発酵式CO2ペットボトルでエビの元気がなくなる対処法
簡単お手軽にCO2添加できる発酵式CO2ペットボトルは、若干敷居が高い印象のCO2供給をとても身近なものにしてくれます。
もちろんその費用対効果も抜群で、多少の問題なんて吹き飛ばすくらい水草が元気な姿を見せてくれます。
でも発酵式ペットボトルを始めた途端、ヌマエビの調子が悪くなる経験をされる方も多いようです。実は私も発酵式CO2を導入当初、エビの体調不良で躓きました。
そこで、発酵式CO2ペットボトルを使って水草もヌマエビも元気に育つ環境を作るコツや対処法を、自分の経験を元に書いてみました。ご参考ください。
ちなみにこのページでは、通常は元気に活動しているエビが、発酵式CO2を添加すると調子が落ちる場合について書いています。
発酵式の有無に関わらずエビの調子が悪い場合は以下ページもご覧ください。
⇒「ヌマエビ飼育が上手くいかない原因と結果を経験から」
原因は発酵式CO2は流量調節が出来ない点
既に実施されてる方は身に沁みて感じてることと思いますが、発酵式CO2添加の場合、安価に二酸化炭素を供給できる反面、発生するCO2量を細かく流量調節する事は出来ません。
ここが、発酵式ペットボトルによってヌマエビの体調を落とす大きな原因です。
水槽水のCO2濃度を高めると、水草の光合成が促進されるだけでなく、水質を酸性側に傾ける作用も起こります。水量の少ないミニ水槽は特に。このpHの急な変化にエビが反応してしまうんです。
アクアリウム生体の中でも特にエビ類は、水質の変化に過敏に影響を受ける生き物なんですね。
そこで出来る対策は、「CO2濃度の上昇を抑える」もしくは「CO2消費を増やす」。
以下にそれぞれ詳しく書いていきます。
CO2濃度の上昇を抑える
二酸化炭素は大気中に存在するメジャーな気体の中でも、特に水に溶けやすい物質です。
しかも面白いように水草が育つCO2の添加効率を高めるために、目の細かいエアストーンで粒の小さい気泡を出して水中滞在時間を長くしたり、水流の強く当たる場所に放出したりという情報を見聞きした事もあるかと思います。
つまり、その逆を行えばCO2濃度の上昇を抑えられます。
エアストーンを水面近くに設置
CO2気泡の水中滞在時間を短くするためにエアストーンを水面近くに設置すると、溶ける量が抑えられます。また、フィルター流水が直接当たらない流れの穏やかな場所に設置すれば、気泡が水槽内に舞わず濃度上昇も緩やかになります。
放出するCO2気泡を大きくする
放出するCO2気泡を大きくすることで、溶け込む量を減らします。
エアストーンを使わず、刻んだ割り箸の欠片をチューブの先に隙間ができるように挿し込むと、適度に気泡が大きくなります。
コツとしては、あまり大きな気泡になり過ぎないこと。CO2添加する意味がなくなっては本末転倒です。
水面を撹拌してCO2を逃がす
CO2は水に溶けやすい気体ですが、それと同時に水から逃げやすい性質もあります。
(性質というより、大気中のCO2濃度が断然低いから、そちらに動いてしまうのですが。)
そのため、大気と接する水面に水流を作り撹拌することで、水中のCO2量を減らす方法があります。
ただこれもやり過ぎると、添加するCO2が端から抜けていってしまうので、適度の調整程度に。
ミニ水槽用の水槽縁に取り付ける外掛けフィルターのように、水面に流し込む流水などはCO2を逃がす作用が強くなります。外掛けフィルターと一緒にCO2添加する場合は、多少添加効率が良くなる工夫をするくらいが丁度良いかもしれません。
CO2消費を増やす
本命はこちら。わざわざCO2を供給するのですから、発酵式ペットボトルの効果を最大限利用しながら水草もヌマエビも元気になってほしいところです。
CO2消費を増やすには、水草量を増やすのが一番。
選ぶ水草の種類もポイントです。
水草にも個性があり、成長の遅い水草(陰性植物)から成長が早く葉姿の大きくなるものまで様々。
中でもおすすめは、ヘアーグラスやグロッソスティグマ、パールグラス系など小さいけどCO2消費量の高い種。
CO2添加は水草の成長も加速させるので、ミニ水槽には大きくなり過ぎずCO2をどんどん使ってくれる水草を足すと、CO2濃度のバランスを取りやすいです。
私の水槽も以前は、ロタラ類とわずかなヘアーグラスショート、そして陰性植物のアヌビアスナナ(プチ)だったので、ヌマエビのためにCO2の添加具合をいろいろと工夫していました。
(以前の水草量)
陰性植物はCO2添加が無くても光量が少なくても枯れない強さはありますが、相対的にCO2消費も少ないです。添加すれば成長は促進されますしコケも付きにくく葉が綺麗に維持できますけど、CO2消費のバランスを取るには量が必要です。
そこでCO2をどんどん使ってくれるヘアーグラスショートを少しまとまって増やしたところ、発酵式CO2をガンガン供給してもエビがビクともしなくなりました。
