています。
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大きい水槽や複数台管理する場合は、RO浄水器を購入した方が長期的に安いでしょう。
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(※海水水槽用となってますが、RO浄水器としてもちろん淡水でも使えます)
エアレーションでCO2が逃げる?
ビーシュリンプ水槽は、エアレーションする環境が多いと思います。底面フィルターもエアレーションですね。
そしてエアレーションすると、曝気作用でCO2が逃げてしまうと思った方もいるかもしれません。
ですがこのRO水の場合は、基本的に逃げにくいです。
曝気作用はその大気中で安定するために起こるものであって、すでに比較的安定している状態には影響が少ないんですね。このRO水は安定するためにCO2が溶け込み、pHが下がったわけですから。
そもそも“エアレーションでCO2が逃げる”と言われるのは、CO2を強制添加してる場合ですね。
安定している飼育水に強制的にCO2添加して不安定な状態だから、エアレーションでCO2が逃げるわけです。
もちろんRO水でなくても飼育水pHを下げるだけで、安定した状態で遊離炭酸比率を増やすことに繋がります。そして常時エアレーションの環境であっても、水草にCO2を供給しやすくなります。
低床にアマゾニアや水草一番サンドなど栄養系ソイルを使えば、低pHを維持しやすいですね。
ちなみに低pHだと脱皮不全が心配という方もいるかもしれませんが、GH3(水硬度)を維持していれば問題ありません。
水硬度についても含め、次項に続きます。
水草のための栄養バランス
このビーシュリンプ水草水槽では、栄養供給に以下のものを使っています。
- ミネラル添加剤「ミネリッチ」
- 足しソイル「アマゾニア」
- 時々ピートモス
これまで色々と試した結果、これらに落ち着きました。
水草用液肥は一切使っていません。
固形肥料はほんの少しずつであれば問題なく使えますが、照明光量と栄養消費のバランスを取れば、無くても大丈夫です。
また固形肥料も入れ過ぎると、カリウムが強く溶出してしまいます。
ミネリッチは水換えや足し水に添加
ミネリッチ・アクアーレはビーシュリンプのミネラル供給に定番の添加剤なので、ご存知の方も多いと思います。
カルシウム・マグネシウムの硬度維持も、これで簡単です。
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水草への使い方も、ビーシュリンプの水作りと基本的に変わりません。
ミネリッチは、天然海水中に含まれる塩化ナトリウム以外の約90種類もの元素を含むミネラル濃縮液です。
長期的に使用してみた結果、水草は問題なく成長しますから、水草が必要とする塩素(Cl)以外の各種ミネラル、微量元素を含んでいると思われます。
塩素は、水草の必要量が極めて少なく、ビーシュリンプの餌やソイルにも含まれるので大丈夫です。
水換え時は、RO水1Lあたり0.5mlが目安です。
足し水の場合は、1Lあたり0.1〜0.2ml程度で添加しています。
過剰なミネラルはダメージになるので、入れ過ぎ注意です。
小さい水槽は、100円ショップの化粧水ミニボトルを使うと、1滴約0.1ml程度で使いやすいです。
もちろん水槽に直接添加せず、追加する水バケツに垂らしてよく混ぜてから、ゆっくり足していくのがセオリーです。
足し水は添加量に注意!
足し水は、飼育水が蒸発した分の補充です。
蒸発なので、消費されなかった成分は濃縮して残っていきます。
つまり足し水の場合は、水草やビーシュリンプが消費した分だけのミネラル補充に抑える必要があります。
水換え時と同じ添加量では、まず過剰になると思います。
この加減は水草量など水槽環境によって少しずつ変わるので、ご自分の水槽でも調整してみてください。ビーシュリンプの様子を見ながら添加します。
ポイントは、ビーシュリンプに適したミネラル量に調整して、それに水草の消費具合を合わせるイメージです。
そのために、照明の明るさを加減するわけです。
ビーシュリンプが快適に繁殖しなければ意味がありませんから、ビーシュリンプ優先で栄養調整します。
足しソイルとピートモスで窒素リン酸を供給
定期的な足しソイルやピートモスの添加は、水草に窒素分やリン酸を供給してくれます。
また、足しソイルはビーシュリンプのミネラル補給にもなりますし、アマゾニアソイルやピートモスに含まれる腐植酸は、シュリンプの喜ぶ植物プランクトンの発生を促進してくれます。
足しソイルで一押しは、やはりADA「アマゾニア」ですね。
(※ライトじゃない方)
この水槽では1〜2週間に一度、だいたい上の写真の量を水槽に入れています。
一度にたくさん入れると、腐植酸から窒素分とリン酸が強くなって、水草に緑コケが付きやすくなるので、このくらいずつ加減して入れています。
入れ過ぎると緑ゴケが付くのは、ピートモスも同じです。
以下のページでピートモスの使い方も紹介しています。
⇒「ビーシュリンプの繁殖を促す腐食酸の実験記録」こちら
ビーシュリンプ水草水槽の作り方まとめ
ということで、ビーシュリンプ水草水槽の作り方、CO2無添加で陽性水草を育てる環境など、私の水槽環境を元にご紹介しました。
ここに書いた通り、複雑な管理はしていません。ビーシュリンプをよく知ってる方からすれば、何てことはない管理方法です。
大切なのは、ビーシュリンプと水草の特性を考えた3つのポイントです。
- 照明を強くしない
- pHを6以下に調整
- ビーシュリンプと水草の栄養バランス
ちなみに、それぞれ言い換えると「光」と「水質」と「栄養」のことです。
水草にとっても生体にとっても基本の部分ですね。それらを擦り合わせています。
陽性水草も成長は遅いです
確認した水草種は現在のところまだ少ないですが、この水槽環境なら多くの陽性水草がCO2無添加で育つと思います。
ただしこの環境で育つ陽性水草は、成長はかなり遅いです。
一般的な水草水槽に比べて、光も栄養もCO2も少ない状態なので、当然なのですけども。
ただ容姿は小振りながら、美しく育ちます。
(普通ならかなり成長の早いルドウィジア・インクリナータ)
そして、ニューラージパールグラスが這って育ったりします。
こういった辺り、“水草は充分な光量とCO2が必須”という考えに固執すると、理解し難い部分かもしれません。
なぜ這うか、また記事に書きたいと思います。
ビーシュリンプ繁殖水槽なら移行しやすい
今回ご紹介した水槽環境は、すでにビーシュリンプを繁殖させている水槽であれば移行しやすいと思います。
適度なミネラルバランスと、それなりの腐植酸があるはずですから。
ただ底床に真新しいアマゾニアを厚く敷いてる場合は、コケが出やすいと思います。
対処法はやはり、小分けに水換えがおすすめです。
また、現状の飼育水pHが7以上などpH高めの場合は、RO水と水道水(もちろん塩素除去必須)を9:1程度に混ぜて、pH調整して慣らしながら下げていきましょう。
早めの点滴法でゆっくり足し水すると優しいですね。私は常に点滴法でしています。
pH計測の注意点
淡水でpH6以下の計測は少しシビアな部分なので、pH試験紙やpH試薬がおすすめです。
言いづらいですが、価格が1万円前後からそれ以下のpHメーター(ガラス電極)だと、淡水水槽のpH6程度から下をまともに測れる商品はほぼ無いと思います。
簡単に説明すると、イオン濃度が低過ぎて測定する電気差が小さ過ぎるんですね。
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テトラテストの定番pH試薬です。
pH6以下の具体的な数値は分かりませんが、pH6以下になったかどうかは的確に分かります。
以上、ビーシュリンプ水草水槽の作り方でした。参考になれば嬉しいです。
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