青水?アオコ?グリーンウォーター?水槽が緑色に濁る原因と対処法!
アクアリウムでは、水槽が徐々に緑色に濁ることがあります。
これは「青水(あおみず)」とか「アオコ」とか「グリーンウォーター」なんて呼ばれています。
あえて青水を作ったのなら良いですけど、したくないのになってしまったとしたら、見た目も視界も悪いし、元の透明で綺麗な状態に戻したいところです。
でもこの濁り、状況によっては簡単に改善とはいかないんです、これが。
で、たまたま私の水槽の一つが青水化し始めたついでに、その水槽を使って濁りの原因と対処法について、検証確認した内容も兼ねてご紹介しようと思います。
ちなみに上の写真はただ白濁してるようにも見えますが、バケツに飼育水を抜くと、緑がかってるのがよく分かります。
悪化すると、どんどん濃い緑色に変わっていきます。
実は、“白濁り”と思ってるものが薄い青水という事もよくあります。そんなことも書いています。
スポンサーリンク
青水とアオコとグリーンウォーターの違い
原因と対処の前にまず知っておきたいのが、「青水」と「アオコ」と「グリーンウォーター」の違いについてです。
アクアリウムではこの3つの呼び名を同じように使うことも多いですが、本来はちょっとずつ意味が違います。
青水
「青水」は、金魚やメダカの育成にも使われる緑色の濁りで、好気性の植物プランクトンが多量に発生したもの。
アクアリウムで発生する多くは、この青水です。
ニオイはキツくなく、草のような青臭いニオイがします。
アオコ(青粉)
「アオコ(青粉)」は生態学や生物学において、主に微細な藍藻類(ランソウ)が多量に発生したものを指します。
水槽で本当にこのアオコが大発生する状況は少ないですが、枯れた水草や崩れた古いソイル、糞などが大量に堆積した状態を長期的に放置しておくと発生する場合もあります。
もしアオコであれば悪臭を放ち、見た目はもう“魔女の毒鍋”のように、見るに耐えない状態です。
緑というより、藍藻の青緑色が強く出ます。
ドブ臭いニオイ、硫黄温泉のようなニオイがします。
グリーンウォーター
英語圏では青水のことをグリーンウォーターと言いますが、視覚的な意味合いが強く、アオコも青水も含めてグリーンウォーターと使うことが多いです。
で、青水やアオコの正体は?
ということで青水やアオコの正体は、植物プランクトンが多量に発生した状態です。
で、青水の場合は、好気性の浮遊性緑藻類がたくさん発生したもの。
アオコの場合は、浮遊性藍藻類が主に発生したもの。
どちらも植物プランクトンですが、熱帯魚やエビにとって格段に有害なのは藍藻のアオコの方です。
有毒な硫化水素を発生させますから。
植物プランクトンはいつも居る
ちなみに青水の原因となる植物プランクトンは、立ち上げをしっかり行った水槽には必ず居ます。
みなさんご存知の茶ゴケや緑ゴケだって、種類は違いますが同じ微細藻類の植物プランクトンですね。
ただ、環境が安定していれば大量に増殖しないだけです。
白濁も青水かもしれない
「水槽が白濁した!」という状況が、実は薄い青水ということはよくあります。
初期の青水も白っぽく見える事が多いんです。
一口に植物プランクトンといっても種類は豊富で、色も様々。
例えば茶ゴケの仲間の植物プランクトン(浮遊性珪藻類)が多くなると、黄緑色や黄色に近い水になります。
ただし、植物プランクトン密度が高くなってくると、緑色の葉緑素を持った種類(浮遊性緑藻類)が増えるので、徐々に緑色が強くなっていきます。
白濁にもいくつか種類がありますが、この青水と同じく植物プランクトンの過剰繁殖が原因かもしれないこと、覚えておいてください。
これらを踏まえた上で、ここからは好気性の緑藻類が大量発生した青水を中心にお話しします。
青水が発生する原因
青水、つまり緑藻類の植物プランクトンが大量に発生する主な原因は、富栄養と強い光です。
- 富栄養な水
- 強い光
そして助長作用として、動物プランクトンが少ないこと、濾過フィルターが弱いこと、水温高めが続くこと、です。
- 動物プランクトンが少ない
- 濾過フィルターが弱い
- 水温高めが続く
これらが複数同時に起こると、青水化が加速します。
それぞれに解説していきます。
富栄養は青水の主原因
青水の一番の原因となるのは、富栄養な環境です。
植物が活発に成長する上で栄養塩は欠かせません。これは植物プランクトンだって同じです。
また、必須栄養素の中でも特に、窒素分とリン酸塩が増えると起こりやすくなります。
