黒髭苔は悪者なの?対策の前に考えること
アクアリウムを楽しむ方のほぼ100%が一度は必ず出会うであろう“黒髭苔(くろひげごけ)”。
黒髭藻(くろひげも)とか黒カビなんて呼ばれる事もあります。
流木やレイアウト石にこびり付き水槽の景観を悪化させ、水草にもまとわりついて成長を阻害する害悪として非常に有名なコケです。
そのため、多くの方が黒髭コケを退治しようと、あの手この手で対策していることと思います。
かくいう私も、本格的に水槽を手入れするようになった当初は、直接ピンセットで駆除したり木酢液の塗布、富栄養化した水槽の栄養バランス調整など、様々な角度から黒髭コケに対処してきました。
確かに見た目はよろしくないし、育てている水草の葉に頑固に着床して弱らせる姿は、いつしか憎々しくも思えてきます。
でも、ある時ハッと客観的に考えるようになりました。
「黒髭苔は本当に悪者なの?」と。
黒髭コケも水を綺麗にする植物のひとつ
黒髭コケって、あの見た目から断然の悪役として認知されています。
もちろん私もそう思ってましたし、景観を損ねてしまう理由から今も、表舞台に出てきた黒髭コケは撤去するようにしています。
でも、そんな黒髭ゴケだってアヌビアス・ナナやヘアーグラス、グロッソスティグマなど人気者の水草と同じように、水を綺麗にしてくれる植物のひとつなんですよね。
「嘘だ!そんな訳ない!」と思うかもですが、次から黒髭ゴケについて詳しく掘り下げていきます。
黒髭コケだけど苔じゃない!正式名称は?
ちなみに、黒髭苔って名前だけど「コケ類」ではないってご存知でしたか?
正式には藻類、中でも紅藻類の仲間で、寒天の元になるテングサや海藻サラダに入ってる赤い植物で有名なトサカノリなどと同じ種類に属しています。
黒っぽいから褐藻類かと思われがちですが、違うんですね。確かに光の加減では赤っぽく見える事もあります。木酢液を塗ると赤くなりますし。
水槽メンテナンスで「コケ」と言えば、茶ゴケやこの黒髭ゴケなんかを思い浮かべますが、これらのコケって呼び名は俗称で、茶ゴケも藻類の仲間です。
ちなみに、アクアリウム水草で人気のウィローモスやツガゴケ、ウォーターフェザーなどが、本当の苔類にカテゴリー分けされます。
(左が南米ウィローモス、右がウォーターフェザー)
持っている光合成色素の種類が違う事で、黒髭ゴケは見た目黒っぽい色になっていますが、藻類だけに光合成をして二酸化炭素を酸素に変えてくれてるし、水槽内に溜まって濃度が高くなってるリン酸や硝酸塩を吸収して水を綺麗にしてくれます。
そう考えると、黒髭苔が悪者というより水槽の水が汚れてる・富栄養なことが問題なわけで、黒髭苔はバランスの崩れた水質を元に戻そうとしてくれる善良な存在に思えてきます。
宮崎駿監督の映画「風の谷のナウシカ」に出てくる“腐海の森”のように、汚れた世界を浄化してくれる本当は良いヤツのような。。
・・・話が逸れましたが、正式名称はオオジュイネラ(Audouinella sp.)と言うそうです。
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黒髭苔の対策法
ということで、これ以上、黒髭苔を嫌いにならないために、黒髭苔の対策法を挙げてみます。
上記に書いたように黒髭苔は水槽内に蓄積した余剰の栄養素、特にリン酸や硝酸塩(窒素化合物)が多くなると発生します。
一説には窒素とリンの最適な比率があり、窒素濃度は変わらずその比率よりリン酸濃度が高くなると、黒髭苔や茶ゴケ、藍藻(ランソウ)が出やすくなるとも言われます。
またここにプラスして、硫黄分の影響も大きいです。
黒髭コケは、立ち上げ間もない水槽にはほぼ出てこないんですね。
ソイルには元から硫黄分も含まれていますが、黒ヒゲの発生具合は水中に浮遊する硫黄分の有無によって変わってきます。
黒髭コケ発生の原因と環境改善
リン酸は水草(植物)の3大栄養素の一つながら、それほど吸収・消費されるものでもなく、それ以上に熱帯魚のエサや栄養豊富なソイル、そして固形肥料など添加剤から水槽に入ってきます。
確かに、エサの1回に与える量や回数(頻度)が増えたり、リンを含む肥料を追肥すると、黒髭ゴケが現れる事は多いです。
そして硝酸塩(窒素化合物)は、生体の糞やアンモニアを濾過バクテリアが分解して出来たものですね。
浮遊する硫黄分も、排泄物からが多いです。
そこでまず初めに、黒髭コケが発生する根本の余分な栄養を叩くことが大事。というか、これがすべてと言ってもいいです。
既に発生してしまったものは撤去が基本で、木酢液やオキシドール・・・といった施策を主要に考えない事。
発生原因となっている環境を改善しないと、いくら頑張っても再発・発生して、思うように事は進みません。それよりも、他の水草や生体達にダメージを与えるだけ。
栄養素をコントロールしていきましょう。
白い髭コケもあるよ!
