水草水槽のボンベ式CO2添加に必要なフルセットついて
水草水槽にボンベ式CO2添加するために最低限必要な各部品を解説します。
昨今はボンベ式CO2添加に対応したフルセット商品も多く出ているので記事にするほどでもないかと思いましたが、拡張性という点にこだわったフルセットにしたいという方や、汎用の小型カートリッジ式ボンベ(5/8X18UNF)だけでなく将来的には大型ボンベ(ミドボン)に変更したい方、配線を分岐して複数水槽にCO2添加したいという方に向けて、どういったパーツが必要かをご紹介します。
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ボンベ式CO2添加システムの基本セット
ボンベ式CO2添加システムに最低限必要な基本セットは以下です。
- 高圧炭酸ガスボンベ
- CO2レギュレーター
- 電磁弁
- スピードコントローラー(スピコン)
- 逆止弁(逆流防止弁)
- CO2ディフューザー(CO2拡散器、CO2ストーン)
- 耐圧チューブ(耐圧ホース)
ちなみに電磁弁は、電源のオンオフで「出す・止める」を操作できますが、システムを使用する際はCO2添加タイミングを決まった時間でタイマー管理したいので、プログラムタイマーも必須と考えてよいでしょう。
- プログラムタイマー
このほか、無くてもCO2添加することは可能ですが、バブルカウンターを追加すると添加量の調節がしやすくなります。
- バブルカウンター
ここまでが最低限必要な基本セットです。
ちなみに「レギュレーターとスピコン」、「ディフューザーとバブルカウンターと逆止弁」など、各機能が一緒になった製品も多くあり、それらを使用すると以下のような配線となります。
一体型製品では配線がすっきりして設置が簡単になる反面、一部の故障で使えなくなり買い替えが必要な場合もあるので、修理パーツ供給の有無を確認しておくと良いでしょう。
さらに、拡張して複数の水槽にCO2添加する場合は、配線を分岐するパーツも用意します。
- 分岐パーツ
分岐する場合は各水槽の添加量をそれぞれ調整するため、水槽の数だけスピコンや逆止弁が必要になります。
もしレギュレーターがスピコン一体型の場合は、レギュレーター側スピコンを大きく開き、各水槽側スピコンで添加量を調整します。
それではここから、各パーツをより詳しく紹介していきます。
CO2レギュレーター
CO2レギュレーターは、高圧な炭酸ガスボンベに初めに取り付けるパーツで、使いやすい一定の圧力に減圧調整します。
高圧配線に使用する各パーツにはそれぞれ対応できる圧力範囲があり、レギュレーターがなければ接続するパーツで安全な出力調整ができません。
ちなみに、上記写真の私の使用しているレギュレーターは以下です。
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圧力表示メーターは付いてませんが、小型ボンベと大型ボンベ(ミドボン)の両方に対応しているレギュレーターなので、ミドボン入れ替え時などに小型ボンベで数日程度対応することも可能です。
電磁弁
電磁石で弁を開け閉めして、気体や液体を流したり止めたり制御するパーツ。
プログラムタイマー(下記紹介)と一緒に使うことで、決めた時間に全自動でCO2添加を制御します。
写真の商品は以下です。
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スピードコントローラー(スピコン)
スピードコントローラー(スピコン)は、レギュレーターで大まかに低圧化したCO2量をさらに微調整するパーツ。
水槽に添加するCO2量は、例え1秒3滴レベルの多め調整であっても、高圧ボンベから出力調整するには極めて微量なため、スピコンで微細な加減を調整します。
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写真のSMCスピコンは、ツマミが少し回しづらいですが、内部の精度が高く細かな微調整が可能です。
逆流防止弁(逆止弁)
CO2は水に溶けやすいため、CO2添加を止めると水槽水が配線を逆流して各パーツを故障させる危険があるため、逆流防止弁(逆止弁)を配線に接続して水の逆流を防ぎます。
チェックバルブと呼ばれたりもします。
スピコンより水槽側に設置する低圧箇所のため、エアーレーション用の逆止弁も使えちゃいますが、一応CO2対応商品を選びましょう。
上記写真のように逆止弁が一体化したCO2ディフューザーもあります。