例えば、過密飼育で魚の排泄物が溜まりやすい環境や、窒素とリン酸を含む肥料を一度にたくさん入れてしまった時、毎日餌をやり過ぎる等は、青水が発生しやすいです。
金魚水槽では自然と青水化することがよくあるのですが、金魚は大食漢で体格の割にアンモニアの排泄量が多いんですね。
だから魚数が少なくても過密飼育になりやすいんです。
そして排泄するアンモニア態窒素は、植物プランクトンの大好物です。
強い光・明るい光が青水を促進
ただ明るい光だけでは青水になりませんが、その水に栄養塩があると一気に青水化します。
特に直射日光のような強い光は、一般的なLED照明とは比較にならないほどの明るさですから、日光の差し込む水槽は青水になりやすいです。
魚が泳いでいる水槽なら、そこにはもう栄養素がありますから。
ちなみに、水道水を張ったタライを屋外に何日も放置しておくと少しずつ青水化しますが、これは水道水と日光だけで出来るわけではありません。
外部から水に、徐々に栄養が入って来るからです。
枯葉や砂埃が風に飛ばされて入ったり、落ちた虫の死骸、野良猫が舐めたり足を入れただけでも栄養が溶け込みますね。
照明時間が過剰に長いことも問題
水槽照明を24時間付けっ放し等、照明時間が過剰に長いことも問題です。
魚にしろ水草にしろ、明るい時間と暗い時間がリズムよく訪れる環境で、健康が保てます。
特に水草がたくさん育つ水槽では、水草の調子が落ちることで一気に富栄養化しやすくなります。
水草が調子を崩すと栄養吸収が落ちるだけでなく、さらに草体自体が保持する栄養まで溶出し始めるんですね。
とは言え1日12時間以内の範囲であれば、照明時間を問題視する前に、富栄養具合や過密飼育かどうかを検討しましょう。
もし高光量照明を複数台使用するなど、過剰な照明設備だと話は変わってきますが。
動物プランクトンが少ないこと
しっかりと立ち上げを行った水槽には、必ず動物プランクトンが発生します。
この動物プランクトンは、青水の原因である植物プランクトンを捕食し、減らしてくれます。
動物プランクトンと植物プランクトンのパワーバランスは、青水に大きく関係しています。
動物プランクトンは底床材もしくは濾過フィルターを中心に繁殖しますが、例えば過密水槽において濾過フィルターや底床材を過剰に掃除すると、突然青水化することがあります。
動物プランクトンが弱まり、豊富な排泄物栄養による植物プランクトンの増加に、動物プランクトンが追いつかなくなるんですね。
濾過フィルターが弱いこと
飼育する魚数に対して濾過フィルターが弱いと、青水になりやすいです。
魚が排泄するアンモニアが生物濾過(バクテリア濾過)で間に合わず浮遊すると、植物プランクトンが勢いづきます。
そのため、水槽(生体数)に対して濾過フィルターが小さく貧弱だったり、底床材が入っていないベアタンク水槽では、動物プランクトンが増えにくく、青水化しやすくなります。
水槽水温高めも青水を助長する
水槽水温高めが続くと、青水化しやすくなります。
植物プランクトンの中でも青水の元になる緑藻類は、25度〜29度で高活性となる種が多く、また高水温になると溶存酸素量が減少して、動物プランクトンの活性が落ちやすくなります。
「グリーンウォーターになってしまった!」というのは夏場によく聞きますが、暑さによる水温上昇や、日光が当たって水温が高くなることも、青水化を助長する一つの要因と言えます。
ただこの水温高めは、酸欠で動物プランクトンが弱まることと相乗効果で問題となりますから、エアーレーションや水面をよく揺らした水槽(曝気)では原因になりにくいです。
曝気させないようにCO2添加を行う水草水槽では、影響が大きくなります。
栄養系ソイル初期も注意が必要
栄養系ソイルを使った水草水槽でも、以下の状況が複数重なると青水化しやすくなります。
- 豊富なソイル栄養に対して水草量が少ない
- 濾過フィルターが弱い
- 魚の数が多い
- 初期水換え頻度が少ない
ちなみに今回私の水槽が青水になったのも、これです(汗)
(青水化直前の水槽状況)
生体数は問題ありませんが、水草が予測より増やせず栄養豊富なソイルの栄養が余ってしまったこと、初期水換え頻度が少なかったこと、窒素栄養(尿素液)を入れ過ぎたこと、CO2添加で曝気してないこと、そして最後にちょっと貧弱な外掛けフィルターと底床環境の悪化で動物プランクトンを減らしたことが、決め手になったと思います。
もう、成るべくして成った感じですね。。
とはいえせっかく青水になったので、転んでもタダでは起きない精神で具体的に青水検証してみました。
ちなみに青水は問題あり?なし?
