水草水槽におすすめ照明は?LED照明の選び方
水草を育てる水槽で重要な設備の一つが、ライト照明です。
植物は光合成を行うことで美しく成長しますから、水草においても照明の光の質(波長バランス)や強さ(光度)が重要になります。
だからと言って、光度や波長バランスが最強の照明を使えばすべて上手くいくかというと、そうでもありません。状況や育てる水草の種類によって最適な照明があるんですね。
そう考えると水草育成の経験がない(少ない)方にとって照明選びは、少し難しいことと思います。
そこで、失敗しない照明選び方のポイントとおすすめLED照明について、実際の経験も踏まえてご紹介しています。
ちなみにこのページでは、これから水草水槽を始めるという方はもちろん、現在使っている照明をより良いものに換えたいという方にも回答しています。
ですからちょっと深く掘り下げた内容になってますが、初心者の方も知っておいて損はありません。
また水槽用ライトには、メタルハライド(メタハラ)、蛍光灯、LED照明と3種類ありますが、メタハラは業者さんや玄人向け、蛍光灯も現在レパートリーが少なくメーカー各社も主流のLEDへと徐々に移行しています。
こういった現状から今後もLED照明が基本になるでしょうから、このページでもLED照明を中心に書いています。
ただ、光と水草の関係について書いた内容はもちろん、全ての照明において当てはまります。
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水草用LED照明を選ぶ基準は波長?
水槽用照明でよく語られるのが、「水草には赤波長や青波長を含む光が必要」ということ。
確かに、ほとんどの植物は赤波長や青波長の光を好み、そのため農業界では農作物に赤紫色のライトを当てて成長を促進させる栽培も広く行われています。
赤や青の光ばかり強く照射するわけですね。
(植物育成用の赤紫光電球。)
「波長って何?」という方のために簡単に説明すると、光にはいろんな色波長があり、それらが混ざって白い光として見えています。
“7色スペクトル”なんて聞いたことあるでしょう。
例えば雨上がりの空に出る“虹”は、まさに7色スペクトル。
これは太陽光の白い光の中に含まれる各色が、空気中の水滴によって屈折・反射・分解されて見えてる状態です。
つまり白い光の中には、いろんな色の光(波長)が混ざり合っています。
そして水草を含め植物は、各波長の中でも青や赤の範囲の波長を好んで利用し、光合成しているんですね。
ですがLED照明の場合、その発光構造から赤波長のバランスが少ない傾向にあります。
さらに赤波長は水に吸収されやすいため、他の波長に比べて水槽底に届きにくいなんて性質もあったりします。
ちなみに水槽用LED照明には、白色LEDチップのみの機種と、赤色LEDチップや青色LEDチップが混ざった機種があります。
(白色LEDのみの高光量照明)
(赤LEDと青LEDを配置した水草用照明)
そのため巷ではよく「水草を育てるなら、赤色LEDチップで赤波長を強化したタイプを選ばないと駄目」なんて、言われたりするんですね。
白色LEDチップのみでは育たない?
では、白色LEDチップのみの照明では水草は育たないかというと、そんなことはありません。
人間の見た目で白い光には、強弱あれどすべての波長が必ず含まれています。というより、すべての波長がないと白く見えません。
つまり白色LED照明だとしても、赤色波長は含まれています。
LEDの発光構造
白色LEDの発光構造を簡単に説明すると、大抵の場合、青い光を黄色い蛍光塗料(蛍光体)で覆って白い光にしています。
一般的なLED基盤を見ると、光る部分が黄色いですね。
だから、青色波長の強いものが多い。
「赤色の光が無いなら、赤波長は出てないじゃん」って思うかもしれませんが、蛍光体で青色波長を一部変化させて赤波長に変えてるんです。だから“白く見える”。
大小あれど、目に見える全ての波長が混ざらないと、白くは見えないんですね。
それを確認できる簡単な実験も出来ます。
白色LED照明に赤セロファンを被せてみてください。赤い光に変わるはずです。
(白色LEDも赤く光って見える)
(白色LEDからも赤波長が照射されてる)
これは混ざり合った波長の中でも、赤色波長のみがセロファンを透過してるからなんですね。
ちなみにもし赤色波長が全く無ければ、照明が点灯していてもセロファンを被せると光ってないように見えます。照射されなくなる。
