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藍藻の発生と対処法。

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藍藻発生の原因と対処法を私の水槽経験から

藍藻発生の原因と対処法を私の水槽体験から

 試行錯誤しながらこの水槽では、立ち上げから5年ほどミニアクアリウムを楽しんできました。

 それがここへ来て、青緑色の藍藻(ランソウ)がこの水槽で初めて発生しました。
 分かりづらいのですが、発生した藍藻の拡大写真はこちら。

藍藻の発生状況写真

 底床にこびり付くように出てきて、一見して緑のコケのようにも見えますが、ピンセットで摘もうとするとバラバラに崩れてしまう厄介な存在。

底床ガラス面にも藍藻発生

 こちらも藍藻。動かすと簡単に剥離しますから、緑コケではありません。

 今までも水質や環境が不安定な時期はあったのですが、私の記憶が確かならば初の藍藻です。

 そこで、今まで行ってきた水槽への諸々の対策とここ最近のアプローチから藍藻発生の原因を探り、最も効果的な対処法を、私の経験を元に記録しようと思います。

なぜ今、藍藻発生?今まで大丈夫だったのは?

 それにしても、なぜ今まで何年も藍藻が発生しなかったのか、すべての経緯から考えてみました。

 そこでまず藍藻とは何か、そして藍藻が発生する原因(要因)から探っていきます。

藍藻とは?

 藍藻は名前からして藻類(植物)の仲間のように思われがちですが、正確にはバクテリア(細菌)の仲間です。
 細胞内に核を持たない原核生物(つまりバクテリア)で、シアノバクテリアとか藍色細菌と呼ばれる事もあります。

 ただし植物ではないのに、光と得て光合成を行う能力も持ち合わせています。

 これだけ聞くと頭がパニックになってしまいますが、実は植物が持つ葉緑体(光合成を行う細胞)は、シアノバクテリアが取り込まれて共生進化したものだと考えられています。

 何十億年も太古の昔、まだ地球上に酸素気体がほぼ無かった頃に、空気中の二酸化炭素を光合成によって酸素に変えたのがシアノバクテリアだとされており、植物類が誕生するよりはるか以前から存在している細菌なんです。

 なので藍藻は、茶ゴケや黒髭コケといった藻類とは全く別物と考えるのが正しいです。

藍藻が発生するいろいろな原因

 そんな藍藻ですが、水槽に発生する原因は何でしょう?
 まずは、巷でよく囁かれている情報を元に挙げてみます。

水の汚れ水質の悪化

 水槽に蓄積する生体の排泄物や、水草への肥料添加など栄養素過多によって、飼育水が富栄養化を起こし、水の汚れ(水質の悪化)から発生すると言われています。

pHがアルカリ性に偏る

 水槽のpHがアルカリ性に偏ると発生しやすいと言われます。

底床汚泥の蓄積

 底床に生体の糞など汚泥が溜まり、底床中の通気性(通水性)が悪くなって、好気性細菌(酸素を好む細菌)と嫌気性細菌(無酸素状態で活動する細菌)のバランスが崩れ、嫌気性細菌が優位になってしまう状態で、藍藻が発生しやすいと言われます。

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藍藻発生のミニ水槽で起こった事

 さて、藍藻が発生する原因を挙げてみましたが、最も重要な問題はこのミニ水槽で何が起こったかという事です。
 そこで、これまでの経緯を大まかに書いてみます。

 藍藻が発生するまで水槽では、定期的な水換え、水草肥料の最低限の施肥、そして底床にほとんどソイルが無いためpHがほぼ中性で、ときどき追肥した際にカリウムやカルシウム、マグネシウムなどミネラル分の影響で硬度が上がり、若干アルカリに偏りがちな環境でした。

 アルカリ気味とはいえ発酵式CO2の添加でpHを抑えつつ、水草や生体への影響はほぼ無く、無難に安定していた感覚です。
 この状態ですでに5年目になります。

 ですが最近、環境を少し変化させた事があります。それが水草ショートヘアーグラスの草原化計画です。

藍藻発生水槽のこれまでの経緯

 使っている発酵式CO2の特性上どうしてもCO2添加量の加減ができないので、多過ぎる余剰分のCO2を消費してくれる水草を増やしました。

 これが問題という訳ではありません。というか、水草が増えたお陰で一時期はCO2添加量を気にせず生体も水草も元気に育つバランスの良い環境になっていました。

 ですが、今回の藍藻の発生です。

 ここで以前との大きな違いを考えると、思い当たる事が一つ。
 それは底床内の汚泥掃除をしなくなった事です。

自作の砂利クリーナー

(底床内の排泄物や汚泥を吸う自作クリーナー)