こちらは白い髭コケ。
水カビと間違えそうですが、水草はもちろん流木や石にも現れます。
黒髭ほど出現しない髭ゴケだけど、ちょっと水換えの手を抜くと出て来たりします。どちらかというとリン酸過多に加えてカリウムなどミネラル分多めになった時に出やすい傾向。
でもご心配なく。対処法は黒ヒゲと一緒です。
リン酸・硝酸塩濃度を下げる
水槽の富栄養化は、様々な問題を起こします。
黒髭苔には特に、リン酸や硝酸塩、そして硫黄分の蓄積を抑えるようにします。そのため、以下に注意します。
エサの頻度や量を抑える
エサの頻度や量を抑えて、排泄物による汚れを調整します。
餌について
水槽に蓄積するリン酸、硫黄分の多くは熱帯魚の人工餌から入ってきます。魚の発色や色味、健康に、少量のリン酸や硫化物が無くてはならないからです。
また、糞やアンモニアなど排泄物をバクテリアが分解して、硝酸塩が蓄積します。
つまり、人工餌の量が増えればリン酸や硝酸、硫黄分の量も増えます。
なので不用意なエサの与え過ぎは、環境を安定させるために禁物です。多くても1日1回1〜2分程度で食べきれる量を与えます。
人工餌は、水面に浮く浮遊性タイプと水中に沈む沈降性タイプの2種類ありますが、与える量を調整しやすいのは浮遊性エサです。
コリドラス等に与える沈降性のものは食べ残しが分かりづらいので、飼育水の富栄養化に注意しましょう。
ちなみに私はヌマエビ達には基本、餌を与えないようにしています。
彼ら(彼女ら)はコケをツマツマ食べてくれるので餌は必要ない、というより、餌を与えない方が断然ハングリーにコケや枯れ葉をむさぼってくれます。
もちろん、ヌマエビの数やコケの発生状況によっては、飢餓から共食いの危険もありますから、このあたりは水槽環境に合わせて調整します。
肥料を抑えて各種濃度を下げる
液肥や固形肥料など水草のための追肥を抑え、最適量に調整します。
肥料について
肥料は、水草の葉色や形状、成長を見ながら追肥しますが、基本的にこちらも可能な限り与えない調整の方が、水槽環境は管理しやすいです。
「水草の成長が遅いから」とか「早く増えてほしいから」なんて理由で安易に追肥すると、高確率で水質は悪化します。
水草が使い切れなかった余剰の肥料分は、黒髭苔はもとよりアオミドロや糸状コケなど各種コケの発生や、熱帯魚・エビの病気を招きます。
水草の栄養は肥料でしか賄えないと思っていたら、大きな間違いです。
バクテリアによって熱帯魚やエビの糞(フン)の一部も水草の栄養素になりますし、水換えの水道水にだって水草が欲するミネラルや微量元素が少しずつ含まれています。(カルキ抜き必須)
また、底床材にソイルを使ってる場合は、ソイル自体にも栄養がありますから、水槽立ち上げ初期での肥料加減には十分注意しましょう。
栄養系ソイルでは、立ち上げから水質環境を安定させるまでを無難に行うために、ロタラ系やマツモ、アナカリスといった、比較的育成が簡単でどんどん大きくなる水草を植えると良いと言われるのは、水を浄化する硝化バクテリアの定着のために光合成による酸素を供給する意味もありますが、他にもソイルの豊富な栄養をどんどん吸収してもらい富栄養化を抑えコントロールする効果もあります。
(栄養を吸収するロタラ・ロトンディフォリア)
ただひとくちに肥料と言っても、水槽サイズに対する水草の割合や種類、生体(熱帯魚やエビ)の数といった環境によって必要な(不足している)栄養素が変わるため、その都度、枯渇している栄養素を個別に添加する考え方が基本です。
つまり、どれをどのタイミングでどのくらい添加すれば良いという決まった定義がありません。
各種肥料商品には与える量や頻度が表示されていますが、あくまで目安であって、「説明通りに施肥したらコケまみれになった」なんて良くある事です。
こう書くと非常にハードルが高く感じますが、長期的に見て不足しがちなのは大抵がカリウムと微量元素。