以下のページでも面白いセロファン実験をしてるので、よろしければ後でご覧ください。
⇒「水草用LED照明の赤波長と青波長を比較テスト」こちら
RGB素子を使ったLEDライト
数年前からRGB素子を使ったLEDライトも登場し始めています。
RGB素子とは、先の青色LEDに蛍光塗料と違い、光の三原色である赤(R)緑(G)青(B)のLED素子を発光させて白色光を出す照明です。
赤・緑・青それぞれの光で表現するため、青だけでなく赤い熱帯魚や緑色の水草が鮮やかに見えやすくなります。
その代わり、高価な価格帯となっています。
もちろんRGB素子の数で光量も変わってくるので一概に言えませんが、明るい商品も多いです。
アクアリウムメーカーで水草レイアウトと言えばADAですが、ADAのLED照明「アクアスカイ」シリーズは白色LEDのみですね。ですが、それを使っていくつもの美しい水草水槽を作り上げています。
そんな白色LEDを選ぶ際のポイントは、“光量”。
高光量にすることで相対的に赤波長も増やし、水草を育てられる照明にしています。他メーカーの光量推しタイプも同じ。
こちらは30cmキューブ水槽にアクロ「OVAL(オーバル)ブライト」の水草水槽。
キューブ水槽は規格水槽に比べて水深がありますが、キューバパールグラスやニューラージパールが底床に育っています。
水草用LED照明で最強は?
水草用LED照明で最強って、どんな機種でしょう。
現状はやはりRGB素子を使ったLED照明。
メーカー「Chihiros(チヒロズ)Aquatic Studio」のRGB照明は、高価なRGB商品の中でも安価で導入しやすい価格帯です。
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こちらは吊り下げ式のChihirosハイエンドモデル「VIVID 2」。
この他、水槽上部設置タイプの「WRGB2 SLIM」や小型水槽向け「C2 RGB」もあります。
RGBはまだまだ高額で、予算のある方向けですね。
現実的な最強機種は、高光量で赤色LEDチップの入った商品です。
アクロ「トライアングルLEDグロー」は高光量と赤LED・緑LEDを装備し、価格帯もそこそこリーズナブルで、水草育成に人気が高いです。
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アクロTIRANGLE LED GROWシリーズ
本当に素晴らしい照明。「今一番良い照明は?」と聞かれたらグローをおすすめしています。
ただしこれらの“最強”は、あくまで照明性能としてです。
高性能照明なら水草育成が上手くいく?
ここからが本題。
高光量で赤LEDチップを含む商品が最強と言いましたが、それでは、そんな高性能照明ならどんな水草育成も上手くいくのか。
答えは、ノーです。
いくら照明が良くても栄養が足りなければ育ちませんし、水質が合わなければ枯れてしまうこともあります。
水草育成には「光」の他にも「栄養」や「水質(水温含む)」といった環境を整える必要がありますから。
そしてもう一つ大事なこと。
高性能照明は逆に言えば、強制的に強い光を浴びせますが、水草種にはそれぞれ対応できる光の強さに限界があります。特にモス類や陰性水草などは強い光を処理できず葉焼けを起こしたりします。
照明は水槽形状や水草種に合わせて選ぶ
そこで照明は、“高性能”というだけでなく水槽形状や育てる水草によって最適なものを選ぶことが大切です。
最近は規格水槽より背が低く水量が少ないロータイプ水槽が流行っていますが、こういった水槽は水深が浅いため、高性能照明だと強すぎて、水草が不調になる場合も多々あります。
そんなロータイプ水槽には、光量が適度で波長バランスの良い照明の方が、よほど上手くいくんですね。
こちらはロータイプスリム水槽にGEX照明「クリアLEDパワー3」で水草育成する水槽ですが、底床には光量を欲するショートヘアーグラスやニューラージパールグラスがしっかり這って育っています。
これと逆に背の高いハイタイプやキューブ水槽などは、光量推し機種や高性能照明が本領を発揮します。深いところまで光がしっかり届きます。
水槽形状はつまり、照明器具から水草までの水深(距離)を考慮します。
もちろん育てる水草種に合わせて。
陰性水草やウィローモスメインの水槽では、必要以上の高光量は弊害でしかありませんから。
水槽タイプ別おすすめLED照明はこれ!
