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ビーシュリンプ飼育の3大ポイント。

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ビーシュリンプが繁殖する環境づくり3大ポイント!

ビーシュリンプが繁殖する環境づくり3大ポイント!

 昨今のアクアリウムでは様々なシュリンプが新しく登場しており、淡水エビが一大カテゴリーとなっています。
 その中でも定番のビーシュリンプは、やはり根強い人気を誇っています。

「初めてのエビ水槽はレッドビーシュリンプから」なんて方は多いんじゃないでしょうか。

 そんなビーシュリンプですが、環境への抵抗力は弱めで、他のシュリンプに比べて繁殖させるまでの難易度が高い傾向にあります。

 そこでこのページでは、環境を変えつつ繁殖経過を観察し、数年に渡りレッドビーシュリンプを飼育して分かったこと、繁殖する環境づくりの3大ポイントについてご紹介しています。

「ビーシュリンプの繁殖が上手くいかない」「環境を作るコツが知りたい」という方に、ぜひ読んでいただければ幸いです。

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レッドビーシュリンプはなぜ繊細なの?

 環境づくりの3大ポイントに進む前に、なぜレッドビーシュリンプの飼育・繁殖が難しいのかという点に少し触れてみます。

レッドビーシュリンプの飼育・繁殖が難しい?

 まずレッドビーシュリンプは自然界に生息しておらず、人の手によって選択的に交配され作出された人工種です。

 その原種となったのは、香港が原産地の香港ビーシュリンプと呼ばれるエビ。
 透明な殻に黒や茶のシマ模様が特徴で、みなさんお馴染みのヤマトヌマエビやミナミヌマエビ等の柄に近しい地味な印象です。

 この香港ビーシュリンプが生息する現地の川はTDS値20〜30ppmとかなり清流とのことですが、それでもレッドビーより強靭で繁殖のしやすさが断然あるようです。

 ではなぜレッドビーの繁殖難易度が高いかといえば、やはり劣性遺伝子を選択交配し続けて鮮やかな柄を固定化させた点が大きいでしょう。

 突然変異で生まれた赤い発色の縞模様同士を厳選して掛け合わし、白色沈着の強い個体遺伝子も交配しながら、色鮮やかな紅白色の現在のレッドビーシュリンプは誕生しました。
 確かに、紅白の目立つ柄では簡単に外敵に捕食されてしまいますから、自然界で生き残る確率は低いでしょう。

レッドビーシュリンプの目立つ紅白柄

 そして選択的交配は、進化に必要な多様性に逆行しますから、環境への適応度が低下します。
 つまり抵抗力が落ちて、環境の変化や水質の悪化に弱くなるんですね。

 また選択交配は、血縁の近しい個体同士を掛け合わせる近親交配も多くなりがちで、血が濃くなることの弊害もあるでしょう。

 こういった背景を考えると、レッドビーシュリンプ繁殖が難しいとされるのも頷けます。

 とはいえ現在レッドビーシュリンプは世界中に広まり、個体数も圧倒的に増えて多様性が格段に向上してますから、ひと昔前に比べて育てやすくなってるだろうとは思います。

シャドーシュリンプやチェリーシュリンプは?

 ちなみに他のエビはというと、シャドーシュリンプやピントシュリンプ、タイガー系シュリンプは同様のビーシュリンプから派生していて、やはり難易度は高めです。

 チェリーシュリンプ(カラーシュリンプ)系はミナミヌマエビの仲間で、選択交配によってカラーを固定化していますが、そこまで深く選択交配しておらず難易度も低めです。
 飼育自体、ミナミヌマエビとそれほど変わらないですね。

水温・ろ過フィルターなど基本環境がある前提

水温・ろ過フィルターのビーシュリンプ基本環境

 今回のポイントは、水温やろ過フィルターといった基本環境がある前提でお話ししていきます。

 基本環境と言っても難しいことはありません。

 ヒーターや冷却ファン、水槽クーラー、エアコン等を使って、水温を22〜26℃程度の範囲の中で一定に維持していること。

 安定した水温はとても大事です。

 ちなみに私の水槽はずっと26℃設定のオートヒーターを使っています。

 そしてろ過フィルターを使って適度な水流を作っていること。
 底面フィルターでもスポンジフィルターでも外掛けフィルター、外部フィルターでも良いので、水槽サイズ(総水量)に合わせたフィルターを稼働させていること。

 くれぐれも水流が強すぎて洗濯機状態にならないように。

 私の水槽は、ミニ外掛けフィルターとエアレーションで水流を作っています。

 その他、水草に農薬が混入してる等、何をやっても無駄になる原因も排除しておきましょう。
 輸入品のアヌビアス系、カボンバなど注意が必要です。

 無農薬と明記された水草や、組織培養カップのみ使えば安心です。

 それでは、3大ポイントに入っていきます。

1硝酸塩濃度、調べてますか?