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CO2ディフューザー(CO2拡散器、CO2ストーン)
CO2ディフューザー(CO2拡散器、CO2ストーンとも言う)は、水槽にCO2添加する末端装置。
細かい気泡にして放出することで、より飼育水に溶けやすくします。
様々な形状がありますが、上記写真のようにバブルカウンター機能が付いたディフューザーもあります。
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バブルカウンターと逆止弁が一体型のCO2ディフューザー。
これが便利なのは、簡単な差し込みロック型の耐圧チューブのみの接続で完結できる点。
スピコンより水槽側は極低圧となっているので一部末端でエアチューブ接続も出来ますが、チューブの切り替え時に耐圧チューブをねじ込みタイプの逆止弁などに強引に繋ぐ必要があり、女性の握力では難しいこともあります。
(例えば写真矢印のような耐圧チューブをねじ込む接続は力が必要)
その点、差し込みロック式接続であれば、力は不要なので誰でも簡単です。
耐圧チューブ(耐圧ホース)
ボンベからの高圧気体を流すため、耐圧チューブ(耐圧ホース)を配線に使用します。
アクアリウムで一般的に使用するエアーチューブを高圧部に使うとエア漏れや破裂等の危険があるため、必ず耐圧チューブを用意します。
色付き耐圧チューブは、エアチューブと識別しやすい利点があります。
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もし末端の水槽内にチューブ配線する場合は、末端のみ耐圧チューブではなく透明エアチューブを使用することもできます。
プログラムタイマー
プログラムタイマーは、電磁弁に通電する時間帯を設定して、毎日自動的にCO2添加を管理するパーツです。
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すでに10年以上使っているものもあり、壊れないロングセラーの愛用品。
バブルカウンター
バブルカウンターは、一定時間(一般的に1秒間)に通過する気泡の数でCO2流量を目視できるパーツ。
バブルカウンター機能が付いたCO2ディフューザーを選ぶことでも代用できます。
分岐パーツ
分岐パーツは、複数水槽にCO2配線する場合に使用します。
エアーチューブ用もあるのでCO2配線対応の分岐パーツを選びます。
分岐パーツは、電磁弁の次、スピコンの手前に接続します。
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小型CO2ボンベとミドボン(大型ボンベ)のメリットデメリット
炭酸ガスによる高圧ボンベ式CO2添加の場合、汎用の小型CO2ボンベと大型ボンベ(通称ミドボン)の2種類あります。
汎用小型CO2ボンベのメリットとデメリット
小型CO2ボンベのメリット
小型CO2ボンベ(口径5/8-18UNF)のメリットは、手に入りやすい点。
ネット通販でもいろんなメーカーのものがあり、簡単に購入し手に入れることができます。
もちろん使用量によって変わりますが、60cm規格水槽でミニボンベ1本だいたい半月前後から長くても1ヶ月程度、1本約700〜800円が目安。
接続時の漏れが心配な方は、リサイクルボトルより新品ボトルの方がおすすめです。
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小型CO2ボンベのデメリット
デメリットは、大型ボンベに比べて交換頻度が多い点。そしてボンベ圧の低下に合わせて少しずつ添加量を微調整する場合も出てきます。
小型CO2ボンベの場合、各水槽毎にフルセットが必要です。
分岐して添加することも確かに可能ですが、ボンベ交換頻度が断然増えることや、分圧(減圧)によるCO2添加量の不安定さから、現実的ではありません。
ミドボン(大型ボンベ)のメリットとデメリット
ミドボンのメリット
ミドボン(大型ボンベ)のメリットは、数年単位の交換頻度、かつ安定したガス圧で微調整も長期的に不要な点、そして長期利用前提でのコストパフォーマンスの高さでしょう。
一度設置してしまえば数年単位で手入れ不要の安心感があります。
また、複数水槽への分岐添加も安定して行うことができます。
ミドボンのデメリット
逆にミドボンのデメリットは、仕入れ先の確保が若干大変なところ。
ガス会社から直接購入する場合は、5kg新品ボンベを購入して炭酸ガスを充填する初期費用で約3万円〜5万円程度(相場)掛かります。