最後に、水槽タイプ別のおすすめLED照明を挙げておきます。
ロータイプ水槽におすすめ機種
GEXのスリム水槽シリーズなどロータイプ水槽には、波長バランスが良く光量も適度な照明がベスト。
ウィローモスやアヌビアスナナなど陰性水草はもちろん、強い光を必要とするキューバパールグラスやグロッソスティグマなんて前景草もしっかり育ちます。
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コトブキ工芸 FLAT LED SS
コトブキ「フラットLED」
光量は適度ですが、波長バランスが良く色味も優れています。見た目の色は一番好き。
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GEX CLEAR LED POWER Ⅲ
GEX「クリアLEDパワー3」
GEX「クリアLEDパワーⅢ」もフラットLEDと同レベルといった感じ。
規格水槽におすすめ機種
水槽サイズの基本形状である規格水槽では、育てる水草に合わせるのが良いでしょう。
前景草をしっかり這わせるなら、光量推し機種や高性能照明がおすすめ。
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アクロTIRANGLE LED GROWシリーズ
Aqullo「TRIANGLE LED GROW」
光量も高く、赤波長を強化した人気の水草LED照明、アクロ「トライアングルLEDグロー」。
トライアングルシリーズには、白色LEDのみの「トライアングルLEDブライト」もあります。
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アクロTIRANGLE LED BRIGHTシリーズ
Aqullo「TRIANGLE LED BRIGHT」
「トライアングルLEDブライト」は白色LEDのみの光量推し機種で、とにかく明るいです。
グローを購入の際と、間違えないように注意してください。
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アクロOVAL LED BRIGHTシリーズ
Aqullo「OVAL LED BRIGHT」
私の30キューブ水槽でも使ってるアクロ「オーバルLEDブライト」は光量推し。とにかく明るくてリーズナブルです。
ちなみにモス類や陰性水草を育てるなら、コトブキ「フラットLED」やGEX「パワー3」でも十分です。ロタラ系やハイグロフィラなど陽性の有茎草でも、成長速度はゆっくりめですが十分育てられます。
こちらは30cm規格水槽にフラットLED1灯。
ウィローモスやウォーターフェザーの他に、陽性水草のブリクサショートリーフや前景草にアフリカンチェーンソードも綺麗に育ってます。
(背景はお気になさらず。)
1灯で試してみて、後から2灯に増やすこともできますね。水草用照明の中でもフラットLEDやパワー3は、リーズナブルなだけでなく見た目の色味が良いので、その方が高光量機種1灯より鑑賞的に好みという人も多いです。
ハイタイプ・キューブ水槽におすすめ機種
ハイタイプ水槽やキューブ水槽にはもう高性能照明、次いで光量推し機種でしょう。
こういった水深がある水槽では、モスや陰性水草でも強過ぎることはほぼありません。
“高性能照明1灯にさらにフラットLEDを1灯追加”なんて方も多いです。
水草水槽におすすめ照明まとめ
水草水槽におすすめのLED照明について、波長や水深も踏まえてご紹介しました。
水草用照明って本当に情報に振り回されやすいんです。
なぜって、照明は水草を育てる要因の一つでしかないのですけど、“照明が最重要”って言われることが多く、水草が枯れてしまうと“照明が悪い”なんて方向に行きがちです。
でもね、何度も言うように水草は「光」「栄養」「水質」といった環境すべてを整えないと育たないわけで、照明が悪くなくても枯れてしまうことは普通にあるんです。
近年は水草用LED照明の性能も上がってきて、それでいて値段も手頃になってきました。それだけ照明選びで失敗することも少なくなっています。
ですが水草育成が上手くいかないと、やはり照明選びに原因を求める人は多いです。
確かに水草に向かない照明もありますし、安易に性能を比較するだけでなく水槽形状や水草種に合わせた照明選びも大切と思います。
そこでこのページを書いてみました。
私も実際に使用して体験してますから、もしこの内容通りに照明を選んでも水草が上手く育たないという場合は、今度は栄養や水質環境を疑ってみましょう。
ちなみに、水草の栄養や肥料についても書いてますので、よろしければご覧ください。
⇒「水草水槽に肥料を与えるやり方と考え方」こちら
正直なところ多少の照明性能の差は、栄養バランスを上手く管理・操作するだけでもカバーできちゃいます。
関連記事
⇒「水槽の照明時間は水草や熱帯魚の健康に影響する!?」こちら
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