水草が枯れる原因の見つけ方と対処方法!
綺麗な水草レイアウトを想像して、誰もがワクワクしながら水草を育て始めたことと思います。
ですが多くの方が、植えて数週間の初期段階で躓きます。上手く育たず枯れてしまう。
水草を初めて育てる方にとって、水草が枯れてしまう原因を探るのはとても難しいことでしょう。
そこでこのページでは、水草が枯れる原因の見つけ方と改善方法についてご紹介してみます。
原因を見つけて対処すれば、水草は面白いように成長し始めます。
ちなみに、水草を植えて数週間の初期に枯れる場合と、数ヶ月から育成した後に枯れる場合の、2通りに別けて解説しています。
別けて解説してはいますが、ちょっと突っ込んだ内容も書いているので、通して読んでもらうと分かりよいと思います。
また、購入時点で既に腐っている水草には言及していません。
とはいえ「購入した水草に傷があるとそこから枯れる」なんて情報を時々見掛けますが、そんなことはありません。
水槽環境が整っていれば、水草をかなり雑にカットしても脇芽を出して成長するものです。指で千切っても枯れる事なく新葉を出しますから。
腐っている株は論外ですが、下葉が多少痛んでる程度は何の問題もありません。
水草が枯れる原因:導入初期の確認ポイント
導入初期に水草が枯れる原因となる点を、以下に挙げていきます。
- 1、飼育水の水温
- 2、pHや硬度など水質
- 3、照明の光量や波長
- 4、CO2
- 5、栄養素のバランス(肥料)
確認すべきポイントは、この5つ。
あなたの水槽を見ながら一つずつ確認していけば、自ずと原因が分かります。
それぞれについて、以下に詳しく説明していきます。
1、水槽水温は大丈夫?
水草にとって、水温はとても大切です。
水温は目で見えないので、一見して気付きにくく忘れがちですから、必ず水温計を設置して水温を確認しましょう。
(数百円の安価な水温計。こんなのでも全然大丈夫。)
水草にとって水温30度を超える高温環境は、基本的にご法度です。
またアクアリウムで人気の水草種は多くが熱帯性の植物ですから、低水温にも弱い。15度以下ともなるとどんどん枯れていきます。
ヒーターやファンクーラーで適温調節を
適温は23度〜26度あたり。最低でも20度以上30度未満を維持してあげましょう。
水温が下がってしまう冬の時期はヒーターを、夏場に水温が上昇してしまう場合は冷却ファンや水槽用クーラー、室内エアコン等で対策が必要です。
参考までに以下の記事もおすすめです。
2、水質(pHや硬度)を調整する
水槽を流れる水はどれも同じように見えますが、セットする底砂(底床材)や熱帯魚の数、水道水の水質まで、水槽環境によってpHや硬度がかなり変わってきます。
そして水草にとっても、好む水質が種によって少しずつ違います。
つまり、植えた水草に合わせて水質を調整することで、水草の成長がスムーズに進みます。
多くの水草が好む水質はpH6.0〜7.0の弱酸性から中性、GH硬度2〜4辺りが最適です。
水質調整はソイルが簡単
とはいえ初めての方にとって、pHや硬度を調整するのは難しい事かもしれません。
そこでおすすめは、ソイルを使うこと。
底床にソイルを敷くだけで、強力にその水質に調整してくれます。
もちろん大磯砂利やサンド(砂)を使って水草を育てることも可能ですが、それには水質を把握して個々に操作する技術も、時には必要になってきます。
まず初めはソイルを使って、水草がぐんぐん育つ感覚を一度経験してみると良いでしょう。
ソイルに関しては、こちらもご覧ください。
⇒「おすすめは?ソイル選びで水草水槽の失敗が決まる!」こちら
ちなみに水質指標のひとつにKH(炭酸塩硬度)がありますが、ソイルを使用すれば初期は特にKH硬度を気にしなくても水草は育ちます。
3、照明の光量と波長
照明は、水草の光合成にとって必要不可欠です。もしまだ設置してない場合は用意しましょう。
また商品によって照明性能に差があります。
光量(光の強さ)や光に含まれる波長が変わってくる。
そしてあまり光量の少ない照明だと、明るい光を好む水草を育てるのが難しくなります。
とはいえ、現在主流のLED照明もどんどん進化してますから、“水草育成用”と謳うそれなりの照明を使えば、大抵の水草は育ってしまいます。枯れることはありません。
照明は水草と水槽サイズ・形状に合わせて選ぶ
最近では“水草は照明が一番大事”なんて情報も多いですから、照明設備が過剰な状況も多いです。水草が育たない原因が分からないと、照明のせいに思ってしまう。
ですが照明が強すぎると、逆に水草育成が難しくなる事も多々あります。