その後、空ボンベに炭酸ガス再充填の相場が3,000〜5,000円程度、さらに高圧ボンベの保安基準法で充填前に定期的な検査を受ける必要があり、炭酸ガスの場合はボンベ製造日(新品)から5年毎の耐圧検査、20年以上経過したボンベは2年毎の容器再検査が必要になり、再検査費用は6,000〜9,000円程度が一般的です。
アクアリウムショップでも対応してくれる場合がありますが、それもやはり新品ボンベの場合はガス会社と同等程度と考えてよいでしょう。
中古ボンベ利用やボンベリース販売など形態の違いで少しずつ金額が変わります。
一番安価なのは酒屋さんからビールサーバー用ボンベを仕入れる方法で、5kgミドボンで1万円強。ボンベを返却すれば4,000〜5,000円程度で充填交換できます。
ネット通販でも購入可能なため、この方法を選ぶアクアリストは多いです。
ただし、ビールサーバー用ミドボンのアクアリウム使用を敬遠するショップもあるので、注意が必要です。
とはいえ、60cmサイズ水槽を数台に添加する程度なら5kgミドボンでも2〜3年、それより小さい水槽数台なら3〜5年は保つので、非常にリーズナブルなのは間違いありません。
これらを踏まえて、ミドボンを使用する際は仕入先の確保がポイントになります。
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高圧ボンベ式CO2添加システムの配線手順と注意点
高圧ボンベ式CO2添加システムの基本的な配線手順と注意点です。
難しいことはありませんが、気を付けたいことを中心に簡潔にご紹介します。
CO2レギュレーターを工具で締める
高圧ボンベに直接取り付けるCO2レギュレーターは、レンチやスパナなど工具を使い、緩みがないよう確実に締めます。
ただし、締め付け過ぎるとパッキンのねじ切れが起こり、逆にガス漏れする場合があるので、体重を載せて締め付ける等は不要です。
すべて接続してから元栓を開ける
ボンベの元栓を開ける前に、レギュレーターから電磁弁、スピコン、逆止弁、CO2ディフューザーまで、事前にすべて接続します。
ちなみにCO2配線の接続は差し込みロック式が一般的なので、耐圧チューブを奥までしっかり差し込みます。
またガス漏れを防ぐため、カッターなどで耐圧チューブの切り口を垂直になるべく綺麗にカットするのが理想です。
耐圧チューブを無駄に長く配線しない
各パーツを結ぶ耐圧チューブをカットして接続する際、無駄に長く配線しないようにします。
配線が長くなることで耐圧チューブ内に滞留するCO2量も多くなり、添加スタートから放出が安定するまでが遅くなったり、添加ストップ時もだらだらと放出が続いたりしてしまいます。
かといって引っ張り合うほど短くするのも配線が抜けてしまう等の危険があるので、適度なゆとりを保ちつつ短くコンパクトに配線します。
スピコンを閉めてから元栓を開く
スピコンが閉まっている事を確認してから、ボンベ元栓を全開にします。
(※電磁弁は通電させ解放します。)
この時に、念のためガス漏れしていないか音でも確認します。
次にスピコンを少しずつ開けて、CO2ディフューザーから気泡が出てくるまで様子を見ます。
バブルカウンターなど放出量の確認は10分程度してから
注意点としてバブルカウンターなど放出量チェックは、スピコンを調整してから放出量が安定するまで5分〜10分かかるので、10分程度は細かく様子を確認します。
もし過剰添加となってしまうと最悪の場合、熱帯魚やエビが死んでしまいます。
そのため配線や設定調整は、時間に余裕がある時に行うのがおすすめです。
設置から数日はガス漏れ確認する
CO2システム設置から数日は意識的にガス漏れを確認します。
いくら大容量のミドボンであっても、音では気付きにくいガス漏れで数日程度でほぼ抜けてしまう事故もあります。
最近はボンベに残容量メーターが付いているものも多いので、残容量メーターをチェックしましょう。
ボンベ式CO2添加に最低限必要なフルセットまとめ
高圧ボンベ式CO2添加に最低限必要なフルセットについて、接続方法や注意点も踏まえてご紹介してみました。
ボンベ式のCO2添加というと初期投資費用が多少かかる点もあって、どこか敷居の高さを感じるかもしれませんが、いったん導入してしまえば、あまりの便利さや水草への効果の大きさに手放せなくなる方は多いと思います。
そして水草水槽が増えれば増えるほど、ボンベ式の費用対効果は高くなります。
導入を考えている方の参考となれば幸いです。
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