ちなみに、青水になるとどんな問題があるのでしょうか?
青水の問題点、そして問題無いどころか逆に好都合な状況もあります。
(※藍藻が主体の“アオコ”に関してはデメリットしかありませんから、早急に対処が必要です)
青水が問題になる環境
見た目(視界)が悪い
(今回の青水の濁りピーク時)
青水になると透明度が低下して、鑑賞する上で見た目(視界)が悪くなります。
誰もが最も気になる点ですね。
pHが高くなる
青水になると必ずpHが上昇します。
(写真はpH7.6程度、青水発生前の飼育水はpH6.2程)
飼育水に溶け込む溶存CO2(二酸化炭素)や硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等、pHを下げてくれる成分を植物プランクトンがどんどん消費して増殖するので、発生前と比べると格段にpHが上昇してしまいます。
そのため、弱酸性pHを好む熱帯魚や多くの水草にとって、青水は環境を大きく崩す原因として嫌われます。
青水で都合が良い環境
好気性の植物プランクトンは稚魚の餌として最適で、メダカや金魚の飼育において青水は快適な環境になります。
pHが上昇しても、弱アルカリ性に適したメダカや金魚には逆に好都合です。
さらに青水は保温効果があると言われ、プランクトンが餌にもなることから、屋外で越冬させる金魚やメダカに最高の環境です。
低水温下の魚は人工餌では消化不良を起こしやすく、また食欲も低下するため食べ残しで水を汚しますから、餌やりを控えます。
青水は、越冬や冬眠する魚にとても都合が良いんですね。
青水を改善する手段
青水を改善する手段についてです。
一般的に言われる方法は、以下の4つでしょう。
- アオコ除去剤
- 水槽を完全遮光
- 水換え
- 殺菌灯(紫外線照射)
それぞれに解説していきます。
アオコ除去剤
アオコ除去剤には、いくつかの種類があります。
凝集剤
凝集剤は、青水やアオコの原因である植物プランクトンを凝集して、フィルターで濾し取る方法です。
微細な植物プランクトンは通常、細目フィルターに引っ掛かることなく流れてしまいますが、凝集剤で植物プランクトンを大きな粒にして、フィルターで除去します。
殺藻剤
殺藻剤(除藻剤)は、植物プランクトンを死滅させます。
魚には無害な成分とされ、各種コケも減らします。
ただし水草も枯れさせます。つまり植物を枯れさせる薬品です。水草のない水槽限定。
環境への影響がゼロとは言えませんが、目に見えて効果が出ます。
光触媒活性炭
酸化チタンの光触媒作用と活性炭の吸着力で、栄養塩を酸化還元して減らし、濁りを吸着させる商品。
ただしこれは、紫外線が当たる場所でないと光触媒が働きません。つまり屋外飼育の使用がメインです。
水槽を完全遮光
水槽を完全遮光することで、植物プランクトンの成長に必要な光を遮り、光合成をさせないようにします。
他の植物と同じく植物プランクトンも、やはり光が無くては生きていけません。
水換え
水槽の水換えを行い、富栄養を抑えて植物プランクトンの増殖を止め、さらに排水と一緒に過剰な植物プランクトンを排出します。
水換えは原始的で最も分かりやすい方法です。
殺菌灯(紫外線照射)
殺菌灯で紫外線を照射して、植物プランクトンを死滅させます。
ただし殺菌灯の光は魚やエビにも害があるので、一般的に外部フィルター配管に専用器具を接続するタイプ、水槽内に沈める水中モータータイプなど、器具内部で循環する飼育水にのみ殺菌灯を当てて植物プランクトンを減らしていきます。
殺菌灯は、どんな濃密な青水でも高い威力を発揮します。
それぞれに理屈があり、青水を完全に解消できるかどうかは別として、どれも一定の効果があります。
これだけ手段があると迷ってしまいますが、一つポイントとしたいのが、環境を改善しつつ青水を解消するかどうかです。
環境を改善しているのは、「光触媒活性炭」と「水換え」でしょう。