ビーシュリンプ水槽の硝酸塩濃度を調べる

 まず1つ目は、硝酸塩濃度です。

 硝酸塩について詳しく説明をすると膨大になってしまうので簡潔にいうと、熱帯魚やエビの排出するアンモニア分を硝化バクテリアが分解して最終的に残る成分が硝酸ですね。

 要は、水槽でよく言われる“汚れ成分”の代表格です。

 必ず測らなければ駄目というわけではありませんが、硝酸塩濃度とビーシュリンプの関係を知ることは、今後のビー飼育において断然有意義です。

 上手くいってないのであれば尚更、一度調べてみるのがオススメです。

硝酸塩は汚れ具合の指標です

 正確に言うと、水槽の汚れは硝酸塩だけではありません。

 硫黄化合物やリン酸鉄、その他にも偏っていくミネラルバランスなど、隔離された水槽環境では何かしら蓄積しバランスが崩れていきます。

 その目安として使えるのが、硝酸塩濃度なんですね。

 ちなみに、我が家のレッドビーシュリンプに適した硝酸塩濃度は以下です。

 基準としてだいたい20mg/l未満を維持するように、様子を見ながら水換えしています。

 硝酸塩濃度が上昇してきたら、水換えして汚れを排出してあげましょう。

TDSメーターでも汚れ具合が見れます

 TDSメーターでも同様に、汚れ具合が確認できます。

 TDSメーターは水に溶け込む成分(不純物)の濃度が分かる機器ですね。

TDSメーターでシュリンプ水槽の汚れ具合を調べる

 TDSメーターの場合はまず、加えるバケツの換え水数値を計測します。
 新しい換え水が一番クリーンなので、その数値が基準となります。

 次に水槽の飼育水を計測することで、先の基準(換え水)と比べてどのくらい汚れ成分が増えているか具体的に分かります。

 ただしTDSメーターの場合、加える水の数値は各家庭の水道水や添加剤の有無で大きく変わるので、決まった数値は存在しません。
 ご自分でエビの調子を観察しながら数値を記録していき、自分だけの基準値を作っていくことになります。

 その点では硝酸塩濃度の方が、初めのうちは使いやすいかもしれません。

 ちなみに最近の私の水槽では100ppm未満だと調子が良く、120ppmを超えてくると不調な個体が現れ出しますね。
 もちろんこの数値は私の水槽限定であって、地域ごとに水道水から数値は変わりますし、ミネラル添加剤を多くれる方はもっと高い数値になるでしょうし、皆さんにとって全然意味がない私だけの数値ですけども。

2腐植酸のある環境

 2つ目は、腐植酸です。

 ビーシュリンプ水槽に腐植酸は必要不可欠と言えるほど、活性を高めて繁殖を促します。

 この腐植酸とは何かというと、フミン酸とも呼ばれ、動植物の死骸などを微生物が分解して最終的に生成される高分子有機物であり、可溶性(水に溶ける性質)があります。

アマゾニアソイルの腐植酸

 例えばビー飼育に人気のADAアマゾニアソイルのように栄養豊富なソイルには、腐植酸がたくさん含まれています。
「ソイルがなくても繁殖した!」なんて情報があるかもしれませんが、ソイルを外部フィルターに入れてpHを整えたり、ピートモスやヤシャブシの実、マジックリーフなんかも腐植酸を放出します。

 腐植酸は水に溶けて漂いますから。

外掛けフィルターにピートモスを投入

(外掛けフィルター内にピートモスをセット)

 で、なぜこの腐植酸がエビの繁殖に効果的か、正確な理由は分かりません(爆)
 ただ、何ヶ月にも渡ってピートモスやソイルの効果を検証してきて、圧倒的な違いが生まれるのは紛れもない事実です。

 もしかしたら腐植酸はエビの好物である微生物の繁殖を促しますから、抱卵に適した飽食期を察知するキッカケになるのかもしれません。

 ビーシュリンプ飼育においてよく“ソイルの栄養が切れる”なんて言いますが、これも腐植酸の枯渇とシンクロしていて、明らかに活性が落ちていきます。

 そしてソイル栄養が切れた水槽のフィルターにピートモスを入れると、再び繁殖行動が見られるようになるんですね。

 これは足しソイルでもそうですし、外部フィルターに新しいソイルをただ入れるだけでも同様に効果があります。

 腐植酸についてより詳しくは以下のページもご覧ください。



 硝酸塩濃度に問題がなく、エビ達のツマツマ具合もそこまで悪くないのに繁殖が進まない時は、腐植酸を疑ってみましょう。

3それでも上手くいかない時は水道水を疑え

ビーシュリンプ飼育が上手くいかない時は水道水を疑え

 最後の3つ目は、水換えの水道水です。

 水換えや足し水に水道水を使っている場合、水道水でダメージを受けているかもしれません。
 もちろん塩素中和(カルキ抜き)して水温を合わした上でも、です。

 この水道水使用には賛否両論ありますが、それもそのはずで、地域やお宅によって問題なく使えてしまう場合があるんですね。

「水道水で水換えしても全く問題ない」と言う方に、水道水で換える度にビーシュリンプの調子が悪化する人の気持ちは分かるはずがありません。その人は確かに家の水道で問題なく飼育してるわけですから。