(夜間の消灯中はCO2供給を止めています)
発酵式CO2は水槽サイズで使い勝手が変わる
このページで取り上げている内容のように、エビが影響を受けるCO2濃度の急激な上昇は、発酵式CO2ペットボトルが流量調節できないところから来ています。ですから、発酵式のCO2供給量とバランスの良い水草量が重要になってきます。
そのため、発酵式を使うとエビの調子が悪くなる環境は、ほとんどが総水量の少ない小型水槽でしょう。
60cm規格水槽クラス以上になると相対的に水量も多く水草量も増えるのでおのずと濃度も上がりづらく、今回のような問題はあまり感じられないと思います。
逆に、30cmキューブ(約25リットル)以下の30cm規格水槽(約12リットル)など水量20リットルを下回るサイズになってくると、育てられる水草量も限界があるので、一般的な発酵式ペットボトルの設置方法では過剰添加気味になってくる。
でもミニ水槽だからといって、発酵式CO2ペットボトルが使えないと言う事は全くありません。やり方次第。
大切なのはCO2濃度の上昇具合です。そのことを意識しながら、添加方法や水草量を調整してみてください。
ちなみに私の水槽は、総水量約20リットルの45cmショート水槽450×200×220です。
CO2添加を好循環のきっかけに
「CO2を添加すると水草は元気になるけどエビがダメージを受ける」
「CO2添加をヤメるとエビは調子が良いけど水草は弱っていく」
こんなことを繰り返しているとだんだん「発酵式でエビも水草も元気にするのは無理なんじゃないの?」って思えてしまうのですが、そんなことはありません。
丁度いいCO2濃度は水草を元気にして水の富栄養化を抑えつつ酸素供給も増えます。富栄養化が収まってくるとコケの発生も少なくなり水質も安定してくる。居心地の良くなったエビは活発にコケをツマツマして、さらに水草に付くコケも無くなる。
CO2添加はこんな好循環のきっかけになります。
最後に
最後に。水槽環境は本当に千差万別で、まったく同じ水槽の状況なんてあり得ません。
水槽サイズに対する魚やエビの生体数、水草量、使うソイルや岩石や流木によってpHも大きく変わるし、水換えの水道水だって地域によって硬度もpHも違います。
だから、「これが正解!」なんて断言はできないんですよね。
ただ、どんな水槽でも発酵式CO2添加で上手くいく方法は必ずあります。
ちなみに、水草はCO2添加が絶対に必要という訳ではありません。絶対必要じゃないけど、CO2添加無しに水草の豊富な生き生きとした水槽を維持管理するのは本当に難しい。CO2添加は水草水槽の飼育レベルをもの凄く下げてくれる裏技的な存在なんです。
そんなCO2添加を安価でお手軽にできる発酵式ペットボトルだから、ここまで普及してるんだとつくづく思います。
その他、箇条書き
※「この底床は何?」と思った方もいるかもですが、GEX「水草一番サンド」とコトブキ工芸「ろかジャリ」が混ざったもので、これと言って選んだ理由はありません。いろいろ試した結果です。。
ろかジャリは水草やエビの欲しいカルシウムや微量元素を吸着してしまうので、エビのいる水草水槽には敬遠される商品でおすすめはしません。
ただどういう性質か分かっていれば対応の仕方もありますし、何年も経った今では吸着能力がほぼ効かなくなって、ソイルのように崩れたりもしないので、逆にメンテしやすかったりします。利点と言えばこれくらい。
水草一番サンドは多少栄養が含まれてるので(ヨウリン酸がちょっと余計か)、水草は初めから多めが上手くいきやすいと思います。
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ヌマエビ飼育でおすすめは、吸着系でコケ被害が出にくい「プラチナソイル」が扱い易いと思います。
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低pHを維持してくれるので、高硬度に弱いビーシュリンプ類にも使えます。
肥料要求度の高い水草を入れる場合は、初めから適度に固形肥を仕込みましょう。
またビーシュリンプ繁殖を目指すのであれば、吸着系ソイルより栄養系ソイルがおすすめです。
その点について、こちらの記事もご覧ください。
⇒「ビーシュリンプの繁殖を促す腐食酸の実験記録」こちら
※イースト菌の発酵具合でも時間単位の発生CO2量は左右されるので、発酵が進む夏と発酵が遅くなる冬場で、添加の仕方を微調整すると良いです。
※CO2要求量の高い水草は肥料食いの傾向がありますから、適度な施肥も必要です。ただし、追肥のし過ぎは厳禁。
※ライト照明の光度も水草には必要不可欠です。CO2添加しても水草が育たない場合は、光が足りない可能性もあります。
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