それ以外は環境云々に関係なく、とにかく直接植物プランクトンを除去しようとする方法です。
今回は室内水槽メインに書いていますので、環境を改善しつつ青水を除去するのは、水換えですね。
ちなみに水換え以外を言い換えると、効果はあるけど弱いもの、環境を悪くする危険があるもの、予算(お金)が必要なもの、こんな違いがあると思います。
水換え以外の方法が駄目という事ではなく、これらを複数取り入れて青水を解消したという方もいるでしょう。
具体的な青水対処法
ここまで青水やアオコ、グリーンウォーターの違いから、発生原因、問題点、一般的な手段まで書いてきましたが、ここから具体的な青水対処法について書いていきます。
基本的にどんな水槽環境でも、過密飼育でなければ以下の項目をしっかり行うことで、徐々に青水は消えていきます。
水草の無い水槽やベアタンク水槽では、かなり早く解消すると思います。
栄養系ソイル水槽のしつこい青水でも、少し時間は掛かりますがちゃんと消えていきますから。
濾過フィルターの汚れは真っ先に掃除
濾過フィルターの詰まり汚れは、真っ先に掃除しましょう。フィルターが酷く汚れていてはスムーズに事が進みません。
ただし掃除し過ぎも逆効果なので、あまり汚れていない(流量が低下していない)場合は不要です。
直射日光や窓の明るい光を遮断
直射日光はもちろん、直射日光でなくても窓からの明るさが多大に水槽に影響する場合は、カーテンや板などで遮光しましょう。
完全に遮光は難しくても、板等で水槽の背面をしっかり遮光するだけで格段に青水化しづらくなります。
コケの発生も考慮すると、室内水槽では照明器具だけで明るさを管理するのが理想です。
餌の量を調整する
1日に複数回餌を与えている場合は、1日1回に減らして、1分程度で食べ切る量に抑えましょう。
餌の量は飼育水の汚れを最も早めるものであり、汚れ方を簡単に抑えられる部分でもあります。
可愛がっていればたくさんあげたくなるものですが、「少ないかな」と思うくらいが綺麗な水槽環境を維持しやすく、また熱帯魚を元気に長生きさせるものです。
水換え頻度を増やす
青水になるまでの水換え頻度よりも、少し回数を増やしましょう。
総水量の3分の1程度入れ換えます。
熱帯魚が疲れてしまうので、濾過フィルター掃除と同時日は行わず、翌日等にズラしてあげると生体に優しいです。
底床を掃除する
ソイルや大磯砂など底床材の入った水槽は、水換えと一緒に毎回底床掃除も行いましょう。
注意点として、一度に底床全部を隅々まで綺麗にしようとせず、3区画ほどに分けて順番に掃除したり、上辺をざっと掃除するだけの日など、底床内のバクテリア環境や動物プランクトンを考慮して、小分けに行います。
一気に掃除してしまうと、逆に動物プランクトンが減少して濁りが悪化することもあります。
また底床掃除と合わせた水換えは、水換えのみより水質に影響するので、多くても3〜4日間隔を空けましょう。それ以上頻繁に行うと魚が疲れてしまい、病気が出やすくなりますから。
エアーレーションや曝気を行う
エアーレーションやフィルター流水で水面を揺らす曝気を行いましょう。
もし水草水槽であっても、対策期間中は24時間曝気し続けましょう。もちろんCO2や肥料の添加はストップします。
青水になる水槽は曝気してない事が多いですが、動物プランクトンを活性化させる酸素供給として、曝気はかなり効果が高いです。
上記の対策をしっかり行って2週間も経てば、青水は弱まり、まず改善の兆しが見えるはずです。
それでも一向に改善しない場合、残るは過密飼育の問題です。
そうなるともう、水槽を大きくして水量を増やすか、別の水槽に魚を分けて飼育数を減らすしかありません。
正直なところ、ベアタンクで青水化するのはほぼ過密か水換え不足です。もちろん日光の影響がない状態で。
金魚飼育における青水の利点には、金魚が排泄するアンモニアを植物プランクトンが消費してくれる点も大きいでしょう。
