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水草マクランドラの育て方マニュアル。

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ロタラ・マクランドラの失敗しない育て方

ロタラ・マクランドラ(レッドリーフバコパ)の失敗しない育て方

 水中の薔薇の花とも言われ、赤い水草の代表格と言っても過言ではない程の高い人気を誇るロタラ・マクランドラ(別名レッドリーフバコパ)

 世界中のアクアリストを魅了してやまないマクランドラについて、硬度やpHなど水質の違いから各栄養素の加減など、多様な環境で1年以上育成した経験を元に、育て方のコツをご紹介します。

 このページではいろんな表情のマクランドラを掲載していますが、すべて私の水槽の写真です。

 これから育ててみようという方はもちろん、「美しく育てられない!」「何度も溶けて失敗する…」という方の参考になれば嬉しいです。

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ロタラ・マクランドラってどんな水草?

 ロタラ・マクランドラの学名は「Rotala macrandra」と名前そのまま、ミソハギ科キカシグサ属の水草です。

 別名「レッドリーフバコパ」。

 水草経験の長い方には、こちらの名前の方がしっくりくるかもしれません。
 ただし、バコパ種ではありません。

 マクランドラの歴史は日本のアクアリウムにおいても古く、まだソイルが主流となる前から流通していました。

 大磯砂がメジャーであった当時は、弱酸性水質を作り維持することに技術や設備が必要だったこともあり、マクランドラは難易度が高い種とされていました。

“マクランドラは1年以上経過して小慣れた底床が育てやすい”なんて、聞いたことがあるかもしれません。
 これはソイルが一般的になる前の時代、砂利底床で育てる際の重要なポイントであったと思います。

 現代はソイルを使うことで、格段に育てやすい水草になっています。
 それでもソイルの効果が切れたり栄養バランスが悪くなると途端にイジけやすくなる点で、未だに“気難しい種”と言われることがあります。

ロタラ・マクランドラにおすすめの水質・基本環境

 ロタラ・マクランドラにおすすめの水質・基本環境は以下です。

pHとGHの加減

 pHは、弱酸性がやはり育てやすいです。

 ただし、多少の弱アルカリでも育たない事はありません。その場合、CO2添加の必要度は増します。

 KH(炭酸塩硬度)はあまり気にしなくても大丈夫ですが、GH硬度に関しては高すぎずそれでいて適度に有る水質(3〜4°dH程度)が、美しく育つコツの一つです。
 硬度が高くなるにつれて、葉の質感がゴツゴツと硬い印象になります。

ロタラ・マクランドラ砂利底床の水質環境

(こちらはpH6.9、GH3、KH1、CO2添加ありの砂利底床)

 水道水GH自体が3〜4°dH以上の硬度高めの地域にお住まいの方は、水換えを抑えた管理の方がイジけにくいでしょう。
 その場合はもちろん、熱帯魚数も抑えて水の汚れる具合が緩くなるよう水槽環境を調整します。

CO2添加は有りが基本

 美しさや育てやすさを考えると、CO2添加した方が断然良いです。

 とはいえ高濃度に必要というわけではなく、小型水槽なら発酵式CO2でもしっかり育ちますし、60cm規格水槽であっても3秒1滴程度でも大丈夫です。

 また、マクランドラはCO2添加しなければ枯れてしまうということでもありません。

 ただしCO2無添加で育てる時は、強光になり過ぎないよう適度な照明を使用し、pH6以下など低pHに調整したり、窒素分やリン酸塩を豊富に含むソイルを使う等、育つ条件は限定的になります。

CO2無添加のロタラ・マクランドラの水質環境

 こちらはpH5.4、GH3、KHはほとんど0、常時エアレーションしている水槽のマクランドラ。

 こんな環境で挿し戻しつつ長期維持してますが、光量も抑えてるため、ほぼ赤くなることはありません。

水温は一般的な範囲でOK

 水温は、一般的に水草に適した23°〜26°の範囲で問題ありません。

増やし方は挿し戻しとピンチカット脇芽

 増やし方は、ピンチカットと挿し戻しです。

ピンチカットしたロタラ・マクランドラの脇芽

(カットした節から新芽)