光量の要らない陰性の水草種は、葉焼けを起こして枯れてしまう事も。
照明は導入する水草種と水槽サイズや形状に合わせて選ぶのがオススメです。
照明に関して詳しくは、こちらもご覧ください。
⇒「水草水槽におすすめ照明は?LED照明の選び方」こちら
もしあなたが使う照明が適切なものであったなら、この項目はスルーして構いません。
4、CO2(二酸化炭素)供給の有無
植物が光合成を行う上で、CO2(二酸化炭素)は必ず必要です。
そのため本格的な水草水槽では、強制的にCO2を添加するのが一般的です。
豊富な水草、肥料喰いな水草に十分なCO2を供給するために必要になってきます。
(キューバパールグラス。CO2添加が欲しい代表種かも。)
とはいえCO2は、大気と接する水面からも少しずつ自然に溶け込むので、必ずしも添加装置が必要というわけではありません。
簡単な水草や少ない水草から始めて徐々に増やす方も多いでしょうし、少しずつ溶け込んだCO2で十分光合成できる種も多いんですね。
アヌビアス・ナナやクリプトコリネ種、アマゾンソード、ウィローモスなど、陰性水草すべて、そして陽性水草の中でも“初心者向けの育てやすい水草”と言われる種であれば、大抵CO2添加しなくても問題なく育ちます。
ただし、CO2を添加することで水草育成は格段に容易になります。
今後、本格的な水草水槽を目指すのであれば、導入を検討しても良いでしょう。
また、安価にCO2供給できる「発酵式CO2ペットボトル」もおすすめです。
ちなみにCO2添加装置を導入しない場合は、常にエアレーション(ブクブク)やフィルター出水口で水面を波立たせると、CO2が溶存しやすくなります。
5、栄養素のバランスが悪い
水草は成長に必要な栄養素が得られなければ、やはり枯れてしまいます。
水草が欲する栄養素には、窒素・リン酸・カリウムの3大栄養素と、カルシウム・マグネシウム・硫黄・ホウ素・鉄・マンガン・亜鉛・銅・ニッケル・モリブデン・塩素といった微量元素があります。
- 3大栄養素・・・窒素、リン、カリウム
- 微量元素・・・カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデン、塩素など
これら全ての栄養素を吸収することで、水草は育ちます。
つまり逆に言えば、どれか一つでも欠ける(欠乏する)と水草は成長できません。バランス良く施肥する必要があります。
総合肥料で栄養管理が容易になる
これだけの成分をバランス良くなんて聞くと「栄養管理は難しそう」と思うかもしれませんが、総合肥料を使えば、施肥は格段に容易になります。
肥料について詳しくは、こちらもご覧ください。
⇒「水草水槽に肥料を与えるやり方と考え方」こちら
水草が枯れる原因の多くは栄養の問題
5つの確認ポイントについて説明してきましたが、水草が枯れる最も多い原因は栄養素だと思います。
私が相談を受けるケースの多くが、肥料の問題だったりします。
初心者が陥りやすいパターン
先に書いたように、水草は栄養素がたった一つ足りないだけでも育つ事が出来ません。
育たないどころか、衰弱して徐々に枯れが進行する。
そして水草自体がもう栄養の塊ですから、衰弱する事で草体から栄養が滲み出し、それを糧にコケが発生し始めます。
コケが出ると多くの方は「富栄養だ!」なんて、水換えし始める。「富栄養だから肥料の問題じゃ無い」なんて勘違いしてしまうんです。
そして「照明が悪いんじゃないか」など、本当の原因から遠退いていく。
当然どれだけ水換えをしたって照明を高性能に換えたって、栄養素が足りないままでは水草は枯れ落ちます。
こんなパターンが、初心者にはとても多いです。
もちろんその他確認ポイントが原因ということもありますから一概には言えませんが、こんな状況もあるということを知っておくと、問題解決のヒントになるかもしれません。
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水草が枯れる原因:長期育成以降
次に、数ヶ月以上しっかり成長していたけど、急に水草が枯れ始めた場合。
長期的に育成していて水草が枯れる原因は、もう肥料の問題がほとんどです。
最近まで普通に成長してたのですから、照明が駄目ということはほぼありません。
一応確認しておきたいのが、以下の2点。
- 水温の確認
- CO2の確認
ヒーターやファンクーラーの急な故障で水温が激変してる場合もありますから、一応確認してみましょう。
ずっとCO2を添加していた場合、CO2気泡がちゃんと出てるか確認しましょう。