排泄物で硝酸値がぐんぐん上がった飼育水が、金魚の健康に良いわけありませんから。
金魚のアンモニア量を考えたら、金魚水槽は熱帯魚の飼育数基準と比べても過密な状況が多いです。魚数は少ないんですけども。
例えば熱帯魚なら体長1cmにつき1リットルを基準にしますが、金魚の場合は1cmにつき3〜4リットル見た方が良いって言われます。30cm規格水槽なら、5cmクラスの金魚1匹。
安易な情報を信じてたくさん入れてしまうと、後で大変ですね。
ちなみに、大型魚1匹を窮屈な水槽で飼育するのも、過密と同じ。
大型魚ベアタンクで最終的にUV殺菌灯対処する事が多いのは、それ以上水槽を大きくできない家庭事情もあるでしょう。
[PR]
ゼンスイ UVバズーカ(UV殺菌灯)120cm水槽まで対応 紫外線灯 沖縄別途送料 関東当日便
私が行った青水検証について後記
青水について伝えたいことを書いてきましたが、せっかくなので私が行った青水検証についてもご紹介します。
青水化した45cm水槽は、栄養豊富なソイル「GEX水草一番サンド」を8kg入れて、立ち上げから4ヶ月経った頃に始まりました。
(濁り始めた初期青水)
生体数は5cmクラス(幼コンゴテトラとネオンドワーフレインボー)が6匹に8cm程のサイアミーズが1匹、あとヤマトヌマエビ数匹と、水量に対してまだ余裕があります。もちろん餌量も1日1回適量。
これまでにも経験はあるので分かるんですよね。少し白濁した感じになって、「あ〜、これ来たな」って。
栄養系ソイルは青水が消えづらい
栄養系ソイルは一度青水になってしまうと消えづらいです、ベアタンクや大磯砂底床なんかに比べて。もちろん過密じゃない前提ですけども。
どちらも経験がある方は、よく分かるはず。
そりゃそうですね、次から次へとソイルから栄養が出てくるんですから。
ただ、濾過バクテリアや動物プランクトンがちゃんと繁殖していれば、そんな簡単には青水になりません。栄養豊富なソイルで青水化する時は大抵、底床環境が悪くなっています。
底床内に藍藻が少し発生してる場合が多い。
(ソイル内部の緑掛かった藍藻の影)
いや、飼育水自体は雑草を揉んだような青臭い匂いで、温泉卵に似た臭気はありません。
でもガラス際のソイルが少し緑掛かってたりして、その辺りをスポイトで吸って嗅ぐと、やっぱり硫黄温泉のニオイなんです。
で、こんな時ソイルを少し攪拌すると、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは狂ったように泳ぎ出します。
こんな底床環境で起こる青水化は、藍藻が出す有毒な硫化水素でバクテリア環境が大きく崩れて、動物プランクトンの住処が減り、植物プランクトンが優勢になっちゃうからでしょう。
栄養豊富なソイルなら本来、動物プランクトンが喜んで増えるはずです。なのに藍藻が出てしまう原因は、ソイルの目詰まりや通水性の低下でソイル内が酸欠、さらにソイルの豊潤な栄養があるからですね。
なので底床掃除を行って底床環境を改善することが、栄養系ソイルでの青水解消にキーポイントなんです。
ですが今回はまず、一般的に選択されそうな手段でどのくらい効果があるのか、検証していきました。
アオコ凝集剤を数回実施
底床掃除の前に、アオコ凝集剤を数回実施しました。植物プランクトンを凝集して細目フィルターで濾し取る方法です。
やってみると、確かに添加して10分ほどで少し透明度は上がるんですね。
そしてフィルターを見てみると緑色になっていて、少し濾過してるのも分かります。
ただ完全に透明とまでは、なりませんでした。
物理的に考えてこれ、フィルター目の細かさでも効果は変わるはずで、私のように代用スポンジじゃなく外掛け用純正フィルターの方が、透明度は上がるかもしれません。
さらに多少スポンジが汚れてる方が、バイオフィルム(ヌメヌメした汚れ)に吸着されそうです。
翌日は濁りが増す
翌日になると、また濁りが増していました。