できるだけ肥料を与えない管理に於いて、「新芽の葉が小さい・異形」「葉色が薄い・黄色い」など症状が出た場合にカリウム・微量元素(特に鉄イオン)のみの肥料を少しずつ増やす(追肥する)対策が、一般的にもっとも多い状況だと思います。
肥料に関して黒髭ゴケの発生する水槽にありがちなのは、水草の欲している栄養素が分からず、やみくもに窒素・リンも含んだ総合肥料を添加してしまうこと。
もちろん窒素やリンが不足する環境もありますが、「これがオススメ肥料!」なんて安易な情報だけで使うのは危険です。
また、局部的に施肥しやすい固形肥料より、飼育水全体に栄養が広がる液肥の方が、過剰添加となった場合に黒髭ゴケの被害が大きくなりがちです。
水草への肥料添加は、ビクビクするくらい慎重に少しずつ与える方が大抵上手くいきます。
水草への肥料添加について、さらに詳しくはこちらもご覧ください。
⇒「水草水槽に肥料を与えるやり方と考え方」こちら
水草の調子を落とさない
(陰性水草も黒髭を付きづらくする)
水草のある水槽では、水草の調子を落とさずに成長を促すことが、余剰の栄養を吸収消費して抑えてくれます。
さらに元気な水草の葉はコケが付着しづらくなり、黒髭コケの付着も抑制してくれます。
逆に、調子の悪い水草には、黒髭コケが格段に付きやすくなります。
水草を追加して濃度を下げる
水草を追加する余裕(スペース)がある水槽なら水草を増やすと、多少効果的にリン酸や硝酸塩濃度を下げられます。
ただし既にある水草の成長が悪い場合は、増やす前にまず調子を上げる環境を作りましょう。
リン酸・硝酸塩が増える根本の原因は主に生体なので、水草と一緒に熱帯魚を増やさないように注意します。
水槽サイズに対する生体数を目一杯まで飼育している水槽では、水草量も水槽いっぱいに入っていた方が黒髭ゴケは出にくくなります。
とはいえ、過密水槽では生体と水草のバランスを完全に取る事は不可能なので、定期的な水換えでカバーしましょう。
また、魚も水草も多いと夜間酸欠の危険が出てくるので、夜間だけエアレーションやフィルター水流の工夫による酸素供給が必要です。
生体数が限界の水槽なら逆に水草やヌマエビを全く入れず、底床の汚れを吸い上げる水換えと定期的なフィルター掃除メンテのみの方が、難しく考えることも無く、意外と手入れしやすかったりします。
そうなるとバクテリア以外の環境循環サイクルはありませんから当然、頻繁な水換えが必須です。
この場合は栄養のあるソイル等を使わず、底床には大磯砂や濾過砂利を使い、水換え時はプロホースなどで砂利の中までガンガンと沈殿物を吸い上げます。
水槽の世界観を創る楽しみ方は変わりますが、水草水槽だけがアクアリウムでは当然ありません。
溜まったリン酸・硝酸塩を排出する
排泄物由来のリン酸や硝酸塩が、植物に吸収・消費されるよりも蓄積して溜まっていく方が多いと、黒髭苔が発生しやすくなります。
その増え過ぎたリン酸・硝酸塩を排出します。
水換えはかなり有効。だけど限界もある
水換えを行う事で、水槽内に溜まったリン酸や硝酸塩を物理的に排出できます。
可能であれば底床に堆積した熱帯魚やエビの糞を中心に吸い出すと、より効果的に排出できます。
一度に大量の水換えは厳禁です。
「どの情報を調べても、黒ヒゲ対策には水換えが有効って言ってるけど、エビが嫌がって暴れるし魚も弱ってしまう」なんて方も多いかもしません。
大量の水換えは、水質の変化が大きくなり、生体へのダメージが顕著に現れます。
そのため水槽サイズ単位で見た生体数と水草量のバランスも大切です。
水草は排泄物からの栄養を吸収消費して水を浄化してくれますが、処理能力はそこまで高くありません。
生体の比率が高いと、どうしても環境サイクルのバランスが崩れやすく、頻繁に水換えを行なっても黒髭苔や茶ゴケが出てきます。
この状況を解決するには、生体を別水槽に避難させて数を減らすか、水槽サイズを大きくして生体数をそのままに水草量を増やすか、でしょう。
フィルター掃除は一時的