 差し戻した株は根付きやすいですが、カットした株側は葉(節)を残さず根元で切ってしまうと、脇芽が出ないことがよくあります。

 2〜3節以上は残してあげると断然、脇芽が出やすいです。

育つための光量はそこまで必要じゃない

ロタラ・マクランドラが育つために必要な光量

(こちらは45cm規格水槽にGEXクリアLED PG1灯で育成)

 マクランドラが育つための光量としては、そこまで必要ではありません。

 ここに掲載している写真はどれも、コトブキ工芸フラットLEDGEXクリアLEDパワー3GEXクリアLED PGなどを規格水槽に1灯のみ使用程度の光量です。高光量タイプ照明ではなく、適度な明るさの照明です。

「もっと真っ赤に紅葉させたい!」ということであれば、光量を増やすと良いでしょう。

水草ロタラ・マクランドラの赤く美しい発色を作る

 ちなみにこの写真の赤い発色は、上記のクリアLED PG単灯で色付いたものです。水面に近づいてきて、赤味が増しています。

 赤い水草を綺麗に色付けるには、こちらもご覧ください。



光量を増やす注意点

 光量を増やすことでマクランドラの赤味を強くしやすいですが、注意点もあります。

 強光にするほど、必要なCO2や各種栄養素の加減も変わってきます。そして、コケも発生しやすくなります。

 そのため、栄養を枯渇気味にしてコケを抑える環境を過剰にしがちです。

 つまり強力な光ほど、苦しそうに飢えた容姿になりやすく、それでいて逆に赤味が上手く出ないなんて状況に陥ったりもしますから、明るさの加減に注意しましょう。

 照明選びについては、こちらのページもおすすめです。



 ちなみにこのページの写真は皆そうですが、私の管理する水槽はすべて12時間点灯しています。

ロタラ・マクランドラの肥料と栄養調整

 ロタラ・マクランドラを育てる上で、各種栄養素を確実に吸収させる事がとても大切です。
 そのため肥料による栄養調整が、長期育成には特に重要なポイントになってきます。

充分な窒素・リン栄養で可憐に美しくなる

ロタラ・マクランドラの肥料と栄養調整

 マクランドラは、水草の必須栄養の中でもリン酸塩窒素分(アンモニアや硝酸塩)を充分に吸収させることで、透明感のある柔らかい葉の、なんとも可憐な美しい容姿になります。

 ただこの窒素・リン栄養はコケの繁殖にも直結しますから、それら栄養素を過度に抑えて光量とCO2(二酸化炭素)を強化した環境、つまり光合成による栄養重視で育てようとすると、イジけやすさは増します。

 窒素・リンも含め各種栄養素を適切に吸収したマクランドラは、他の水草と比べても高硬度(カルシウムやマグネシウム増)による拮抗も出づらく強靭です。

 窒素分とリン酸塩をちゃんと吸収させつつ、それに合わせて光量とCO2を調整することが、マクランドラを繊細に美しく育てるポイントと思います。
 これは、どんな水草にも少なからず言えることでしょう。

 先に書いた“光量を増やす注意点”に繋がりますが、光量を上げたらこの窒素リン栄養を減らす照明点灯時間を減らすかの調整が必要になります。
 コケの繁殖を加速させてしまいますから。

 そのために、光量の加減がマクランドラの可憐さのポイントになるんですね。

葉の大きさは窒素分の影響大

 葉の大きさは窒素分、硝酸塩や特にアンモニウム(アンモニア)の影響が大きいです。

 窒素分が少ないと細長い葉になり、アンモニア態窒素肥料を施肥したり熱帯魚数が多い水槽では、幅広の葉になります。

窒素分で大きいロタラ・マクランドラの葉

(大きめの葉長を実測、3,5cm程度でした)