凝集剤は植物プランクトンを死滅させるわけではないので、水槽環境には優しいですけど再発しやすいですね。
大きな原因である“富栄養”を解消しにくい栄養系ソイルだと、特に。
また、入れてすぐに魚たちを見ると、口のパクパクが激しくなりますから、エラ呼吸に少なからず影響はありそう。息苦しいみたいです。
それでも2回目は規定量より一割増し程度多く入れてみましたが、効果は1回目とそこまで違わない印象でした。
ちなみにもう少し目の細かい濾過素材と思い、2回目はタオルを切ってスポンジに挟み込んでみましたが、今度は逆に水が透過しなくなり乗り越えてオーバーフロー。。
その後水換えだけしてもう一度試してますが、青水が薄い状態でやってみても、完全に透明にさせるのは難しそうです。
代用してるスポンジは上部フィルター用細目マットをカットしたものなので、外部フィルターの細目パッドも含め、目の細かさはそこまで変わらないでしょう。
凝集剤はベアタンクに良いかも
結果として凝集剤は、栄養豊富なソイル水槽に向きません。非力さは否めない。
凝集剤を使うなら、過密飼育じゃないベアタンク水槽なんかに良いかもなんて思いました。
ちなみに私のソイル水槽、尿素液(窒素栄養)を数滴垂らしたら、数日で元の濃い青水に戻りました。(爆)
水槽の水を全部抜く!
次に、水槽の水を全部抜いてみました。
これも皆さん結構やりそうだなと。植物プランクトンを一度粗方排出してしまえば、再発しづらくはなりますから。
ただしこれは水質をかなり変えますから、生体の健康を考えたらあまりオススメできません。
今回も水質変化を考慮し、できるだけ熱帯魚に気を使って行いました。
朝から1日掛けて行う
水を抜く作業は、朝から時間を十分に取って行いました。
なぜかというと、水を入れ替えてから半日は水槽を循環させて、それから熱帯魚を戻してあげたいから。
本当は翌日まで待つくらいが良いのですけど、避難させるバケツは水量が少ないので、逆にバケツで調子を落としても本末転倒ということで。
ということでまずバケツに飼育水を満たして魚たちを避難。エアーレーション設置。
(すくい網は隠れ場所としてストレス軽減になる)
それから一気に水を抜きました。
ちなみにヤマトヌマエビたちは、検証が過酷かなと思い、違う水槽に避難させました。
底まで水を抜けば、底床内の藍藻から硫化水素も少なからず漂うでしょうから。
ソイル厚の少ない手前部分を少し掘り下げ、ソイル内の水も出来るだけ排出。
フィルターに残った水まできっちり排除しました。
足し水は可能な限り水質変化を減らすため、事前にカルキを抜き、元の水槽水温に合わせてから入れました。
入れ替えてすぐは完全に透明
当然ですが、入れ替えてすぐは完全に透明です。ここで濁ってたら話にならないですね。
そこから半日以上、フィルターを循環。
夕方、熱帯魚たちを少し水合わせして戻しました。
この時もまだ底床掃除をほぼしてませんが、これはもしかしたら青水を抑制しちゃうかもなんて、期待が高まります。
3日目から少しずつ濁り出す
全換水の翌日、翌々日は濁りも感じられず、このまま動物プランクトンがバランスを保てばと期待しましたが、全換水から3日目になって、少し濁りが出てきました。
そこから日に日に濁りは増し、1週間でピーク時の半濁ほどまで青水化。
その中間に1回3分の1水換えしてますが、まあ栄養ソイルに水換えだけでは効果も薄いです。
問題は動物プランクトンの繁殖
やはり何が問題かって、動物プランクトンの繁殖場所が少ないことです。
今回のような水草水槽では、底床ソイル環境が改善されないと“元の木阿弥”なんですよね。外掛けフィルターではあまり繁殖できませんし、何よりソイルから湧き出る栄養で、藍藻含め植物プランクトンの勢いが止まりません。
青水をダンボールで完全遮光
ダンボールで完全遮光も行っています。
ちなみに、遮光前に尿素液を垂らして、青水を回復させてから。