 底床にクリーナーを挿して汚泥を吸い出す掃除を以前は定期的に行っていましたが、ヘアーグラスショートを広く繁殖させるため、ランナー(新しい芽)を傷めてしまわないように、完全に止めていました。

 この底床内の汚泥が問題なのでは、という結論に行き着きました。

藍藻と底床内の汚泥増加の関係

 確かにヘアーグラスを増やし初めてから、底床内の汚泥が増えたなとガラス越しに感じていました。

汚泥で嫌気性細菌が活性化

 汚泥によって起こることは、底床内の富栄養化と、汚泥によって底床の目が詰まり通気性(通水性)の悪化です。
 通気性が悪くなれば酸素を使って活動するバクテリアは存在できなくなり、酸素を必要としない嫌気性細菌が活性化し始めます。

 嫌気性細菌の中でも怖いのが、硫酸塩還元菌による硫化水素の発生です。

 硫化水素は言わずもがな猛毒で、腐った卵のようなニオイは人間でも直接嗅ぐと体調を害するほど有毒です。汚泥処理施設で硫化水素発生による死亡事故が問題視されることもありますよね。
 水槽内にはソイルや生体の排泄物、そして水草肥料等に硫黄(微量元素)が含まれており、硫酸塩還元菌が水素硫黄を使って硫化水素を発生させてしまいます。

 もちろん、嫌気性細菌の中でも脱膣菌のように溜まった硝酸塩を窒素に還元してくれる嬉しいバクテリアもいるのですが、脱膣菌は通性嫌気性細菌(酸素があれば呼吸し、酸素が無ければ脱窒する)であり、嫌気性環境では絶対嫌気性(酸素を嫌う)の硫酸塩還元菌に負けてしまいます。

 でも藍藻(シアノバクテリア)にとってこの硫化水素は、問題というより逆に光合成の材料として利用する力もあるんですね。

 というのも、シアノバクテリアが大活躍した太古の海ではこの硫化水素が充満していたとされ、大気には二酸化炭素、海には硫化水素という最悪の環境で繁殖し、酸素をどんどん生産していったわけです。

 硫化水素が立ち昇る底床は熱帯魚やエビ、もちろん水草や茶ゴケ等にも地獄ですから、富栄養化した栄養素を独占しつつ、藍藻に最適な環境になっていくと想像できます。

藍藻を根本から対策する

 藍藻の対処法にはアンチグリーンエクスタミンといった藍藻除去薬オキシドールなどの情報も流れていますが、やはり発生した原因の根本から対策しなければずっと堂々巡りでしょう。

 私はこれまでの考察から、汚泥を撤去する方法を選びました。

 ただ汚泥の撤去と言っても、以前のように底床にクリーナーを差し込んで吸い出す施策はできません。そこでとりあえず大型スポイトを底床に挿して汚泥を吸い出すことにしました。

水槽用大型スポイト

 もちろんその前に、目に見える藍藻を飼育水ごと吸い出し撤去します。

藍藻をエアチューブで吸い出す

 サイフォンの原理でエアチューブを使い、少しずつですが藍藻を残さないように綺麗に撤去しました。

 藍藻は触るとバラバラに飛散してしまうので、ピンセットで取ろうとせず吸い出します。

スポイトで汚泥撤去

底床中の汚泥をスポイトで撤去

 スポイトを底床に差し込んで吸い出すという非常に地道な作業ですが、幸いミニ水槽だったので、なんとか水槽環境を改善させる程度の量を吸い出しました。

底床からスポイトで吸い出した汚泥

 大変だったのは下層にあった劣化したソイルです。

 pH調整と水草のために栄養素として、水槽立ち上げ時にわずかにソイルを敷いたのですが、4年以上経ってさすがにぼろぼろに劣化しており、スポイトの口を詰まらせやすく、詰まりを取り除きながら吸い出さなければいけませんでした。