 もちろんこれは、成長できる最低限の光量とCO2に加えて、必須栄養素がバランス良く吸収できる環境であることが前提です。

 ちなみに上記の葉サイズは、45cmワイド水槽にGEXクリアLED PGを1灯の明るさです。
 葉の大きさに、高光量は必要ありません。

カルシウム(硬度)の加減でも硬さが変わる

低硬度に調整したロタラ・マクランドラの透けた葉

 こちらは、窒素リンを吸収させつつGH2と軟水の、マクランドラの透けた葉。

 漂うカルシウム分を減らすことで危うい透け感が出ますが、根は溶けやすくなり、少し維持が難しくなります。

 軟水過ぎると難しくなるのは、カルシウム栄養の加減ですね。

GH4の少し硬さが増したマクランドラの容姿

こちらはGH4、pH6.4、少し硬さが増して質感のしっかりとしたマクランドラの容姿。

 こういった点で、GH3〜4°dH程度がおすすめです。

微量元素も忘れずに

 微量元素も、植物の成長に絶対必要です。マクランドラにも忘れずに与えましょう。

 一口に微量元素と言っても、マグネシウム、ホウ素、鉄分、亜鉛、マンガン、モリブデン、銅など種類は豊富です。それらをすべて配合した肥料である必要があります。

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マクランドラにおすすめの施肥方法

 マクランドラの栄養について少しマニアックに解説しましたが、難しいことはありません。

 おすすめの施肥方法は、窒素リンを含有する総合固形肥料を、根元周りに少し埋める方法です。

 育ててみると分かりますが、頂芽のイジけたマクランドラ株であっても根はしっかり成長していて、長く伸ばした根で盛んに栄養吸収しています。
 栄養の枯渇した株が、固形肥料を埋めて数日ほどで目に見えて息を吹き返し始めます。

 アマゾニアや水草一番サンドなど栄養豊富なソイルの初期であれば、窒素リンはもちろん微量元素も充分ソイルに含まれているので固形肥料は不要ですが、栄養が枯渇してきたソイルや砂利系底床には初めから、窒素リン含む固形肥料を少しずつ埋めてあげると、失敗なく育ってくれます。

肥料の注意点

 肥料の注意点として、株の真下の根に当たるような浅い埋め方をすると、栄養が強過ぎて逆に頂芽がイジけてしまう場合があります。

 株の真下に触れないように、数センチほど離して埋めてあげましょう。

 密に茂った場所の場合は、気持ち底床深くに埋めてあげます。

 私の愛用する窒素リン固形肥料は、以下の定番商品です。

カミハタ睡蓮・水生植物用スティック肥料

 カミハタ睡蓮用スティックは、私が一番愛用する窒素リン固形肥料です。

 窒素・リン酸・カリウムの3大栄養素と、鉄分やマンガン、モリブデン、ホウ素など各種微量元素をバランスよく配合しています。

 入れ過ぎないように量を調整する場合は、スティック棒をハサミでカットして使います。
 小型水槽にも使いやすいです。

 熱帯魚が充分に泳ぐ水槽であっても、マクランドラだけ根元周りにこのカット粒をほんの少し入れてあげると、他の水草とバランスが取れる事はよくあります。

カミハタOKOSHIおこし

 カミハタおこしは一塊が大きめで睡蓮用スティックよりも窒素分の溶出が多いので、熱帯魚数が少ない水槽、水草の多い水槽、大きい水槽向けにおすすめです。
 含有する栄養素の種類は、睡蓮用スティックと変わりません。

 総水量30リットル程度までの水槽なら一つ入れるだけで、貧栄養だった水槽全体の環境がグンと改善されるくらい初期溶出があります。そして数ヶ月、効果は持続します。

ロタラ・マクランドラの育て方まとめ

ロタラ・マクランドラの育て方まとめ

 ロタラ・マクランドラの育て方について、環境の違いによる容姿の変化や肥料のポイント、柔らかく可憐な葉姿を作るコツなどご紹介しました。

 ちなみに上の写真のマクランドラも、根元近くに睡蓮用スティックの8分の1カット粒を埋めてあります。

 保肥能力のない砂利系底床だと窒素リン栄養の加減が難しいですけども、固形肥料ならピンポイントで微調整できるので便利ですね。

 水草マクランドラは人気種のため、売り切れ状態が長く続きますから、運良く在庫有りならすぐ注文がおすすめです^^

 あなたの美しいマクランドラを育てる参考になれば幸いです。

 

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