ただ私は基本的に完全遮光が嫌いです、何日間も水槽が見れないのは辛いので。。それでいて、完全遮光は本質的な解決にならないのですよね。
確かに遮光すれば、光合成が必須の植物プランクトンにとって大小あれど着実にダメージを与えられますけど、「なぜ青水化したのか」という点に全く言及してません。
つまり原因を潰したわけではなく、再発率も高くなる。
それでいて、何日間も水槽が見れないという。
また私の水槽にはどれももれなく水草が育ってるので、水草の成長を阻害してまで遮光する価値が見出せない。
コケ対策の遮光でもそうですが、富栄養や水草の不調からのコケを除去するために遮光しても、富栄養が収まるわけでもなく水草の調子はさらに悪化します。
その前に、環境や栄養面を整えることが大事でしょう。
おっと、興奮して長くなってしまった。。
とにかく、ぐっと堪えて完全遮光スタートしました。
遮光3日目も青水ほぼ変わらず
遮光3日目に確認しても、青水の濁り具合はほぼ変わりませんでした。
わずかに黄緑になったかなという。
この感じだと1週間以上遮光しないと、劇的な変化が見られなそうです。
一つ言えるのは、長期間遮光すれば必ず青水は無くなるということ。
光合成できないのだから、これは間違いありません。消えるまで遮光すればいい。
ただしその分だけ、水草の衰弱も激しくなります。
枯れる事だってあるだろうから、その後は水草全体がソイル栄養を消費する量も減り、また水草が保持していた栄養だって流出します。
ですから、完全遮光の後に水換えと底床環境の改善を行わないと再発生する確率は高く、また初期青水以上に状況が悪化するでしょう。
でもそれって事前に水換えと底床掃除すれば、完全遮光しなくても良いじゃん、っていう。
ということで、完全遮光は3日間で終了としました。
動物プランクトンを投入してみた
ちなみにこんな実験も試してみました。
動物プランクトンを直接投入。
他の水槽の底床を掃除して、バクテリアや動物プランクトンを汚泥ごと添加しました。
これは、目に見えて表に出てくるほど藍藻勢力も強くないし、もしかしたら動物プランクトンを強引に増やせば藍藻を弱める事もあるのかなという確認です。
結果は見事に変化なし。
汚泥量を増やせば多少は変化が見れるかもしれませんが、汚泥増やしてもそれはそれで問題かなと。
他水槽に青水を入れてみた
もう一つ、青水を足し水したら、青水化するかどうかの実験。
これは予測通り、翌日には収まって何事もなく透き通った状態を保っていました。
水槽の6分の1程度入れたらほんのり濁ったので、やってしまったかと心配しましたが、動物プランクトンが繁殖してる水槽ではパワーバランスが働きますね。
(思い付きで咄嗟に行い、写真撮り忘れました。。)
リン酸除去剤を入れてみた
リン酸除去剤をフィルターに入れてみました。
規定量より若干少ない量ということもあり、数日様子を見ましたが変化は見られず。
もっとたくさん使えば多少は影響が出るかもしれませんが、ソイルからどんどん栄養が出てくる水槽で、決定打となる効果は期待できないと思います。
最終的に青水が解消するまで
今回の青水化でいろいろ検証してみましたが、最終的に青水を解消させたのは、既に皆さんにお伝えした“具体的な青水対処法”です。
まずフィルター掃除、3〜4日ごと底床掃除しながら3分の1水換え、エアレーションや水面を揺らす曝気、必要があれば日光と餌量の対策。
内容は至ってシンプルで、これといって真新しいやり方はありません。
とはいえこの対処法は、動物プランクトンを繁殖させて環境を整える明確な理屈に沿っていますから、どんな青水でも効果的です。
ポイントは、フィルター掃除、水換え、底床掃除、曝気、日光、餌量、全てを加味すること。
特に水草水槽では、24時間曝気と底床掃除がとても大切です。
青水解消までの流れとコツ
参考までに、今回の青水解消までの具体的な流れも記します。