外部フィルターや上部フィルターなどフィルターを掃除することで、一時的に改善します。
物理的ろ過によって水草の枯れ葉や魚の糞などが濾しとられるので、その有機物(汚れ)を掃除で取り除く事で、リン酸や硝酸塩の排出になります。
ただしフィルターには、有害なアンモニアや亜硝酸塩を濾過バクテリアによって分解(生物濾過)してもらう大きな役割があるので、必要以上の洗浄は良くありません。
フィルターの稼働状況にもよりますが、大抵は3ヶ月〜4ヶ月に1回で充分で、それ以上に汚れが溜まる場合は水槽サイズと合わない非力なフィルターか、生体が過密過ぎると考えて良いでしょう。
基本的な事ですが、塩素の効いた水道の水でじゃぶじゃぶ洗う行為はバクテリアが死滅してしまうので、おすすめ出来ません。
出来れば水換えで排水した飼育水を使い、目で見える汚れをさっと落とすくらいで充分です。
(※水道水を使うにしてもカルキ抜きをして、可能な限り水温も20度以上26度以下の範囲に調整してから洗うとより良いです。バクテリアも生き物ですから。)
水換えとフィルター掃除はタイミングを分けた方が良い状況もありますが、スポンジや固形ろ材の物理的な汚れをさっと落とす手入れであれば、バクテリアへの影響も少なく、同時に行っても大して問題はありません。
どちらかというと、洗浄に使う水の温度管理やカルキ抜きに気を使うより、水槽からの排水なら適温でフィルターのバクテリア環境も破壊し過ぎず、素早く安全に汚れを落とすことが出来ます。
黒髭苔は撤去が基本
既に発生してる黒髭苔は撤去するのが基本です。
(水換え時にピンセットで撤去した黒髭コケの塊ひとつ。)
水草に付いた黒髭苔はトリミング
水草に付いてしまった黒髭苔は、トリミングして葉ごと撤去してしまうのが簡単で無難です。
黒髭苔は枯れ枝や枯れ葉のリン(リン酸・リン脂質)や窒素分(硝酸塩)を吸収して育ってますから、撤去することでリン酸・硝酸塩の排出にも繋がります。
上の写真のようにヘアーグラスの根元などに絡み付いた黒ひげコケも、数が少なければ水草ごと抜いてしまうのが早いですね。
黒髭苔を木酢液で死滅させる
岩や流木などに付いた黒髭苔を死滅させるために、木酢液が有名です。
原液を2倍希釈した木酢液を黒髭苔に塗り、10分から15分ほど放置すると死滅します。
木酢液は生体に有害なので、岩や流木を水槽から出して行い、水槽に戻す際も水道の流水でしっかり洗うようにします。
完全に死滅した黒髭苔は、ヌマエビがキレイに食べてくれます。
弱い水草は駄目ですが、アヌビアスナナ類やミクロソリウムなど葉が肉厚な種類も、木酢液を直接塗って対策することが出来ます。
塗ったまま長時間放置すると枯れてしまうので、10〜15分ほどで洗い流します。
ただこの過程でイマイチなのは、たとえ死滅したとしてもそれを水槽に戻すことで、黒髭苔が吸収していたリン酸や硝酸塩が実質、再度水槽に戻ってしまう事ですね。
なので、可能な限り撤去してからがベストです。
ヤマトヌマエビなどコケ生体に食べてもらう
ヤマトヌマエビは黒髭苔を食べる生体です。これは私の水槽のヤマトでも実際に確認しています。
ですが、茶ゴケや枯れ葉など他に食べるものが豊富にあれば基本的に食べません。黒髭コケは硬くてそれほど美味しくないんでしょう。
そして、確かにコケが少なくハングリーな状態だと少しずつ食べてくれますが、大量発生した黒髭コケには全く歯が立ちません。
得てして黒髭がたくさん増える環境には、茶ゴケも充分にありますからね。
ということで、ある程度コケの抑制されている安定した水槽で予防的に入れるのはおすすめです。
かなり安定してる水槽でもちょこちょこと黒髭苔は顔を出しますが、細かいものはヤマトヌマエビが食べてくれるので、とても重宝します。
ちなみにこれも、ヤマトが食べても糞として水槽内に滞って養分の排出にはなりませんし、目に見えて強力な駆除効果はありませんから、くれぐれも「ヤマトヌマエビだけで黒髭コケ退治!」なんて思わないようにしましょう。