 なぜこういうことが起こるのか、詳細に話すと膨大になるのでこれまた簡潔に説明しますが、地域によって汲み上げる水道原水は変わり、水質や混ざる成分が違うこと、そして、宅内配管の違いも大きく影響しています。

 古いお宅になるとサビた鉄管(鋼管)を使ってることも多いですし、最近は減っていますが集合住宅の給水タンクや貯水槽があると再消毒を行なっていることも多いです。

 また採用する原水によって、人間に害のない微量な範囲で農薬が検出される水道水も結構あります。
 茹でた食用ほうれん草をビーに与える際、付着農薬に注意しますけど、人間に問題がないとされる農薬量でもビーシュリンプにとっては生死に関わるわけですね。

 そんな我が家も、やはり水道水だけでは管理することができませんでした。

 水槽の6分の1程度の水換えが限界で、それ以上はビー達の動きが鈍くなり、餌の食い付きも格段に悪くなります。
 それなら6分の1水換えを定期的に続ければと思うんですが、継続して行うと今度は6分の1以下の水換えであっても悪化し始めるんですね。

ストレスにならないように点滴法でゆっくり水換え

(ストレスにならないよう点滴法でゆっくり水換えでも駄目)

 ちなみに、塩素中和剤を自然由来ものや重金属無害化など5商品使い比べても、結果は変わりませんでした。

RO水(逆浸透膜ろ過水)使用で全て解決

 我が家では、RO水を使うことで全ての物事がスムーズに運び始めました。

 初めてRO水を使った時のことをハッキリ覚えていますが、水換え後はどの個体も手足の動きが機敏になり食欲も旺盛に、ありありと活性化したんですね。
 水道水のみとの差は、歴然でした。

RO水でレッドビーシュリンプが活性化する

 もし水換えで調子が上がらないという方は、一度RO水を使ってみるのがオススメです。
 高価な濾過装置を購入しなくてもRO水を試すことが出来ます。詳しくはこちらもご覧ください。



RO水にはミネラル添加剤が必須

 RO水は各種ミネラル類も濾過・除去されてしまい、かなり純水に近づくため、ミネラル添加剤が必須です。

 私はアクアテック「ミネリッチ・アクアーレ」を愛用しています。

 換え水1ℓに対してミネリッチを0.5mlを上限に添加します。

 ただしこれはRO水を使った場合であって、大抵の水道水にもそこそこミネラルが含まれているので、水道水だけで済む場合は無添加でも繁殖可能でしょう。

 ミネラル添加剤の使用法について詳しくは、上記「ビーシュリンプ水槽に簡易RO水で水換え方法」ページに紹介しています。

ビーシュリンプが繁殖する環境づくりまとめ

ビーシュリンプが繁殖する環境づくりまとめ

(ソイルに潜って微生物をツマツマする逞しい稚エビ)

 ということで、ビーシュリンプが繁殖する環境づくりのポイントとして、

これら3つを紹介しました。

 それぞれ私がビーシュリンプ飼育で特にターニングポイントとなった点です。

 硝酸塩濃度は、熱帯魚やヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビと比べてもかなりクリーンな環境ですし、腐植酸がここまで繁殖に影響する事象も初めてでした。

 そして水道水に関しては、“使えるだろう”という思い込みから抜け出すのに時間が掛かり、あれやこれやと試行錯誤を繰り返しました。
 多少であれば嫌がらないという辺り、ビーシュリンプが反応している有害成分もそこまで多くは無いんでしょう。

 とにかくRO水を使う事で、全てのピースがぴったり揃ったかのように水槽が安定し始めました。

繁殖をコントロールする

ビーシュリンプの繁殖をコントロールする

 繁殖する環境が分かってくると、少しずつ繁殖をコントロールできるようになってきます。

 正直なところ、爆殖しないように水槽サイズに適した数の範囲で長期的に維持したいのですけども、これが腐植酸の供給を抑えて調節することで、思った以上に抱卵個体数を加減しつつ健康を維持することも出来るんですね。

 と、まだまだ検証したいことはたくさんあるんですが、今回はここまで。
 あなたのビーシュリンプ飼育に少しでも参考になれば、幸いです。

 

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