栄養系ソイルの底床掃除のコツもあります。
フィルター掃除から
まずはフィルター掃除からですが、今回は検証作業の段階でフィルターがかなり綺麗になっていたため、最後は手入れしてません。
藍藻の底床掃除のコツ
次に水換えと底床掃除ですが、藍藻による底床環境の悪化では、藍藻除去を意識して行います。
藍藻は初期、ガラス際の光が当たる場所から強く発生します。
光の届かない内部は、かなり悪化しないと侵食しません。
つまり水槽の内側周り360°、ガラスに接した部分をしっかりと掃除するのがコツ。
プロホース等を使って、底の方まで吸い出します。
[PR]
水作 プロホースエクストラ S 関東当日便
(私が使ってるのはSサイズ。)
もちろんソイルは出来るだけ潰さないように、ザクザク押し込むのではなく、吸いながら掘り下げていきます。
藍藻が減ることで、底床環境は格段に改善していきます。
ただし一気にやろうとせず、数回に分けて3分の1程度の水換えに抑え、魚のストレスが過剰にならないように。
ちなみにガラス周りでも、水草がたくさん根を伸ばした場所は、藍藻が出にくいはずです。
これは水草の根から酸素が供給され、嫌気化(酸欠状態)しづらいからです。
好気性バクテリア(酸素呼吸するバクテリア)や動物プランクトンも繁殖しやすい。
なので水草が密集したガラス際よりも、水草の植わっていないガラス際を重点的に掃除します。
(例えば写真の手前ガラス面や、右ガラス面の手前半分、奥ガラス面という感じ)
また水槽背面をフィルムや板で遮光していても、奥ガラス面も必ず行います。
ガラス際が明るいのは外部からの光だけでなく、照明の光がガラス内部を通って届く明るさも大きいからです。
曝気しながら3〜4日放置
水換えと底床掃除は3〜4日の間を空けて、その期間は曝気をしっかりと行うだけ。
私は水面を下げて、外掛けフィルターで水面をジャバジャバしましたが、エアレーションの方が効果は高いです。
この期間に濾過バクテリアや動物プランクトンが少しずつ活性化していきます。
なので底床環境がうまく改善されていれば、放置期間でも濁りは消えていきます。
動物プランクトンが繁殖して、植物プランクトンをどんどん捕食するからですね。
照明時間は1日12時間
照明時間は1日12時間のままでした。
メタハラや高光量照明を複数台設置してれば問題ですが、過剰設備でなければ照明はそこまで気にしなくても大丈夫です。
1日1回1分で食べ切る餌量
餌は、毎日1回1分程度で食べ切る量を与えていました。
青水解消の目安は2週間
この手順を大体2週間も行えば、かなり富栄養な水槽でも徐々に青水が改善します。底床掃除と水換えを4回くらい。
今回は底床掃除2回行った頃から、目に見えて濁りは消えていきました。
まあ事前の検証で色々手を加えてた事もあるかもしれません。
こちらは底床掃除を3回行って、数日経った状態。もう完全に青水を解消してます。
濁りが取れて、さらにバクテリア環境が密になってくると、深みのあるキラキラした飼育水に変わります。
水槽立ち上げ時のバクテリア定着と同じですね。
ソイルの状態も良くなり、底床環境が改善されています。
こんな状態になれば、CO2添加や肥料も再開して大丈夫。
水槽が緑色に濁る原因と青水対処法まとめ
水槽が緑色に濁る原因と青水対処法について、ご紹介しました。
水槽の青水化は、頻繁にあることではありません。
ただ、実際に起こってしまうと対処に悩む方は多いと思います。
そして栄養系ソイルで青水化は、理屈の通った対処をしないとスムーズに青水を解消できないばかりか、崩壊へと向かってしまうこともあります。
環境改善のヒントとなれば嬉しいです。
関連記事
⇒「藍藻発生の原因と対処の仕方を経験から」こちら
⇒「水槽サイズ別で飼える魚は何匹?その基準は?」こちら
⇒「水槽のコケ対策は環境からが基本!」こちら
⇒「水草の栄養管理や水質管理にオススメの方法」こちら
スポンサーリンク