あと我が家にもいる熱帯魚、サイアミーズ・フライングフォックスも髭ゴケを食べる生体として人気です。
最強のコケ取り生体と思うくらい、コケ掃除に重宝します。
ただやはり硬く頑固な髭ゴケは、好んで食べてくれる訳ではありません。
サイアミーズを熱弁した記事もあるので、気になる方はご覧ください。
⇒「サイアミーズフライングフォックスが最強コケ取り生体だと思う訳」こちら
肥料を抑えてリン酸除去
黒ヒゲが蔓延した水槽を改善させる方法として、リン酸除去があります。
これは水槽環境によっては難しいのですが、参考までに書いてみます。
ただし、水草がそこそこ調子良いことが前提です。
これまで書いた通り、黒髭コケの大量発生は、硝酸塩や特にリン酸塩の増加の影響が大きいです。
そして他の水草と同じように、カリウムやマグネシウム、カルシウム、硫黄、鉄、亜鉛、モリブデン、銅なども得て、育ちます。
そこで現状以上の悪化を防ぐため、肥料添加を抑えて硝酸やリン酸塩を除去します。
まず肥料を止めて、水換えと同時にリン酸除去剤を使用。濾過フィルター内に投入します。
(何でもよいのですけど、私はリン酸除去剤にLIVESeaフォストジュニアパックをよく使います。)
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その後水換えのみを週2回くらいの頻度で行います。
排水時に、底砂の汚泥をプロホースなどクリーナーで一緒に吸い出します。
これを数週間続けると、次第に黒髭コケの着床力も弱くなってきます。水替え時にヒーターや器具類に付いたコケも、水槽から取り外して掃除します。
アヌビアスナナやブセファランドラのような陰性水草の葉に付いたものは、葉ごとトリミングしてしまうのが早いです。
黒髭コケを全体的に排出したら、少しずつ肥料添加を再開します。
この方法は、同時に水草の調子も落ち始めるので、長期間続ける事はできません。
弱っている水草だと枯れてしまうこともあり、黒髭コケの繁殖をさらに助長してしまうので、水草の調子が良い前提のやり方です。
また、底床が栄養豊富なソイルだと難しいやり方です。
新しいソイルはソイル自体にもリン酸やミネラルが多く含まれてる場合がありますが、栄養系ソイルでは肥料添加を止めても富栄養が収まらない事もあります。
もう一つ、熱帯魚の数が多い過密水槽では、硝酸やリン酸、硫黄分をどんどん増やしてしまうので、根本的に生体数を調整しないと難しい状況と言えます。
とはいえどんな水槽でも言える事として、「肥料を抑える」「汚泥の掃除」「リン酸除去剤」は、根本的な黒髭苔対策として有効ですから、これらを優先して行うと良いでしょう。
黒髭苔の対策まとめ
これまでの経験を元に、黒髭苔の対策について書いてみました。
いろいろと解決方法や手段を説明してきましたが、大切な点を以下にまとめます。
- 水槽サイズに対する魚の数を適正以下に抑える
- 水草の成長を促し、調子を上げる
- 適切な頻度の水換えで、浮遊する余分な栄養を抑える
これらが上手くいっている水槽では、黒髭コケの発生が圧倒的に抑えられます。
そのためにオススメはやはり、“生体が少なめで水草は多い”という環境です。
「生体 < 水草」の環境は黒髭苔が発生しにくくなりますし、水質も非常に安定させやすいです。
さらに植物の活性が上がって生体循環サイクルのバランスがより整うと、水換えの頻度もかなり減らす事が出来ます。圧倒的に管理しやすくなるんですね。
正直、魚数が少ないだけで黒髭コケの発生はかなり抑えられます。
ですが、いろんな熱帯魚を飼ってみたいのがアクアリウムファンの本音でしょうし、だからこそ難しいのかもしれません。
もし黒いマリモのように育つ黒髭を見つけたら、飼育水の富栄養化が進んでないか、水換え頻度はどうか、水草の調子が落ちてないか、チェックしましょう。
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