CO2を添加せず育てていた方は必要ありません。
蛍光灯ユーザーは一応確認を
近年はユーザーも減りましたが、蛍光灯照明の場合は複数本の一つが球切れもしてる場合もあります。確認しましょう。
また蛍光灯は経年劣化による光量低下がありますが、それで水草が急に枯れることはなく、徐々に成長が鈍くなっていきます。
「もう2年以上使ってる」なんて方は、電球を交換しましょう。
これらを確認して異常が無ければ、肥料の問題です。
「これまで肥料を使った事がない」という方と、「液肥や固形肥料を使っていた」という方、2パターンに別けて説明していきます。
肥料を使わなければ栄養不足になる
「肥料を使ってない」のであれば、水草はソイルの栄養を使って育っていた事と思います。
ソイル以外の底床材で肥料なしでは、順調に育つこと自体難しいですから。
なのでソイルの栄養が切れて、栄養不足から枯れが進行しています。
肥料を施肥しましょう。
肥料の選び方や使い方については、やはりこちらをご覧ください。
⇒「水草水槽に肥料を与えるやり方と考え方」こちら
肥料の与え過ぎと栄養素の偏り
液肥や固形肥料を使っていたけど水草が枯れてしまう場合は、肥料のやり過ぎ、もしくは栄養バランスの偏りが原因です。
肥料の与え過ぎは水質まで変えてしまう
肥料の与え過ぎは、水槽水質まで変えてしまいます。
特にカリウム液や鉄分液肥のミネラル栄養は、窒素やリンといったコケに強く影響する栄養素に比べて、入れ過ぎてしまうことがよくあります。
カリウムの入れ過ぎはpHをどんどん上昇させ、水草が苦手とする水質に変化させますし、どれか一つでも栄養素が大きく偏ると他栄養素の吸収が阻害される“拮抗”が起こります。
また、固形肥料の入れ過ぎによっても、カリウムはもちろんマグネシウムやその他微量元素が過剰になり、水草が根から栄養を吸収できなくなる“肥料焼け”を起こします。根が腐って溶けてしまう。
(軟水を好む水草種は、拮抗や肥料焼けを起こしやすい。)
肥料の入れ過ぎや栄養の偏りは、水草が枯れる原因になるんですね。
肥料は、バランスよく適量あることで初めて効果を発揮します。
過剰な施肥は水換えで排出する
液肥や固形肥料を入れ過ぎた場合は、水換えで排出します。
底床に埋め込んだ固形肥料の場合も、プロホース等のストレーナーで底床の汚れと一緒に満遍なく吸い出します。
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(サイズはS、M、Lがあります。小型水槽はSがおすすめ。)
底床内が富栄養になっていると水草の根が駄目になるだけでなく、藍藻(ランソウ)が発生しやすいんですね。
藍藻の発生させる“硫化水素”によって、熱帯魚やエビ達がダメージを受ける二次被害を防ぎます。
ソイルを使ってる場合は粒を潰してしまわないように、優しく吸えるところまで掃除しましょう。
水換えで排出後に少しずつ施肥する
水換えにしろストレーナーで底床掃除にしろ、過剰な栄養分を排出したら総合固形肥料を少しずつ施肥しましょう。
(施肥について詳しくは、上記した肥料ページをご覧ください。)
総合肥料は栄養バランスの崩れや枯渇した栄養素をバランスよく整える事ができ、水草の調子を改善しやすいです。
ただし極極少しずつ。
ちなみにかなり軟水を好む種の場合は、追肥せず掃除だけで数日様子を見るのも良いです。
掃除してもソイルに吸着してる栄養素が少しずつありますから、それで復調することもあります。
その場合は、そのくらい少ない栄養で十分ということです。
また液肥過剰による水換えは、一度だけで終わらせず複数回行いましょう。
何度か行う事で自然に回復してくる場合もあります。
液肥過多による拮抗で成長が止まっていただけで、これもソイルや底床には各種栄養がまだあるということですね。
水草が枯れる原因まとめ
水草が枯れる原因について書いてみました。
正直なところ、水草育成の経験が浅い方にとっては少し難しく感じる内容かもしれません。
やはり私も水草を育て始めたばかりの頃は、チンプンカンプンでした。
このページの水草写真は全て私の水槽ですけど、それなりに長く水草と接してきたつもりでも、頭を悩ませる水草の反応があります。
ただ一つ言えることは、「どうして水草が枯れるのか?」と疑問に思うだけで終わらせず、失敗しても試行錯誤し続ける方は、そのうち綺麗な水草を育てるようになるんですね。
そんな素晴らしい水草アクアリウムを創る参考となれば幸いです。
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