 ボロボロになったソイルが余計に嫌気性環境を作ってしまう要因にもなっていたでしょう。
 水槽を長く管理しようと思うとソイルは厄介な存在ですね。

 また、藍藻が発生した箇所の底床はソイル層が厚く、汚泥だけでなく劣化したソイルも相まって、やはり嫌気化が進んでいました。

その後の経過は良好

 その後の経過は良好で、スポイトによる汚泥処理後はっきりと藍藻の発生は無くなりました。

 思い返してみると、このところミナミヌマエビが茂みに隠れてあまり表に顔を出さず、水換え直後だけ見掛けていたのも、汚泥による水質低下が理由だったのかもしれません。
 汚泥処理してからは、ヌマエビが元気にツマツマしている姿が良く観察できます。

 ただし、汚泥を完全に撤去したわけではないですし当然また徐々に溜まっていくでしょうから、定期的な除去が必要でしょう。

藍藻の原因と対処法まとめ

 今回の経過から見ても、私の水槽で藍藻発生の原因となったのは底床内の汚泥による富栄養と嫌気化(目詰まり)と見ていいようです。

 私の水槽のように飼育環境を長く維持しようと思ったら、ソイルではなく大磯砂やセラミックサンドのような型崩れしない底砂を使うのが無難かもしれません。言ってしまえば細かいガラス玉でも良いというか。
 また、使った事はありませんが、田砂のような細かいものも目詰まりしやすいでしょう。

 もちろん、ソイル以外で水草を育てるなら、初めからそれなりの栄養素を底床に添加しなければならないのは言うまでもありません。

 まあソイルが駄目になったり藍藻が発生すると水槽を完全リセットする方は多いでしょうし、ソイルを否定するつもりは全くありません。
 pH管理や水草育成にはソイルほど便利なものはありませんから。

 また、今回の藍藻問題で、以前に夜間の酸欠を疑い酸素供給した件を思い出しました。
 水草量を増やしたため、夜間のライト消灯時に飼育水中の酸素が欠乏してるのではというものです。

 その時は酸素を水槽に添加する方法を行いエビの調子が良くなったのですが、今回の嫌気性細菌の出来事で、違う理由もあるのかもと思いました。

 というのも、酸素が枯渇すると好気性バクテリアの活動が弱まり、底床の嫌気性バクテリアが活発になります。
 嫌気性細菌は硫化水素だけでなくアンモニアも発生させます。そのアンモニアを硝化させる好気性バクテリアが不活化すれば当然、有毒なアンモニア濃度が増えます。

底床に溜まる汚泥の悪影響

 もちろん外部フィルターの硝化バクテリアもいますし底床から漂うアンモニアもわずかでしょうけど、このアンモニアがエビの体調に影響していたのかもしれないということ。

 酸素を添加したことで好気性バクテリアが息を吹き返し、アンモニアを硝化分解してくれたお陰で、エビの調子が改善されたのかもしれません。

 ということで今回の汚泥処理後に夜間の酸素添加をストップさせたところ、予想通りエビの調子が悪くならないんですね。

 汚泥によって底床の通気性が悪くなる現象は、水質を悪化させて様々な悪影響を与えると考えて良さそうです。

 考えてみれば大自然の水中でも、ミズムシ(水生のワラジ虫)のような小型生物が汚泥中を徘徊して土中に空気を送り、好気性バクテリアが活発化する生物的環境があります。
 嫌気性細菌が増え過ぎる状況はけっして良好な環境ではないということですね。

 ただ、ミズムシは見た目がワラジ虫そのままなので、どうしても水槽に入れようとは思えません。。
 やはり人為的に汚泥を取り出す方法がベストかも。

汚泥処理の参考リンク

 私も使っているSUDO製の10ccロングスポイトは、結構大型サイズ。
 ただ、劣化してぼろぼろしたソイルがスポイトに詰まりやすく、詰まりを取りながらの汚泥撤去でした。それほど効率が良くない。。

 今後も汚泥掃除は必要ですから、これは自作の何か良いものを考えてみたいと思います。
 完成したら、またご紹介させていただきますね。

自作クリーナーの追記

 底床掃除用にさっそく自作クリーナーを作ってみました。

自作した草原底床クリーナーの材料と作り方

 水草を出来るだけ傷めずに底床の汚泥を吸い出せるように工夫してます。よければそちらもご覧ください。



 

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